ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

美祢線の復旧はいかにあるべきか

2024年06月13日 08時00分00秒 | 社会・経済

 このブログで美祢線を取り上げたのは、2023年7月1日23時59分40秒付の「JR西日本の美祢線が気になる」でした。それから1年弱が経過しています。

 JR西日本は、美祢線について単独での復旧などが困難であると表明しています。今年の5月に、JR西日本広島支社長が美祢線利用促進協議会総会で発言しており、少なくともJR西日本単独での復旧が難しいとのことです。これに対し、山口県知事がJR西日本の姿勢に反発を示したようです。美祢線が山口県内で完結する鉄道路線であるためでしょう。朝日新聞社が、2024年6月12日10時30分付で「『被災地が割を食うのは本来でない』山口県知事、美祢線の復旧主張」(https://www.asahi.com/articles/ASS6C455CS6CTZNB004M.html)として報じています。

 6月11日に開かれた記者会見で、山口県知事は、あくまでも美祢線の復旧を求める姿勢を示しました。復旧は鉄道事業者が速やかに行うのが原則であるとした上で、上記朝日新聞社記事の表現を借りるならば「たまたま被災したところが割を食うというか、非常に不利な状況の中で、JRの見直しの中に引きずり込まれていくのは本来の在り方ではない」と述べたようです。また、JR西日本が美祢線利用促進協議会総会において「美祢線の持続可能性を議論する部会を協議会に設置し、おおむね1年以内に方針を決めるよう要請した」ことについても、JR西日本がそもそも復旧費用などを全く示していないと語っています。たしかに、これでは山口県知事が反発するのも理解できます。JR西日本が、表現はともあれ内心では美祢線の廃線を望んでいることが透けて見えるからです。

 しかし、現実的にはJR西日本単独による復旧は難しいと思われます。その理由は「JR西日本の美祢線が気になる」において記しましたが、この路線が幹線と位置づけられたのは石灰石輸送などの貨物運輸が活発であったためでして、旅客輸送のみを取り出せば地方交通線のレヴェルです。1987年度の平均通過人員は1741でしたので、貨物輸送がなければ第2次特定地方交通線に指定されたほどの水準です。このブログで何度か登場している「2022 年度区間別平均通過人員(輸送密度)について」(JR西日本)によると、美祢線の2021年度の平均通過人員は366、2022年度のそれは377でした。同じ山口県内の路線である小野田線より僅かに高い程度です。莫大な費用をかけて復旧するだけの価値があるのかどうか、答えは明らかであると言えるのではないでしょうか。

 仮に鉄道路線として復旧するということであれば、美祢線の終点で接続する山陰本線と合わせて、山口県が上下分離方式の「下」の部分を担うくらいの覚悟が必要になる可能性は高いでしょう。今後、大都市を含めて、長期的に鉄道の利用客が増加することを想定し難いことを念頭に置くと、鉄道会社の内部補助の構造を維持することの困難性が高くなるのは自明です。また、都道府県は、これまで鉄道よりも高速道路あるいは自動車専用道路の建設を優先してきたことを、決して忘れてはなりません。仮に忘れているのであれば、鉄道を語る資格はないと厳しく指摘しておく必要があります。

 それにしても、国土強靱化とは一体どういう政策なのでしょうか。

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川崎市バスも減便へ

2024年05月29日 13時00分00秒 | 社会・経済

 2023年から、このブログで2024年問題などとして、路線バスの減便問題を取り上げています。やはり、大阪府の金剛自動車が路線バス事業から撤退し、廃業するというニュースが最も衝撃的でしたが、減便は全国的な問題となっており、今年に入ってから横浜市営バスの減便が神奈川県内ではよく話題となっています。

 そして、私が住んでいる川崎市です。川崎市交通局も、5月28日に「鷲ヶ峰営業所管内における一部減便について(令和6年6月10日実施)」(以下、市バス記事と記します)を発表しました。また、朝日新聞2024年5月29日付朝刊17面14版神奈川・川崎版にも「川崎市バス 一部路線で減便へ 来月10日から 運転士不足に対応」という記事が掲載されていました。

