マンション管理士日記

地域を守る:マンションと地域の融合

ある日の新聞記事

2011年11月17日 | 喜働

マスコミには真実を伝える役目があります。 とは言え、人々の気持ちが暗くなるような記事あるいは批判するだけの記事ばかりを載せるのでは、社会の公器として機能しないんじゃないでしょうか。

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常々そう考えていますが、今朝は ちょっと異なる記事がありました。

以下、そのまま転記します。

◆ 歴史学者の今枝由郎さんがブータンを旅したときのことという。 迷い込んだ狭い道で車が立ち往生した。 向きを変えようにも、段差があって身動きが取れない。

と、助けを求めたわけでもないのに、通行人の男性がそばの石を拾い、黙って段差を埋めはじめた。 通り合わせた人が一人、また一人、作業に加わる。 誰も言葉を発しない。 数分にして段差は消えた。 すべては黙々と始まり、黙々と終わったという。

今枝さんが以前、岩波書店の宣伝誌 『図書』 に寄せた随筆のなかにあるこぼれ話である。 おなじみのNGP(国民総生産)ではなく、「GNH」(国民総幸福量)を提唱しているヒマラヤ山麓の国の、心やさしいお国柄がよく表れた挿話だろう。

10月に結婚式を挙げたばかりの初々しい国王夫妻が国賓として来日した。 あすは被災地の福島県相馬市を訪問するという。 折しも日本人はいま、思いやりという心の小石を持ち寄って、被災地にある苦しみの段差を埋めようとしているところである。

<ブータンも田を植ゑる国うたの国>(田中裕明)。 日本と似たところもある。 その国にもっと似たいところもある。 ◆

読売新聞 朝刊の 『編集手帳』 です。

記者が昔から知っていて、じっと温めた話をこの機会に記事にしたのか。 あるいは、来日の際にブータンを調べる過程で知った話だったのか。

いずれにしても、久々に心温まる良い記事だなぁ と感じました。

そうして、個人的には次のように考えます。

自分が手にした小石が被災地までは届かない人も居るでしょう。 それでも、自分の周囲で発生する苦しみの段差を、その小石で埋めることは出来るはずです。

車椅子で難渋する人にも、困っている視覚障害の方にも、迷子になった幼児にも。

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