トイレ掃除によって、荒れた学校が生まれ変わりました。
広島県立 安西高校。 掃除で校風が劇的に変わり、七年ぶりに体育祭が開催された学校です。
平成13年の暮れに 「広島 掃除に学ぶ会」 の会場にしてもらうまでの安西高校は、地元警察の協力が無ければとても手が着けられない危険な学校でした。 生徒たちは、警察官の巡回に見守られて登下校をしていました。
校内は荒廃し、生徒の心も荒みきっていました。 驚くことに、グラウンド一面、草が茫々だったのです(野球部が使っている場所以外)。 体育の授業。 生徒はジュースを飲みながら、普段着でダラダラ。 先生も厳しく注意できない。 そんな状況でした。 雑草が生い茂っていたのは、グラウンドが使用されていなかったのが原因でした。
校内には至る所にゴミが散乱し、所かまわず平気でゴミを捨てていました。 トイレの中も想像を絶する汚さでした。 当然、校内の風紀も乱れていました。 素顔がわからないほどの厚化粧。 シャンデリアのようなピアス。 授業中でも生徒は好き放題。 壁にもたれて携帯電話。 学校側も風紀の粛正に追われて授業にまで行き着かない状態。
「一学期はたいへんですが、二学期は静かになりますから」 そう話す先生。 それは、一学期の間に、問題の生徒が退学する、という意味だったのです。 当時の退学率は50%。
「掃除に学ぶ会」 の実施が決まってから。 校内にポスターを貼り、問題行動の生徒の顔を見れば、来るように声かけ。 開催日が近づいてからは、電話で勧誘。
そして、当日。 280名が参加したのです。 参加した生徒は、「ワァー」「キヤー」 ち言いながらも、トイレ掃除にどんどん熱中したそうです。 掃除終了後、生徒たちは清々しい笑顔を満面に浮かべていました。
鍵山相談役から 『三回くらい続けてやったら、安西高校も良くなりますよ』 そう言われた言葉を信じて、二回目・三回目を実施しました。
三回目は、新学期を迎えるに当たって、きれいな環境でいいスタートを切らせたいという思いから、PTA主催で生徒と教員と保護者が三者一体となって掃除をしたそうです。
劇的な変化。
掃除を続けて、校内は急速にきれいになっていきました。 並行して、校風がガラリと変革しました。 服装の乱れも見なくなり、問題行動も激減してきました。 外部の人々から 「変わったね」 と言われるようになりました。
そして、十月に開催された体育祭。 実に七年ぶりの復活でした。 最初の掃除から10ヶ月。 チームワークのとれたマスゲーム。 あの問題行動を起こしていた生徒たちが……そう重うと、涙が止まらなかったそうです。
今まで注目されることも期待されることもなかった生徒たちが、外部の人々から温かい目で見られることが励みになり、嬉しい思いがしたのでしょう。 トイレ掃除を積極的にやるようになった生徒たちを見ていると、教育の原点だと感じるそうです。
ちなみに、平成十三年度に169名だった退学者数が、平成十六年度には44名に激減しています。
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