 鷲ヶ峰営業所は宮前区にあり、宮前区はもとより、高津区、多摩区、麻生区にある路線を管轄しています。つまり、川崎市の北部に属する全区に路線網があるということです。さらに、僅かながら横浜市青葉区にも路線があります。もっとも、たまプラーザ駅を起点とする、東急バスとの共同運行の「た83」系統のみですが、横浜市交通局が撤退してしばらくしてからの参入で、少々驚きました。

 実際に足を運ぶとわかりますが、宮前区の向丘出張所が管轄する地域は、東急田園都市線と小田急小田原線の間にあっていずれの駅からも遠く、その意味では鉄道空白地帯と言ってもよいような場所です(武蔵野貨物線が通っていますが、旅客営業はありません)。かつては川崎市営地下鉄の計画もありましたが断念されました。そのため、長らく路線バスが頼りの地域です。鷲ヶ峰営業所と、その下部組織である菅生車庫(一時期は菅生営業所でした)は、こうしたエリアをカヴァーするバス路線を所轄しているのです。減便の影響は大きいものと思われます(ちなみに、東急バスおよび小田急バスの路線もあります)。

 市バス記事には、次のように書かれています。

 「市バスでは、これまで運行上の工夫や運転手の確保に努め、ダイヤを維持してきましたが、運転手の不足に対応するため、鷲ヶ峰営業所管内において平日95便、市バス全体の約2%、日中から夜間を中心に一部減便を実施します。/お客様にはご迷惑をお掛けして大変申し訳ございませんが、何卒ご理解賜りますようお願いします。」(/は原文改行箇所)

 この説明には書かれていませんが、同じページに示されている、減便となる路線、および減便されるバスの起点発車時刻の表によると、土曜日は25便、日曜日は24便が減らされます(上記朝日新聞社記事には書かれています)。

 上記朝日新聞社記事には「通勤・通学客が利用する朝の時間帯は極力避け、主に日中から夜間の時間帯で実施するという。可能な限り運行本数が多く、運行間隔が短い路線から減便し、『利用者の待ち時間が少なくなるようにした』と説明している」と書かれています(説明したのは川崎市交通局です)。

 ただ、市バス記事の表を見ると、平日の朝8時台や9時台の便もあります。溝18系統のうち、JR武蔵溝ノ口駅・東急溝の口駅の南口にあるバスターミナル(以下、溝の口駅南口バスターミナルと記します)から鷲ヶ峰営業所までの便です。この路線は、先に記した向丘出張所の管轄地域である神木本町、平、初山などを通り、本数もかなり多いほうですので、減便の本数を多くしたのでしょう。

 それでは、鷲ヶ峰営業所では運転手がどの程度不足しているのでしょうか。上記朝日新聞社記事によると、2024年4月1日現在で181人です。「多い」と思われるかもしれませんが、溝の口駅南口バスターミナルから発着する市バスの本数の多さ(溝18の他にも溝15など、複数の系統が運行されています)を考えると、むしろ少ないとも言えるでしょう。実際、定員より10人少ないそうです。さらに、川崎市のサイトには、2024年2月1日付で「川崎市交通局会計年度任用職員(市バス運転手)の採用選考案内【随時募集中】」というページもあります。

 川崎市交通局としては、正規職員の確保のために、採用選考の時期を前倒しする、あるいは複数回設けるということも検討するようです。さらに、試験科目などの見直しも検討するとのことです。ただ、どれだけ人員を確保できるかはわからない、というのが本当のところでしょう。

 今後、バスのダイヤがどうなるかはわかりません。6月10日に減便した後、年内に再度減便しないという保障もないでしょう。鷲ヶ峰営業所以外の営業所(例:井田、上平間)が所管する路線についても注目しておく必要があります。

