遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

金工12 本間琢斎造 蓮葉ニ蛙茶托

2020年05月03日 | 金工

黄銅製の茶托、5客です。

先に紹介した2種類の錫製茶托に比べ、大きさは一回り小さいですが、分厚く重いです。

蓮の葉の端に、一匹の蛙がのっています。

 

すべて、同じ鋳型でつくられています。

錫の茶托と違って、轆轤や鏨は使われていません。

 

     径 10.2㎝、高 2.4㎝、重 168g(5枚、 866g)

かなりしっかりとした造りです。

叩くと、仏具のおりんのような良い音が響きます

ちなみに、錫の茶托は、ボスッとした音しかしません。

 

一匹の蛙が雰囲気をだしています。

 

裏側も手抜きがありません。

 

裏側には、小さく「琢斎」の銘があります。佐渡の名工、本間琢斎の工房作品です。時代は明治。

本間琢斎は、江戸後期から続く佐渡の鋳金師で、蝋型鋳造の銅製品を多く世に出しました。

この品は、唐物が主流であった煎茶の世界に、琢斎が得意の鋳造技術を生かして、和製の道具類を提供しようとしたものの一つでしょう。明治期、流行し始めていた蓮の葉模様を大胆に取り入れています。

蓮葉二蛙のこの茶托は、かなりの数製造されていて、当時の人気商品であったことが伺えます。その分、例によって、骨董市などでは、「ん?」という品も散見されるので注意が必要です(^^;)

 

 


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遅生さんへ (Dr.K)
2020-05-03 10:27:33
先に紹介された2種類の錫製茶托に比べて、和風な感じがしますね。
これ、鋳型のみで作られていて、轆轤や鏨は使われていないんですか。
繊細な鋳造ですね!
やはり、日本人は器用ですね(^-^;

確かに、骨董市などに、類品が登場してきますが、このように出来の良い物は滅多に登場してきませんね。
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Dr.Kさんへ (遅生)
2020-05-03 12:48:46
陶磁器でもそうですが、和風と唐風のちがいは、言葉で説明するのは非常に難しいですが、物に語ってもらうと納得できますね。

蝋型細工はもちろん中国が先でしょうが、日本人の器用さに向いていますね。

本間琢斎の銅器、他にもいくつかあったのですが、処分しました。ガラクタ類の中では、値が付くからです(^.^)
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Unknown (tkgmzt2902)
2020-05-03 12:50:18
全部鋳型でとありますが、私には一つ一つ表情が違って見えました。蛙も。
蛙は昔から俳諧にも登場し、今もデザインに多く使われていますが、人気のある動物なんですね。
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tkgmzt2902さんへ (遅生)
2020-05-03 13:41:11
蝋型鋳造については、蜜蝋で原型を作り、それを粘土に閉じ込め、熱をかけて溶かしてできた空間に銅を流し込む、という手順が普通には説明されています。ですから、蝋型細工は一品物として珍重されてきたのですが、作家物を除いて、それでは効率がわるすぎます。また、茶托のような組物を作るのも難しいです。実際は型を作り(企業秘密)、鋳造しています。型も同じものを複数個。
この品も、こうやって造られた物でしょう。ただ、一般的な鋳造物と比べると、蝋のしっとりとした質感が残るので品物の表情が豊かで味があります。

蕉風俳諧資料は、またいずれブログで。
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Unknown (tkgmzt2902)
2020-05-03 15:53:43
丁寧な説明、ありがとうございます。よーくわかりました。
鋳造物を見るときに、今までより深く見れるかな。
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こんにちわ遅生さん (たか)
2020-05-03 16:44:42
素敵な茶托ですね。
裏側にまで施された丁寧なお仕事、関心いたしました。
茶が一味、違って感じるかもしれませんね。
私の家に蛙はおりませんが京都で購入した箸置きがあります。
何かの折にさりげなくブログでお見せ出来ればと思っておりますが。
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たかさんへ (遅生)
2020-05-03 17:07:03
和風の雰囲気がよく出ている茶托ですね。
お茶をいただく時は、なぜか雑念が消えますよね。落ち着いて美を楽しむことができるような気がします。

これだけ重いと、安定感がありますね。
箸置きもそうですが、木の品に比べて、重い材質の物の方が落ち着きます。

箸置きは女性に人気の品。ブログにアップを楽しみにしています。
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