神殿の祭壇の前で
あるいは石の仏像の前で
神よ仏よ
どうか自分をお導き下さい
お救いくださいと
いくら祈っても 何もご利益はありません
人の魂の救いを
努力と関係のないものにしてはいけないと
ヴェガもおっしゃっていましたが
それこそが真実です
いくらお布施を支払ったから救われるとか
どれだけご奉仕をしたから救われるとか
そういうことは何もありません
ほんとうの救いは
自分自身の人生の
難しい環境の中にこそあるのです
その中で 人間は悩み苦しみ
魂をもまれ
下げたくない頭を無理にでも下げさせられ
自らの憎悪の炎にも身を焼かれながら
泣き泣き生きている
その今の自分の苦しみの中を生きることこそが
真の人生の勉強であり
本当の幸いに向かう正しい道なのです
人間は魂の痛みを深く味わってこそ
前に進むことができる
階段を一段あがることができる
苦悩も 辛酸も 喪失も 孤独も
その人生で味わうあらゆる苦い涙が
自分の魂を育てるのだと思いなさい
宗教などに頼り
その人生の真の勉強から
逃げてはなりません
お金をはらって楽になる人生はありません
一見そのように見えることがあっても
それは刹那的なもの
仮寝の夢のようにすぐに消えてゆく
安っぽい奇跡の中には
人間の真実の幸福はありません
真の神は
すでにすべての人類を幸せにしています
なにもかもを与えています
どうすれば幸福になれるのか
それにはまず
幸福になりたいという夢を捨てることです
あなた自身の存在にあなた自身が目覚め
あなた自身の力で自分の人生を切り開いていきなさい
努力を積み 努力を積み
努力を積み
時にちぎれるような心の痛みに耐えながら
自分の魂に苦悩から搾り取れる苦い汁を注いで行きなさい
そうすればあなたの魂は
とてもよいことになってゆくでしょう
祭壇にかけられた掛け軸や
石の仏像に祈っても
何もありはしません
人生における 正しい努力をしてゆきましょう
魔法のようなことで
自分の人生の苦しみから逃げることはできません
こつこつと現実の自分ができることを積み重ね
本当の自分を熱く生きて行くことこそが
真実の幸いだと気づくまで
悩み苦しみなさい
人間の不幸というものは すべて
このような人間の誠実な努力を
放棄してしまうことから始まるのです