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やはり木次線も

2024年05月25日 00時00分00秒 | 社会・経済

 山陽地方と山陰地方とを結ぶ鉄道を陰陽連絡線と表現することがあります。伯備線、山口線、美祢線などが該当します。

 ただ、JR西日本が公表している資料「2022 年度区間別平均通過人員(輸送密度)について」を参照すると、陰陽連絡線には平均通過人員数が低い路線が多く、芸備線の東城駅から備後落合駅までの区間が20、木次線の出雲横田駅から備後落合駅までの区間が56、芸備線の備後落合駅から備後庄原駅までの区間が75、同じく芸備線の備中神代駅から東城駅までの区間が89となっています。路線バスでも採算が合わないであろうと思われる数値が並んでいる訳で、JR西日本がどうにかしたいと考えることも理解できますし、インターネットの世界で廃線こそが妥当という意見が多いのも当然です。

 私自身、沿線自治体の態度には怒りを感じる部分さえあります。「今更」感が拭えないからです。有名なYouTuberである鉄坊主さんなどの動画では何故か言及されていないことが多いのですが、最近存廃論議の対象となった鉄道路線には、1980年代の国鉄改革において特定地方交通線に指定される可能性が高かったものの、除外要件に該当したために存続したというものが目に付きます(例、留萌本線、日高本線、津軽線、久留里線、芸備線、木次線)。40年前の議論が(多少とも形は変わっているものの)再燃したと言えるでしょう。

 「これまで道路整備に力を入れて鉄道など見向きもしなかったくせに、今さら廃線反対なんて叫ぶのかよ!」

 「廃線協議には応じられないなんて、どの面を下げて言っているんだ?」

 「おまえたちに文句を言う資格はないだろう!」

 全てという訳ではないのですが、これまで存廃協議の対象となった鉄道路線について、上記のように感じられる所は少なくないでしょう。

 さて、今回は木次線の話です。山陰本線の宍道駅(島根県)から芸備線の備後落合駅(広島県)まで、営業キロが81.9の路線となっていす。

 この路線については、沿線自治体も存続に向けた努力をしていたようです。しかし、そもそも人口が少ない地域であり、陰陽連絡線の一つとされていても、その役割はとうの昔に終わっています。2022年度の平均通過人員をみると、出雲横田駅から備後落合駅までの区間は既に紹介したとおりであり、宍道駅から出雲横田駅までの区間でも237、全線で171となっており、鉄道で残されていることが奇跡的である、とまでは言えないまでも、鉄道路線として残すことのほうが困難であると評価することは可能でしょう。

 そして、「ついに」と記すべきでしょうか、JR西日本は木次線の今後について議論を行いとの意向を2024年5月23日に明らかにしました。ここでは、山陰中央新報デジタルに2024年5月23日21時25分付で掲載された「【図表】JR西 『木次線のあり方』奥出雲町など沿線自治体と協議の意向 丸山知事『廃止前提であれば応じられない』」(https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/579818)、同じく山陰中央新報デジタルに2024年5月24日4時0分付で掲載された「白紙強調も自治体反発 唐突な表明、広島側はJR批判 木次線在り方協議意向」(https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/579946)、および、朝日新聞社のサイトに2024年5月24日10時30分付で掲載された「JR西、利用低迷の木次線のあり方議論を 首長ら、廃止前提なら拒否」(https://www.asahi.com/articles/ASS5R43PLS5RPUUB002M.html)を参照します。

 5月23日、JR西日本山陰支社長が、定例記者会見の場で木次線の出雲横田駅から備後落合駅までの区間について、上記山陰中央新報デジタル23日付記事の表現を借りるならば「沿線自治体と公共交通の在り方を協議する意向を示し」ました。その理由としては、やはり利用の低迷があげられています。前述のように、この区間の平均通過人員が56で、地域公共交通活性化再生法に基づく法定協議会の対象になっている芸備線の東城駅から備後落合駅までの区間の20に次ぐ低さですから、やはり上記山陰中央新報デジタル23日付記事の表現を借りるならば「大量輸送を目的とする鉄道の特性を発揮できていない」ということになります。残りの区間でも237なので十分に協議の対象となりうるはずですが、外したのは観光列車の存在の故でしょうか。

