■メイン写真
竜王山山頂にある木製展望台
■今回のコース
車作バス停→清水廃寺→岩屋→瀧不動明王→穴仏→竜王山→宝池寺→忍頂寺交差点→
(キリシタン自然歩道)→キリシタン史料館→千提寺口バス停
いつのまにか5年連続となる。茨木市立生涯学習センター主催の自然体験教室
「はじめての登山」の講師を、今年も担当させていただいた。
この自然体験教室、1回目が座学、2回目が実地(山行)というカリキュラムになっている。
青年時代を過ごした茨木市に、今もご縁を頂けることには感謝の念しかない。
座学は、11月16日(土)に実施した。
PowerPointで数十枚のスライドを用いた2時間の講座で、登山用具を実際に展示して
説明した。
山行当日。阪急バスで終点の車作へ。
出発前に、まずは登山靴のヒモをきっちり結ぶコツを伝授。
車作の集落のはずれにある石碑。
江戸時代に、集落に農業用水を引くため、権内水路(深山水路)を建設した、
ときの庄屋・畑中権内を称えるもの。
この水路が、今も現役の権内水路。安威川支流から分水している。
清水廃寺。戦国時代、当時このあたりを治めていたキリシタン大名の高山右近が、
領内の寺や神社を焼き払った。
清水寺も燃やされたが、当時の僧侶たちがここの経塚に経典を埋めたという。
その先で、2頭のシカが"くくりわな"にかかり、我々が通りがかると必死で暴れていた。
当然、このあたりではシカやイノシシは害獣でしかない。
竹林を抜けて林道に出ると、しばらく山腹を北上する。
林道終点から80mほど山道を進むと、左に高さ30mもある岩屋が現れる。
ここは、桓武天皇の異母兄で、箕面の勝尾寺を開いた開成皇子が修行した場所。
開成皇子は、高槻の神峯山寺を中興した人でもある。
すぐ先で、左に少し入ると、瀧不動明王がある。
石でできた細い樋から水がしたたり、下に不動明王像がおられる。
次の分岐で、いったん右へ進む。しばらくして標識に従い左の斜面を上がると、
穴仏がある。
戦国時代の戦乱を避けて、忍頂寺の薬師如来を一時的に隠したという。
ここで断食の修行をしていた修験者がいたとも伝わる。
先ほどの分岐に戻り、短い急登にさしかかる。
雑木林の中、タカノツメなどの黄葉がいい感じで色づいている。
タカノツメは落葉すると甘い香りを放つ。ここも芳香に包まれていた。
そのうちに傾斜は緩み、山頂部にある高さ13mの木製展望台に着く(メイン写真)。
平成13年、大阪府が北摂自然公園を制定した時に建設された。
柱や梁にベイマツ集成材を、デッキ、階段、手摺などに大阪府産のヒノキを使用している。
ちょうど色づいていたカエデの紅葉を見みがら展望台に上る。
この日は晴天に恵まれ、展望台からは、生駒山や大阪市内のビル群が見えた。
展望台から下りて、すぐ横の竜王山の山頂へ。ここには三角点が埋まる。
樹木に囲まれて展望はない。
山頂直下にある宝池寺へ。
宝亀年間(715年~716年)に起きた大干ばつの時、開成皇子が池を掘り、八大竜王を
召請した由緒ある寺だ。
ご住職の尼さんが、法螺貝を立ててくださった。さらに、希望者3名に法螺貝を
吹かせてくださった。毎年ありがとうございます。
なお、宝池寺では来年2月9日の護摩焚き(火渡りもできる)の行事が行われる。
参道を下り、忍頂寺交差点へ向かう。桟道入口の鳥居脇のカエデも美しく紅葉していた。
キリシタン自然歩道に入ると、かつて忍頂寺小学校で使われていたプール跡の横を通る。
川の水を引いていたという、いい時代だ。
素朴な未舗装の道。切通しを抜けると、竹林が広がる。
山行のラストに、茨木市立キリシタン遺物史料館に立ち寄る。
千提寺や下音羽は、高山右近の庇護を受けた隠れキリシタンの里だった。
有名なフランシスコ・ザビエルの肖像画も、この近くの民家で見つかった。