タイの政情鎮静化

　タイの反政府デモは，国軍が強制排除に乗り出した結果，やっと鎮静化しました。

 タイから出張者が来る予定があり，私自身も６月にタイに行く予定なので，ひと安心です。

 昨年の国際空港封鎖では，当時の反政府市民（反タクシン派）が政権交代を実現しましたが，今回はそうした成果はなし。２人の死者と１００人以上の負傷者を出しました。

 かつて，韓国の光州事態や中国の天安門事件で数百人規模の死者を出したのは「独裁」対「民主化」の対決だったからです。それにくらべ，今回のタイの市民デモは，基本的に民主社会が実現している中での，支持者同士の対立。軍隊が乗り出してきて，ヤバくなってきたので，早々に解散したというところでしょう。

 私がタイ出張時に話をするタイ人は，いちように「反タクシン」。バンコクにいる知識人層に，タクシンさんは評判が悪いようです。

 理由は，「不正蓄財」。

 タクシン氏が蓄財をしていたのは確かですが，これが不正なのかどうかは，実ははっきりしない。

 一方，タクシン氏は，地方ではインフラ整備や村おこし運動など直接住民の利益となる施策を行ってきており，根強い支持を得ている。選挙をすると，タクシン派が勝っちゃったりする。

 選挙で自分たちの思い通りにならないので，実力行使だというのは，ちょっとどうかな，という気もします。

 「安保」という，日本の政治的嵐が過ぎたあとの世代である私は，市民デモのような実力行使に参加したことがない。というか，選挙というまっとうな権利行使も怠りがちだったりする。

 私が韓国に駐在していたとき，外国にいる駐在員も国会議員の比例代表選挙のみは参加できるようになりましたが，面倒臭いのので一度もやったことがない。政治に対して，それほどの切実さを感じないような，ある意味平和な国である証拠でしょう。<o:p></o:p>