 平均通過人員のデータを見る限り、木次線が沿線住民の足として十分に機能していないことは明白で、JR西日本山陰支社長もその旨を語っていました。前提を置かないで議論をしたいという発言の真意はさておき、通勤および通学のための利用がかなり限られていることは事実です。また、JR西日本がこれまで木次線の維持に努力してきたことも事実でしょう。但し、同社のローカル線の区間では合理化の名の下に設備保守が省略されていることもよく知られており、福塩線の一部区間などで最高速度15km/hに制限される箇所があるなど、およそ鉄道の役割が放棄されているとしか思えない部分も見受けられます。

 私が注意を向けたいのは、JR西日本山陰支社長の「これまでも問題提起はして」いるという言葉です。木次線の出雲横田駅から備後落合駅までの区間についての意向は、定例記者会見の場で初めて明らかにされたと記してもよい状況でした。上記山陰中央新報デジタル24日付記事によると、「JR西から沿線自治体の担当課長レベルに事前の連絡があったのは同日午前。ただ、詳細は知らされず、情報把握に追われた」とのことでした。備後落合駅は芸備線と木次線の接続地点であり、どちらの線も末期的な状況(強すぎるでしょうか?)であるだけに、JR西日本としては「当然、木次線についても意見や態度を既に示している」と言いたいのでしょう。

 早速、沿線自治体の首長のコメントが上記各記事に掲載されています。島根県知事は、JR西日本の以降に対し、廃止前提であれば応じられない旨を述べています。理解はできます。現在、島根県と広島県とを直接結ぶ鉄道路線は木次線しかないからです(2018年までは三江線もありました)。また、島根県と山陽地方とを直接結ぶ鉄道路線は、他に山口線しかありません(山陰本線もあるではないか、と言われるかもしれませんが、山口県の日本海側は広義の山陰地方と言えます)。鉄道ネットワークの面からすれば、木次線も重要な要素であり、それが島根県知事のコメントにもうかがわれます。しかし、島根県は、どの程度まで鉄道利用促進の努力を具体的にしていたのでしょうか。むしろ、自動車専用道路の整備にこそ全力を注いでこなかったのでしょうか。

 また、奥出雲町長は、島根県知事と同じく、出雲横田駅から備後落合駅までの区間の「廃止を前提とするものであれば応じられない」とコメントしています。奥出雲町には、木次線の出雲八代駅、出雲三成駅、亀嵩駅、出雲横田駅、八川駅、出雲坂根駅および三井野原駅があります。しかも、出雲坂根駅の構内には有名な2段スイッチバックがあります。廃止されるとなれば、観光にも痛手かもしれません。ただ、現在の木次線の観光列車「あめつち」は出雲横田駅から備後落合駅までの区間を走りませんので、あまり関係がないとも言えます(キハ40系が使われているので、性能的に問題があるからでしょう)。また、記事には書かれていませんが、仮に出雲横田駅から備後落合駅までの区間が廃止されるならば、残りの宍道駅から出雲横田駅までの区間についても連鎖的に利用客が減少し、ついには全線が廃止されるかもしれないと考えられているのかもしれません。

 以上のように引用などをした上で、敢えて私は記しておきますが、木次線についての議論は、本当に唐突なものであったのでしょうか。むしろ、JR西日本の沿線自治体への伝達に多少の問題があったという程度であり、十分に予想されたことであったはずです。平均通過人員のデータは繰り返し公表されていますし、木次線の活性化の取り組みが長くなされていて、「あめつち」、その前の「奥出雲おろち号」と観光列車が運行されていたのですから、沿線自治体が現状を知らないはずがありません。JR西日本を責める前に、沿線自治体が動くべきであったでしょう。結果的には予測を外して惨憺たる結果になったものの、現在の北海道知事が夕張市長であった時代に同市長が石勝線夕張支線について「攻めの廃線」を提唱したのは、立派なものであったとも評価しえます。少なくとも、問題提起にはなっていたからです。

