お盆休みの初日、東京でミャンマー語を教えてもらっていたミャンマー人の先生と食事の約束をしました。
場所は六本木の東京ミッドタウン内にあるベトナム料理の店。数日前に出会ったミャンマー人が経営している店です。六本木に職場のある娘も誘ったのですが、この日は渋谷の取引先のところに行くということで、来られない。
また、先生の息子さんも、バイトが休めないというので、結局、私たち夫婦と先生の3人で食事することになりました。
「知っているお店ですか」
「いえ、行ったことはないんですが。社長がミャンマー人なんですよ」
行ってみると、店はそれほど広くなく、満席で5人ほど並んでいました。
「人気あるんだ…」
ランチは、フォー、カレー、トムヤムの組み合わせ。純粋なベトナム料理というより、アジアのフュージョン料理といった趣です。
鶏肉がメインで、豚肉はほとんどないので、ムスリムの先生も食べられそうです。
待っている間に、店員さんに聞いてみました。
「社長は来てますか」
「いや、まだ来ていません。もしかしたら2号店に行っているかもしれません」
「ああ、武蔵小杉の」
「よくご存じですね」
「ここの店員さんはミャンマー人もいるんですか?」
「ええ、ベトナム人が多いですけど、ミャンマー人もいますよ」
「実は、こちらの方、ミャンマー人なんですよ」
「そうですか」
席に案内してもらったとき、その店員さんは厨房のほうに声をかけました。
「ミャンマー人のお客さんですよ」
「ミンガラーバー(こんにちは)」
奥から若い男の店員が挨拶してくれました。
それぞれ、チキンカレーとフォーのセット(千円)、それに追加で生春巻き(300円)も頼みました。カレーはタイ風でココナツミルク入り。お店の感じも、調度品や食器もおしゃれで、味もなかなかでした。六本木でランチ1000円は、リーズナブルでしょう。
「ところで、息子さんは新しいバイト先、見つかりましたか」
今、日本橋のてんぷら屋でアルバイトをしている息子さんは、日本語学校に通うようになったら、時間が合わないので、どこか別のアルバイト先はないかと相談されていたのです。このベトナム料理屋に来た理由の一つがそれでした。社長がミャンマー人だし、ホームページを見ると、アルバイトを募集していたので、ちょうどいいかと思ったのです。
「ああ、実は、時間を変更してもらえることになったので、てんぷら屋で働き続けることにしました」
「そうですか。それはよかったですね。時給は上がったんですか」
「ええ、50円あげてもらえました。後輩も入って、いまは後輩に仕事を教えています」
そのてんぷら屋さん、裏方はすべてミャンマー人のアルバイト。最初に雇ったミャンマー人がたいそう真面目で、仕事がよくできたので、ずっとミャンマー人を雇い続けているんだとか。
食事が終わって、ミッドタウン内を少し見て回りました。
「ちょっと、あれ見て」
妻があるフルーツショップのぶどうを指さします。
「3万円!」
先生も目を丸くしています。
「どんな人が買うんだろう」
「ミャンマー人の3か月分の給料ですよ」
「でも、先生も博士号をとって帰国したら、給料がずっと上がるでしょう?」
「そうなって欲しいですね」
先生は公務員で、国から奨学金のでる政府留学生。専攻は金属工学で、アルミなど非鉄金属の再生について研究しているんだとか。ミャンマーに帰ったら、その技術を行かして枢要な地位につけることでしょう。
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