日々茫然

猫・本・アート・日常生活などを、つれづれと思いつくままに記録

新聞小説

2007-02-07 | 本と漫画の話

活字中毒と言うのはおこがましいですが(言うほど本読んでないので)、手持ち無沙汰な時は、「とにかく何か読むもの」を求めてしまいます。

もちろん、新聞は手近にある文字の詰まった物なので、よく読みます。
政治経済とか興味の無いページは全く読みませんが

うちは読売新聞なんですが、新聞小説が2本載っています。
現在は、松浦寿輝『川の光』と、沢木耕太郎『声をたずねて、君に』が連載中です。
土曜日だけ、まるまる1ページ使って掲載される豪華版?も1本。

『川の光』は、新聞の連載には珍しい、児童文学です。
川のほとりで暮らしていたネズミの親子(お父さん、タータ、チッチの3匹)は、河岸の開発工事ですみかを奪われてしまいます。川沿いを遡り新しいすみかを探そうとしますが、そこは凶暴なドブネズミ(ネズミの一家はクマネズミで、もっと小柄)の支配する区域で、捕まると殺されてしまうので、川沿いを離れてまわり道をすることにしますが、途中で迷ったりはぐれたり、レジスタンスのドブネズミや優しい猫に助けられたり…いろんな出会いや苦労を重ねながら、このネズミの一家が安住の地を探すストーリーです。
はぐれていたタータがやっとお父さん達と再会できて、ドブネズミの支配する区域より上流にたどり着いたのに、その矢先にみんなが病気にかかり、弱っていたチッチが猛禽にさらわれてしまいます うぎゃーチッチが死んだと思ったら…
毎日ハラハラドキドキ、ハプニングが絶えないので、楽しみにしています。

『声をたずねて、君に』は、ラジオで映画を紹介するコーナーを担当している主人公が、ある日突然高熱が出て寝込んだ後、声が出なくなってしまいます。精神科にも行きますが特に原因も思い当たりません。しかし主人公はふと、高熱を出す直前、通りかかったバスの最後列の座席に、自分とそっくりの人が乗っているのを見かけたことを思い出します。他に手がかりも無く、このことを無関係とは思えなくなった彼は、その人を探すことにします。
バスで見かけた人物を探すために、毎日同じ時間帯にバスに乗っていた主人公は、いつもある女性が乗っている事に気付き、思い切ってその人に協力を頼みます。
一方、声が戻らないことを心配したラジオ局の事務の女性から、ある医師を紹介され、そこで特に説明もないまま、1本の注射を打たれます。「翌朝には声が出る」と言われ、現在は、まだ翌朝を迎えないまま、過去の回想に入っています。
時々過去の回想が入ってきて、なかなか話が進みません。イライラしながら先を待っています。

土曜日の連載は、先日までドナルド・キーンの『私と20世紀のクロニクル』でした。キーン博士が人生を振り返る随想のような感じで、小難しい文学論のようなものもありましたが、面白く読みました。現代アーティストの山口晃が挿絵を描いていて、挿絵を楽しみにしていたところもありました
そして新しく始まったのが、中沢新一さんの初めての小説『無人島のミミ』です。今度はなんと挿絵は吉田戦車 まだ始まったばかりで何ともいえませんが、これもまた先が楽しみです。

普段なら読まないジャンルも、新聞に載っていればつい読んでしまいます。
時々、連載中どうなるのどうなるのと気になって読んだのに、何だかよく分からないまま消化不良でエンディングを迎えるものもあり油断ができませんが…(ミステリーのように問題がすべて解決というわけにはいかないようで)
元々が、普通に図書館や本屋で見かけたなら自分からは絶対手を出さない本のジャンルではあるわけで、そういうものも読ませてくれる新聞小説は、私にとって希少で有難い存在です

コメント (4)
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