 もう一つ記しておきますと、木次線の出雲横田駅から備後落合駅までの区間について、沿線自治体の首長の発言と、住民の意見とは同じなのかという疑問が湧きます。乖離があるのではないかとしか思えません。より明確に記せば、沿線住民の本音は「いらない」というものではないでしょうか。鉄道の乗客がいないということは、住民が鉄道を不要と考えているからでしょう。意思が口に出されないだけであり、態度で十分に示されているのです。

 今後のために、或る意味で炎上覚悟で記しておきます。よく、ローカル線について「地域のために必要であるから残して欲しいけれども、自分は乗らない、利用しない」というようなことが書かれています。このように意味のわからない言葉も、そうは多くないでしょう。一目見て矛盾していることが明らかですし、「乗らない」、「利用しない」というのであれば、必要がないのです。より厳しい表現を許していただけるならば、無責任な発言です。JR西日本の株主や利用者は、沿線自治体などから出されるこのような発言を許してはならないでしょう。

 仮に住民アンケートで「必要だけど、自分は利用しない」という意見が多ければ、廃止に賛成であると理解すべきです。「乗らない」、「利用しない」と解答する人は、本当に「乗らない」、「利用しない」のであり、必要性など感じていません。この点は強調しておくべきでしょう。そもそも、こんな選択肢をアンケートに記すこと自体、無意味とも言えるはずです。

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津軽線の一部区間、復旧断念か

2024年05月23日 14時30分00秒 | 社会・経済

 このブログでも津軽線の話題を取り上げてきました。

 「津軽線の一部が廃止されるか?」(2022年12月19日23時35分付)で記したように、この路線は1980年代の国鉄改革において特定地方交通線に指定されるはずでしたが、除外要件に該当するということで指定から外されたところです。青函トンネルの開業のために同線の青森駅から新中小国信号場までの区間は電化され、JR北海道の海峡線とつながり、本州と北海道とを結ぶ大動脈に変わりました。しかし、残る新中小国信号場から三厩駅までの区間は、悪い表現を使えば「取り残された」路線であり、余程の好転がなければ、いつ廃線論議が始まってもおかしくない状況であったとも考えられます。

 そのため、2022年8月の大雨は、或る意味において廃線論議のための機会に過ぎなかったとも言えるでしょう。「津軽線の単独維持は困難である、ということは」(2023年4月4日0時0分0秒付)で記したように、JR東日本は津軽線の蟹田駅から三厩駅までの区間について単独維持は困難であると表明していました。

 2024年に入ってからどうなったのだろうと思っていましたが、2024年5月23日、今別町長が鉄道としての復旧を断念する旨を表明しました。共同通信社が、5月23日13時30分付で「JR津軽線『復旧断念』 地元表明、廃止議論が加速か」(https://nordot.app/1166222924848546706)として報じています。

 今別町は、今回問題となっている蟹田駅から三厩駅までの区間の沿線にある市町村で唯一(と記しましたが、今回の議論の対象となっている区間では、他に外ヶ浜町しかありません)、廃線に反対していました。津軽二股駅(北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅のすぐそばにある駅)、大河原駅、今別駅および津軽浜名駅の所在地でもあるだけに、反対するのも当然ではあります。また、今別町は、鉄道路線を廃止したとすると冬季や災害時などに「バスなどの安全性に懸念がある」旨を述べていました。しかし、青森市内で5月23日に行われた検討会議(沿線自治体の首長によるもの)において、今別町長が「今別町が鉄路にこだわり続けても議論が進展せず、沿線や町のためにならない。苦渋の決断だ」という旨の発言をしたとのことです。

 こうなると、津軽線の一部廃線は確定の方向に進むことになります。JR東日本はバス転換を主張しているので、ここに落ち着くこととなるでしょう。

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京阪中之島線の延伸は、とりあえず断念された。しかし……

2024年04月13日 00時00分00秒 | 社会・経済

 2023年12月18日7時付で「京阪中之島線の行方は」と題して投稿しました。今回は続篇というべき内容です。2024年4月12日15時付で、読売新聞社が「中之島線30年延伸を断念…京阪HD、IR撤退リスク見極め」として報じています(https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20240412-OYO1T50030/)。

