裏切り者は野辺に行け
裏切り者は野辺に死ね
錆びた刃物に
また血をなめさせて
わたしは何も知らないと
平気でうそぶく
おまえの瞳に蛇が棲む
あきれた馬鹿は野辺に行け
夜闇に隠れて野辺に行け
たれ知らぬ深い森の奥
滅びた恐竜の霊が棲む
恐怖の酸素の風が吹く
裏切り者は野辺に行け
裏切り者は野辺に死ね
遺骸は蟻が食うだろう
遺骨は風が割るだろう
心は沼に沈むだろう
裏切り者は野辺に行け
裏切り者は野辺に死ね
汚泥にまみれた美をかぶり
愛してくれと迫るたび
おまえの尻尾が割れてゆく
おそろしきものを腹に秘め
愛してくれと迫るたび
おまえの芝居が見えてくる
裏切り者は野辺に行け
裏切り者は野辺に死ね
たれもおまえを探さない
たれもおまえを追いはしない
裏切り者は野辺に行け
裏切り者は野辺に死ね
ことの報いがやすやすと
拭い去れると思ったか
時空の森に吸い込まれ
影も形もなくなって
やっと安らぐ己が身を
抱く手すらももう消える
おまえは二度と帰って来るな
裏切り者は野辺に行け