東京都世田谷区で放火事件が起きた。
放火したのは、その家の中2の息子だった。
父親から「学校に行きなさい!」と毎日叱られたので、父親をうらむようになり、
放火するという気持ちが起きたようだ。
この事件で、生後2ヶ月の女の子が死亡、両親が重症の被害。
この事件を聞いたとき、
少年がそこに至るまでの気持ちを考えると、少年を責めることはできないと思った。
8年前(少年が6歳のとき)、両親が離婚。
離婚当初から昨年12月までは母親と二人暮らしをしていた。
小学校でもイジメにあい、中1の1学期末にクラスでけんかがあり、少年は不登校になる。
少年は野球部に所属していた。ふざけて先輩に投げたボールのことでけんかになった。
当時の校長先生は「野球より友達を求めて部活に参加しているような生徒だった。それだけに仲間とのトラブルは深刻だったかもしれない」「部活での問題以外にも不登校の要因があったのでは」と話している。
家庭内暴力も始まり、母親は児童相談所に相談した。
1ヵ月半施設で暮らしたが、
その頃の少年の印象は「口数が少なくおとなしかった」と話している。
その施設から出るとき、施設側は母親との生活を困難だと判断した。
児童福祉施設に入るか実の父親のもとにいくかの選択肢のなかで、
少年本人は父親との生活を希望した。なんてかわいい少年なのだろう。
まだ14歳の子供だもの! 父親を慕っていくのは当然だよ・・・!
両親が、離婚というやむお得ない結果になったとしても、子供に対する責任はとってほしい。
中学生の子供はまだ一人で生きていけないのだから!
1月から、実の父親と新しい母親と、生後2ヶ月の赤ちゃんとの生活がはじまる。
少年は学校も転校し、自分を変える気持ちが強かった。
転校当時は誰よりも先に登校し、生きることに一生懸命だった。
「事件を起こす3日前までは、休まず、まじめに登校していた。それでも父親から『学校へ行け』と何度もしかられた」と少年は供述しているという。
気持ちを切り替えて生活しようとしていた少年が、父親からの度重なる叱責に不満を募らせていたという。
少年の小学生時代の作文には、「弁護士になりたい」と書いていた。
その夢を抱いた少年が、どうしてこういうことになったのだろう・・・。
残念である・・・。
その少年の気持ちを理解してあげる人はいなかったのか?
その少年が孤独で苦しんでいることに気づいてあげる人はいなかったのか?
その少年の気持ちを聞いてあげる人はいなかったのか?
その少年がどんなに寂しかったかと思うと、胸が痛む。
新しい家庭では、まだ生まれたばかりの女の子に両親の気持ちが集中し、
少年は置き去りになっていたのではないだろうか?
少年は、まだ14歳・・・。
まだ甘えたかったんだよ。きっと。
自分が誰からも必要とされていない寂しさが、どこかで爆発しちゃったんだよ。きっと。
転校した学校でも、新しい家族のなかでも、自分の居場所がなかったんだよ。きっと。
その根本的なところを理解せずに、
「学校にいきなさい!」とおしつけるだけでは、解決にならない。
「なぜ、学校に行きたくないのだろうか?」「何か原因があるのではないだろうか」を
父親をはじめ、
まわりが考えるべきではなかったのだろうか?
ただひたすら「学校に行きなさい!」と、外に放り出した父親。
玄関にうずくまっている少年。
そんなことは、教育にならないよ。
そんなことをすると、少年の心はますます荒んでくる。
14歳の年齢では誰かが助けてあげないと、生きていけなのだから。
今回の事件で、この中学2年生の少年を責める資格が大人にあるのだろうか?