 中之島線の延伸計画は、「京阪中之島線の行方は」において記したように、現在の起点である中之島駅(終点に見えますが、令和5年度鉄道要覧によると中之島駅が起点、天満橋駅が終点です)から大阪メトロ中央線九条駅まで延長するというものです。2キロメートル程度の延伸ですが、リスクは低くないということでしょう。

 タイトルに「とりあえず」という言葉を入れたように、京阪ホールディングスは完全に断念した訳ではなく、2030年秋までの開業を断念したのでした。その理由は、夢洲に建設が予定されているIRの白紙撤回という可能性が残されているということです。2030年冬以降の開業についてはまだわかりません。要は判断の先送りです。

 上記読売新聞社記事には「京阪HDは昨年7月以降、構想を検討してきた。だが、大阪府とIR事業者が昨秋、締結した実施協定に、事業者が26年9月末まで違約金なしで撤退できる『解除権』が盛り込まれ、リスクが大きいと判断した」と書かれており、さらに京阪HDの会長の発言の趣旨として「延伸したいが、はしごが外される可能性が出てきた。延伸は解除権の見通しが立つのが最低限(の条件)だ」と書かれています。この懸念は当然のものです。地下路線を延伸するのですから工事費も大変なものになるでしょうし、そもそも中之島線の開業区間の工事費も回収できていないでしょう。物価も上昇していますし、人件費も高騰しています。「リスクが大きい」というより大きすぎると考えるべきでしょう。というより、結局のところは延伸計画がIR頼みであるのが「何だかなあ……」という感じです。

 ここは思い切って完全に断念すべきであり、かつ、計画を変更すべきでしょう。中之島線の線形(?)が中途半端なものであることは否定できないので、大阪府、大阪市の交通網全体を見据え、利便性の向上につながる路線とする計画に変えるのです。IR頼みとは、交通政策としていかにも貧相です。

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肥薩線の復旧で合意がなされる

2024年04月03日 20時50分00秒 | 社会・経済

 2020年7月の豪雨で、JR肥薩線の八代駅から吉松駅までの区間が不通となりました。私も写真や動画で見ましたが、八代駅から人吉駅までの区間は、球磨川に沿っているということもあってか、被害は甚大であり、路盤は崩壊する、橋梁は流される、など、一体何箇所被災したのかと問いたくなるような状態でした。

 元々、JR九州の鉄道路線の中では平均通過人員が低いほうであり、とくに人吉駅から吉松駅までの区間は一日3往復しかなく、2019年度の平均通過人員が106であり、おそらくJR九州で最も低い数値でしょう。かつては鹿児島本線の一部であったという歴史があった(その理由などについては省略します)と思えないような状況でした。そのため、廃線とされてもおかしくないと言えるのです。九州新幹線の新八代駅から鹿児島中央駅までの区間が開業したことによって鹿児島本線の八代駅から川内駅までの区間が肥薩おれんじ鉄道に移管され、肥薩線がJR九州に残されたのは、何とも皮肉な話ではあります。

 不通となってから3年半が経過して、今日、つまり2024年4月3日、国、熊本県およびJR九州が復旧に関する会議を開き、そこで肥薩線の八代駅から人吉駅までの区間について復旧することで三者が合意しました。熊本放送が今日の19時24分付で「【JR肥薩線】八代ー人吉間で鉄道復旧合意 日常利用促進の『具体的な施策が示された』 2033年ごろの再開を目指す」として報じています(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkk/1093877?display=1)。

 この合意にはいくつかの前提があるようで、熊本放送のニュース記事では「JR九州は、観光だけでなく日常の利用を増やすよう県に求めていました」とした上で「きょうの会議で県は自治体職員が公務で積極的に利用することや、子どもたちが肥薩線と触れ合う機会を増やすことなど具体策を示したということです」と報じており、これでJR九州が合意に向かったということのようです。

