犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ミャンマー語の先生に再会

2015-08-13 23:51:22 | ミャンマー

 お盆休みの初日、東京でミャンマー語を教えてもらっていたミャンマー人の先生と食事の約束をしました。

 場所は六本木の東京ミッドタウン内にあるベトナム料理の店。数日前に出会ったミャンマー人が経営している店です。六本木に職場のある娘も誘ったのですが、この日は渋谷の取引先のところに行くということで、来られない。

 また、先生の息子さんも、バイトが休めないというので、結局、私たち夫婦と先生の3人で食事することになりました。

「知っているお店ですか」

「いえ、行ったことはないんですが。社長がミャンマー人なんですよ」


 行ってみると、店はそれほど広くなく、満席で5人ほど並んでいました。

「人気あるんだ…」

 ランチは、フォー、カレー、トムヤムの組み合わせ。純粋なベトナム料理というより、アジアのフュージョン料理といった趣です。

 鶏肉がメインで、豚肉はほとんどないので、ムスリムの先生も食べられそうです。

 待っている間に、店員さんに聞いてみました。

「社長は来てますか」

「いや、まだ来ていません。もしかしたら2号店に行っているかもしれません」


「ああ、武蔵小杉の」


「よくご存じですね」


「ここの店員さんはミャンマー人もいるんですか?」


「ええ、ベトナム人が多いですけど、ミャンマー人もいますよ」


「実は、こちらの方、ミャンマー人なんですよ」


「そうですか」


 席に案内してもらったとき、その店員さんは厨房のほうに声をかけました。

「ミャンマー人のお客さんですよ」

「ミンガラーバー(こんにちは)」


 奥から若い男の店員が挨拶してくれました。

 それぞれ、チキンカレーとフォーのセット(千円)、それに追加で生春巻き(300円)も頼みました。カレーはタイ風でココナツミルク入り。お店の感じも、調度品や食器もおしゃれで、味もなかなかでした。六本木でランチ1000円は、リーズナブルでしょう。

「ところで、息子さんは新しいバイト先、見つかりましたか」

 今、日本橋のてんぷら屋でアルバイトをしている息子さんは、日本語学校に通うようになったら、時間が合わないので、どこか別のアルバイト先はないかと相談されていたのです。このベトナム料理屋に来た理由の一つがそれでした。社長がミャンマー人だし、ホームページを見ると、アルバイトを募集していたので、ちょうどいいかと思ったのです。

「ああ、実は、時間を変更してもらえることになったので、てんぷら屋で働き続けることにしました」

「そうですか。それはよかったですね。時給は上がったんですか」


「ええ、50円あげてもらえました。後輩も入って、いまは後輩に仕事を教えています」


 そのてんぷら屋さん、裏方はすべてミャンマー人のアルバイト。最初に雇ったミャンマー人がたいそう真面目で、仕事がよくできたので、ずっとミャンマー人を雇い続けているんだとか。

 食事が終わって、ミッドタウン内を少し見て回りました。

「ちょっと、あれ見て」

妻があるフルーツショップのぶどうを指さします。

「3万円!」

 先生も目を丸くしています。

「どんな人が買うんだろう」

「ミャンマー人の3か月分の給料ですよ」


「でも、先生も博士号をとって帰国したら、給料がずっと上がるでしょう?」


「そうなって欲しいですね」


 先生は公務員で、国から奨学金のでる政府留学生。専攻は金属工学で、アルミなど非鉄金属の再生について研究しているんだとか。ミャンマーに帰ったら、その技術を行かして枢要な地位につけることでしょう。


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