日々茫然

猫・本・アート・日常生活などを、つれづれと思いつくままに記録

『西の魔女が死んだ』 梨木香穂

2006-07-23 | 本と漫画の話

なぜ急にこの本を読んでみようと思ったか、何かきっかけがあったのですが、忘れてしまいました。何かの書評で見たのだったっけか…?
人気のある本だというのは知っていたのですが、好きなジャンルではなさそうなので、ずっとスルーしていました。
仕事を辞めて時間ができてから、ほんのわずかですが、普段読まないような本にも手を出すようになりました。

中学生のまいは不登校になって、気分を変えるために田舎で暮らすおばあちゃんのところへ預けられます。
大好きなおばあちゃんのところへ行けて、うれしいまい。
イギリス人のおばあちゃんは魔女の血筋だと聞き、自分も魔女修行を始めます。
魔女と言っても、いわゆる魔法使いのような魔女ではなく、医者も天気予報もなかった時代、薬草を使い病気を癒したり、自然を知ることで天気など知りたいことを教えて(占って)くれた存在のこと。
「魔女修行」というのも、一番大切なのは、意志の力を強くし、何事も自分で決めることでした。そのための第一歩は、規則正しい生活をすること。
最初はがっかりしたまいですが、おばあちゃんとともに自然に寄り添った生活を続けるうち、次第にまいの心は癒されていきます。


不覚にもラストで少し泣いてしまいました。
涙を見せるのが恥ずかしいと思ってしまい、めったな事では泣かない私ですが、おじいちゃんおばあちゃんっ子だったので、ジジババものには弱いんです。


読み終わってふと思ったのが、先日読んだばかりの「リトル・トリー」です。
祖母のところへ預けられて、愛されながら自然のことや生き方を学ぶ…
これは日本の「リトル・トリー」みたいです。
偶然にしても、不思議なめぐり合わせで、よく似た本を続けて読みました。

未成年や若い世代の起こす事件が相次いでいます。
未成年の起こした殺人についての裁判も話題になりました。
家族や人との関わり方に問題があって、短絡的としか思えない犯行に走っているように思えます。
そんなことについて、ニュースを目にする度、色々考えざるを得ない毎日です。
こういう時に読んだ2冊の本。
子供って育て方次第なんだよなぁ、とあらためてしみじみしてしまいました。

余談ですが、先日も100均で、3人くらいの男の子が、売り物のプラスチック製と思しき肩叩きを、床に激しくコンコンたたきつけて遊んでいました。
店内は混雑していて、大人もいっぱいいるのに、誰も見てみないふり…
私も近くに親がいたら面倒だし、としばらくは放っておきましたが、あんまりしつこくやってるし、壊しそうな勢いだったので、たまりかねて
「売り物で遊んじゃダメよ、壊れるよ」
と注意しました。
すると、私が注意した言葉にかぶさるように、ようやく隣の棚の間から親らしき人が顔を出し、子供の名前を呼んで呼び寄せ、去って行きました。
他人に注意されているのを察知して、面倒なことにになる前に呼んだというようなタイミングでした。子供を叱る気は全くなし。
親が育て方を解ってないというか、ちゃんとした人間に育てる気がないですね。
虚しくなってしまいました。

そういえば、「うるさいから」「邪魔になったから」って、子供を虐待したり、殺す親も…

今の子供達には、真っ当に育つために必要なのに欠けている環境や体験が、いっぱいあるんじゃないでしょうか。
トリーやまいがしたような体験を、たくさん与えてあげられたらな…

コメント (4)
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