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ブレグジット、食のあとさき



すんごい立派な車海老の写真、撮ったはいいが生々しすぎて載せるのをやめた。
代わりに、昨日頼まれて作ったパリ・ブレスト。
今回はプラリネ・クリームにローストしたアーモンドと、
アマルフィの砂糖がけレモンピールを合わせた。これが合うのですよ。



英国の料理は、世間一般に知られているようにまずい。

できればもっと婉曲的な言い方をしたいのだが。

ただ、食材はいいものがなくはないので、処理や料理の仕方が悪いのだと思う。


わたしの住んでいる街には家族経営の魚屋さんがある。
ちなみに家族経営の肉屋さんもある。肉はオーガニックの農場から直販で買っているためほとんど利用しないものの、英国でもどんどん減っている個人商店の存続は応援したいと思っている。

で、日本人としてはこの魚屋に世話にならない手はない。
夫はあまりにもしばしば「刺身用」を買い求めるので、店の奥で「刺身紳士」とかあだ名されているかもしれない。

この魚屋でも、一年に一回くらいの確率で解凍の仕方が悪かったのだろう、水っぽく味が抜けた魚介を買わされてがっかりすることもあるとはいえ、わたしの英国生活にはなくてはならないお店のひとつなのである。


金曜の夜、娘が「今夜の手巻き寿司の具に海老の天ぷらを」というので、夫が海老を買いに行った。
そうしたらものすごく立派で、見た目も新鮮なぴちぴちした車海老を買って来た。20センチ、15尾で...恐る恐る値段を聞いたら15ポンド(2千円ほど)。安っ。
頭と殻は後日アメリケーヌ・ソースを作るために冷凍しておくのだが、みそからしてとてもおいしそう!!

この海老が抜群に美味で、どれだけ美味かというと、わたしの天ぷらの腕が上がったのかと錯覚してしまうほどだった。
土曜の夜は天ぷらそのもので楽しむため、夫はまた海老を買いに行った。

そういえばこのところムール貝も、スズキも、カニもイカも、今までとは違うレベルでとてもおいしかったことを思い出した。

なぜか。


ブレグジットは英国と欧州の貿易力学を変化させた。

EUをぬけた英国は、新たな通商ルールに従い、各製品ごとに膨大な税関書類を作成、またそれを厳しくチェックされる必要がある。
この慣れない作業に今までにはない手間がかかり、最近は多少は改善されたのかもしれないにしても、英国の海でとれた、EUに出荷されようとする高級魚介類がトラックの中で劣化していくのをただただ見守るだけだと言う。
EUでは、一番いい食材はパリの市場に集積され、そこから再分配されるのが常なのだそうだ。

トラックの中の魚が古くなって売れなくなるのに何日かかるのかわたしは知らないが、たぶん、2、3日の遅れではないことは間違いないだろう。

もしかしたらパリの市場に集積されるはずだった魚介、流通が悪いためにだぶつき、英国内の市場に出回っているのではないか...

というのがわたしの読みである。
単なる想像である上に、いつまで続くのかも分からないが。

ブレグジット、功罪?
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