 もっとも、復旧するとしてもかなりの時間が必要となります(費用については言わずもがな、です)。熊本県は2023年度頃の再開を考えているようですが、今から9年後、不通となってから14年後ということになり、その間に沿線人口の減少なども見込まれることを考えるならば、肥薩線の需要も減ることは明らかであり、復旧することが地域のためになるのかどうか、疑問も残るところです。

 さらに気になるのは、人吉駅から吉松駅までの区間です。今日の会議では、この区間について結論は出されておらず、さらに協議が続けられるとのことです。被害がどの程度であったのかはあまり報じられていなかったと記憶していますが、本数の少なさ、乗客の少なさなどからすれば、廃線という結論が出る可能性も否定できません。

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JR芸備線を巡る再構築協議会が始まった

2024年03月27日 00時00分00秒 | 社会・経済

 このブログで何度も取り上げているJR西日本の芸備線を巡り、再構築協議会が組織されたことは既に取り上げています。

 2024年3月26日、広島市で再構築協議会が開かれました。時事通信社が同日の17時2分付で「3年以内に再構築方針作成へ 芸備線存廃議論スタート―全国初の協議会・国交省」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024032600180&g=eco)として報じています。

 2023年の地域公共交通活性化再生法改正の後、再構築協議会が開かれたのは日本全国で初めてのことです。今後3年以内を目処にして、鉄道路線としての存続かバス転換か、などの方針を決めることが確認されました。ただ、参加者の立場はそれぞれで異なりますから、いつ方針が決定されるのかは何とも言えません。

 まず、国土交通省中国運輸局長(再構築協議会の議長)は「廃止ありき、存続ありきという前提を置くことなく具体的なファクトとデータに基づき議論を進めていく」と述べました。議長としては当然の発言でしょう。

 次に、JR西日本広島支社長は、芸備線が鉄道の特性を発揮できていないと発言しました。この特性は大量輸送の観点によるものです。「地域と利用者の視点に立って議論していきたい」という言葉も発せられていますが、文字通りに捉えるべきであるかどうかは、私が記さなくともおわかりの方々も多いことでしょう。

 続いて岡山県副知事が、芸備線の、問題となっている一部区間、すなわち備中神代駅から備後庄原駅までの区間の維持を求め、広島県副知事はJR西日本の業績が好調であるとした上で、JR西日本が当該区間を維持できない理由の説明を求めると述べました。

 隔たりが大きいのは明らかで、落とし所が何処なのかを見つけるのも困難かもしれませんが、今後も協議を続けるしかないでしょう。第2回の協議会は今年の秋頃に開かれるようですが、その下部組織である幹事会が5月中旬に開催されるようです。実質的な協議は幹事会で進められ、一定の方向性が見出されることでしょう。

 なお、3月26日の協議会では規約が制定されました。その内容については「中国運輸局や岡山、広島両県、新見、庄原、広島、三次各市、JR西などを構成員とする規約が制定された」とのみ、上記時事通信社記事には書かれています。

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吾妻線の一部区間の存廃論議か

2024年03月23日 00時00分00秒 | 社会・経済

 「やはり」という印象は避けられません。朝日新聞社が、2023年3月22日19時00分付で「JR東、吾妻線沿線自治体に協議申し入れ 終点付近区間の存廃議論へ」(https://www.asahi.com/articles/ASS3Q5KN9S3QUHNB001.html)として報じています。

 吾妻線は、上越線の渋川駅から大前駅までに至る55.3kmの路線です。元々は渋川駅から長野原駅(現在の長野原草津口駅)までの路線で、長野原線と称していました。また、長野原駅から太子駅までの区間も開業しますが、この区間は1970年に休止、1971年に廃止となっています。一方、長野原駅から大前駅までの区間は、大正時代の鉄道敷設法の別表に第54号ノ2「群馬県長野原ヨリ嬬恋附近ニ至ル鉄道」および第54号ノ3「群馬県嬬恋附近ヨリ長野県豊野二至ル鉄道」として追加されたものです。「嬬恋附近」が具体的に何処のことなのかは不明ですが、1961年まで草軽電気鉄道の上州三原駅が吾妻線の万座・鹿沢口駅(その当時は未開業)の近くにあり、上州三原駅の隣が嬬恋駅であったので、おそらく万座・鹿沢口駅付近が想定されていたのでしょう。そして、1971年、長野原駅から大前駅までの区間が開業します。結局、大前駅から豊野駅までの区間は工事すら行われないままに終わりました。

