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綾辻行人原作・佐々木倫子漫画の推理コミック『月館の殺人』下巻がついに発売になりました
綾辻先生は“館シリーズ”の新作が出れば必ずおさえておく作家さんで、佐々木先生は全て揃えるくらい好きな漫画家さんです。
しかしこのコラボレーションは予想外で、意表を突かれました。
佐々木先生は絵柄こそ写実的で緻密なのでミステリーに合うような気はしますが、作風はおとぼけ路線なので、筋書きがドロドロしがちな綾辻先生と…と思いました。
読んでみると、おとぼけ路線はそのままに、ちゃんと殺人事件が起こりました(笑)
しかも“館シリーズ”に数えてもいいかもしれない。設計者は違うのかな…?
ちょっとボーッとした主人公空海(そらみ)は、母が鉄道嫌いのせいで、今まで一度も鉄道に乗った事がありません。修学旅行すら行かせてもらえませんでした。
その母も高校卒業を間近に亡くなり、父を早くに亡くしていた空海は天涯孤独に。
ところが、母が父と駆け落ちをして以来全く音信不通で存在すら知らなかった資産家の祖父(母の父)が、相続人として空海を呼び寄せたのです。
祖父の指定した冬の北海道を走る夜行SL「幻夜」に乗り込んだ空海は、それが祖父の貸切で、他に6人(一人は探偵)の鉄道オタク通称“テツ”が招待されていることを知ります。
彼らと会話するうち、祖父が“テツ”達から憧れられるほどの有名な鉄道マニアであることや、首都圏で起こっている無差別連続殺人事件の被害者に、実は全員“テツ”という共通点があったことがわかってきます。
個性的なテツ達とのドタバタ珍道中のはずが、ついに「幻夜」でも殺人が…
というところまでが上巻です。以下、下巻の感想です。ハッキリとは書いてませんが、ネタバレやヒントになっちゃうかもしれないので、これから読むつもりの方は注意してください
冒頭の“テツ”による事故(事件)の場面、主人公の過去、時々挿入される祖父の館の様子など、様々な意味ありげな伏線があちこちに張り巡らされ、続きが気になって気になって…
上巻の最後の場面で「幻夜」の秘密が明らかになっていたので、犯人はおよそ見当が付いていましたが、結末はちょっと拍子抜けでした
下巻を待ってる間にあれこれ深読みと言うか、考えすぎて、解決に向けての期待を高めすぎてしまった
しかも犯人は上巻で結構いい人キャラだったので感情移入していたのに、どうも動機が…想像していたよりあっさりしていて、
復讐だと思っていたら …ええっ動機をそれで片付けちゃうの
後半、もっと話を深めて欲しかった。ちょっと端折り過ぎのような気がしました。
それにしてもすごく凝った作りの本なんですけど、高いな。
値段見ずにレジに持って行ったら、1,200円でした