今日の日経新聞朝刊32面~33面の記事。
「自分に合った大学探しに生かす」として、「社会人が見た大学の姿を映す」企画を日経リサーチがインターネット調査で7600人の回答をもとに集計したものである。総合ランキングは以下の通り。
1位 東京大学
2位 慶應義塾大学
3位 京都大学
4位 早稲田大学
5位 一橋大学
6位 上智大学
7位 筑波大学
8位 青山学院大学
9位 お茶の水女子大学
10位 同志社大学
11位 明治大学
12位 中央大学
13位 立命館大学
14位 大阪大学
15位 東京工業大学
16位 立教大学
17位 北海道大学
18位 東北大学
19位 学習院大学
20位 日本大学
名だたる名門大学が並んでいるものの、旧帝大なら、名古屋大学や九州大学も出ていないし、有力私立大学なら、東京理科大学、法政大学、関西学院大学、関西大学といった大学も出ていない。
無論、私の母校、産業能率大学、明星大学、武蔵野大学、放送大学もでていない。まあ、大学のブランド調査だから仕方ないか・・・と思っていたところ、この調査にはいろいろと不可解なことがあるのが判明した。
まず、調査対象が既に圧縮されているということ。
既に144大学に圧縮されており、この段階で私の母校は消失していた可能性が高い。しかも、訳がわからないのが、「144大学を24グループに分け、回答者1人あたり6大学について答えてもらっている」としている点。一体、どのような調査方法なのか、イメージがわかないが、誤解を恐れず、考えてみると・・・」
グループA
1 東京大学
2 東京理科大学
3 九州大学
4 ××大学
5 ○○大学
6 △△大学
と、とある回答者はリストアップされる。そして、「現在イメージ」「伝統イメージ」「将来イメージ」の3つに対して、それぞれ5項目の質問を「そう思う」「まあそう思う」「どちらともいえない」「あまりそう思わない」「そう思わない」と採点していくのではないか?
当然、東京大学が出されてしまうと、それ以外の5つの大学は評価が低くなるのではないか?それがたとえ、早慶上理の一角の東京理科大学であったとしても、旧帝大の九州大学だったとしても、東大を凌駕するのは困難だろう。
そして、低評価となった「東京理科大学」や「九州大学」だったとしも、もし、6つの大学が以下の感じだったらどうだろう?
グループB
1 東京理科大学
2 ◇◇大学
3 ■■大学
4 ××大学
5 ○○大学
6 △△大学
グループC
1 九州大学
2 ◇◇大学
3 ■■大学
4 ××大学
5 ○○大学
6 △△大学
きっと、グループ内トップのイメージの良いブランド大学として、、ポイントはアップするのではないだろうか?
それが証拠に、以下の表をみてほしい。
おかしいと思いません?144の大学を対象にしたにもかかわらず、「社会への貢献」「教育・研究力」「人的資産・信頼」のいずれにおいても、総合ランキング20位以内の大学しかランクインしていないのである!総合ランキングにランクインしなくても、「名古屋大学」や「関西学院大学」、あるいはその他の大学でも、個別の項目なら入ってくることもありえるだろう。しかし、各項目ごとにランクアップ・ランクダウンがあるものの、総合ランキング20位に入った大学の間で上下変動しているだけなのである。
無論、この表の作り方に対して、私が読み切れない特殊条件があれば、それは私の知識不足、読解力不足によるものである。
だが、この日経リサーチの調査、あるいは、日経新聞の記事の目的は「自分に合った大学探しに生かす」というものである。それが、こんなバイアスに塗れた、訳のわからぬランキングで、公の報道がなされていいのだろうか?日本には大学が20しかないということなのか?受験生にこの20大学だけから大学探しをせよというのだろうか?
次男も来年は高校3年生。理系の大学を目指している。国公立なら、ランクインしている「東大」「東工大」以外にも、「東京農工大学」「電気通信大学」「首都大学東京」等いい大学もあるのだが、なかなか、ビジネスパーソンのイメージには上がってこない。しかし、各人に最適な大学は、別にランキング表に上がっている大学だけではないのだから、適切に進路を見極めてほしい。