先回のブログで、竹製の盆を紹介しました。盆の表には、硬い竹を彫り込んで模様が施されていました。
ん!竹に細密彫り!? 例によって、どこかにあったかはずと、あちこちひっくり返して探し当てたのが今回の品です。
長径 5.4㎝、短径 4.1㎝、高 12.1㎝。明治―戦前。
竹製の筆筒です。漢詩と絵が彫られています。
文人が、怪石を見ながら文をしたためています。
上部には、小さな字で漢詩が彫られています。
文字の大きさは、横1.5㎜、縦2.0㎜ほどです。
拡大して見ると、鋭く彫られている事がわかります。筆がはねるところまで彫りで表されています。
文人の髪と耳。
髭と肩部。
微細でありながら鋭い彫りを、どうやって硬い竹に施すのでしょうか。
「月交閑人鉄筆」とあります。
このような彫りは、鉄筆彫とよばれ、篆刻用の小刀を用いて、竹や金属に細かな絵や文字を彫り込む技法です。九谷の細字陶磁器は有名ですが、今回の品は書いたのではなく彫ってあるので、極小文字を表すのはさらに難しいと思われます。
月交閑人なる人物の詳細は不明ですが、微細彫刻の技には驚かされます。
実に細部にまで気を配っているんですね(^_^)
毛筆の文字など、筆のはねまで表現されているのですものね!
ほんと、このような微細にわたる彫刻の技にはただただ驚かされますね。
のでしょうか。うっかりと手が滑ったらもう終わりですね。掘り直しがききません(^^;
道具もそれなりの物が必要ですね。そういえば、故玩館の看板を自力で彫りました。予想以上に大変でした。また、いずれブログで(^.^)
そして、シゲシゲとながめられますよ。
机の上にさりげなく置いておくと、「お主できるな」となります(^.^)
私も若い頃、初めて中国に行ったとき、道端で竹、石、樹脂にこのような鉄筆彫り(?)をしている商売人を見つけ、感心してみていたら、出身地と名前を聞かれ、名前を紙に書くように言われました。
たまたま胸に万年筆を挿していたら、素早く取り上げられ、いきなり行書体で彫り始めました。呆気に取られて驚いてしまいました。
勝手にやったのだからお礼だけ言って逃げようとしたら、お金を要求されました。中国が聞き取れず困りましたが、気持ち的には少しは・・・と思ってはいたので、いまの1000円位でしょうか中国通貨で渡したら大変喜んでいた思い出があります。
とてもいい記念だったのですが、残念ながらその万年筆はいつの間にか行方不明です。
やはり、こういう技術は中国が本場でしょう。元々が篆刻ですから。
いまや印鑑屋さんも風前のともしび。こういう技法を持った人がいなくなるかもしれません。
岐阜にも、竹を精巧に削って作品を作っている人がいます。食べて行くのが大変そうです。
万年筆が出てくるといいですね。