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雲のように彷徨っていると




欧州の春を告げる花の一つ、ナルキッソスが、花屋はもちろん、スーパーマーケットにも山積みされる季節が今年も巡ってきた。
一束、15本で1ポンド(約150円)で買える春の先駆け。
言葉選びがダサすぎてあまり言いたくはないが、まさに「春の妖精」。

イングランドは三回目のロックダウン中、家から出られないばかりか、窓から眺める空にも灰色の雲が垂れ込める2月、太陽のような色の薄い花びらを開いて暗い家の一角を輝かし、えもいえぬ香りを振りまく。

ブルージュのベギン会修道院の春の黄金の庭を思い出す。
小さかった娘と散歩した黄色の小道を。


ワーズワースの有名な『水仙』を訳してみた。
韻も踏めていないし、貧しい言語能力と文学的素養ゼロの限界をさらすようで恥ずかしいが、今年の今の気持ちにぴったりなので、笑わず、あきれず、読んで頂戴。

...

わたしは彷徨(さまよ)っていた
谷と丘の上にうかぶ孤独な雲のように

突然、目の前に
黄金に輝く水仙の群れが

湖のそば、樹々のしたに
風に揺れて踊る

銀河に輝く星々のように
またたく

水の縁に
永遠に続くかのように広がる

わたしの目に映るのは10000の花
頭を振り立ててすてきな春の踊り

湖の波も踊る
花の踊りは歓喜の波を起こす

わたしは喜びに満たされる
愉快な仲間にかこまれて

見つめ、見つめるが
言葉にならない
他にどんな富がこんな喜びを与えてくれる?


ソファに座って空虚さと悲痛に沈んでいる時
ふと思い出す
孤独なまぶたの裏に浮かぶのはあの光景

するとわたしの心は喜びに満たされ
水仙と一緒に踊りだす


I wandered lonely as a cloud
That floats on high o'er vales and hills,
When all at once I saw a crowd,
A host, of golden daffodils;

Beside the lake, beneath the trees,
Fluttering and dancing in the breeze.
Continuous as the stars that shine
And twinkle on the milky way,

They stretched in never-ending line
Along the margin of a bay:
Ten thousand saw I at a glance,
Tossing their heads in sprightly dance.

The waves beside them danced; but they
Out-did the sparkling waves in glee:
A poet could not but be gay,
In such a jocund company:

I gazed—and gazed—but little thought
What wealth the show to me had brought:
For oft, when on my couch I lie
In vacant or in pensive mood,

They flash upon that inward eye
Which is the bliss of solitude;
And then my heart with pleasure fills,
And dances with the daffodils.

"I Wandered Lonely as a Cloud" by William Wordsworth
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