 私が小学生であった1970年代後半には、吾妻線の渋川駅から万座・鹿沢口駅までの間に特急が走っていました(上野駅が始発・終着駅です)。つまり、万座・鹿沢口駅から大前駅までの末端一駅区間のみが極端に本数の少ない部分であったのです。これは第54号ノ3の存在と無関係ではないでしょう。また、万座・鹿沢口駅までの特急の定期運行は2016年春のダイヤ改正で消滅しており、現在は渋川駅から長野原草津口駅までしか定期的に特急が運行されません。

 このような状態では、長野原草津口駅から大前駅までの区間について存廃論議が起こってもおかしくありません。果たして、JR東日本は、3月22日に同区間について協議を行うように、群馬県、長野原町および嬬恋村に対して申し入れたことを明らかにしたのです。

 JR東日本が発表している「路線別ご利用状況(2018~2022年度)」によると、吾妻線の2022年度における旅客運輸収入は5億3200万円です。線区収支が書かれていないので、上記朝日新聞記事によると4億6300万円の赤字となっており、営業係数は2759円となっています(つまり、100円の収入を得るために2759円の支出が必要になっているということです)。

 そして、同線の平均通過人員は、次の通りです。

 渋川駅から大前駅までの全線:1987年度は3304、2022年度は1932(1987年度の58%程)。

 渋川駅から長野原草津口駅までの区間:1987年度は4506、2022年度は2461(1987年度の55%程)。

 長野原草津口駅から大前駅までの区間:1987年度は791、2022年度は263(1987年度の33%程)。

 なお、上記朝日新聞社記事に書かれていることでもありますが、万座・鹿沢口駅から大前駅までの区間は、下り(万座・鹿沢口駅→大前駅)が1日4本(万座・鹿沢口駅発が平日、土休日ともに8:07、10:37、17:07、19:50)、上り(大前駅→万座・鹿沢口駅)が1日5本(大前駅発が平日、土休日ともに7:17、8:32、10:50、17:32、20:11)となっており、日中は6時間30分以上も空いています。

 JR東日本高崎支社が協議を申し入れた訳ですが、現在のところ、地域公共交通活性化再生法に定められる法定協議会ではなく、任意協議会での議論を念頭に置いているようです。また、吾妻線の近隣とも言える上越線の水上駅から越後湯沢駅までの区間については、JR東日本による協議の申し入れが考えられていないようです。19億2000万円の赤字にして2022年度の平均通過人員が976と芳しくない数字ではありますが……。

 長野原草津口駅から大前駅までの区間の沿線自治体は長野原町および嬬恋村ですが、やはり嬬恋村への影響が多大でしょう。上記朝日新聞社記事には、次のように書かれています。

 「村には路線バスがなく、実証実験中の乗り合いのデマンドバスで集落と鉄道駅を結んで、交通弱者の支援をしている。今回のJRからの申し入れには『存続や廃止という前提を置かない議論』とあるものの、村の担当者は心配する。『村内の高校生は通学のために乗り、県外から観光客が利用する重要な路線。JRの申し入れにどう対応するか、JRからしっかり説明をきき、慎重に判断することになる』と話す。」

 完全な車社会であるということが想像できます。別荘地でもあるからでしょうか。それだけではないでしょう。公共交通機関がないに等しい、とまでは言えなくとも衰退しているとは言える市町村は全国に多くあります。色々と考えさせられる話です。

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大学院生の奨学金、一部返還免除への方向転換か

2024年03月21日 22時00分00秒 | 社会・経済

 昨日(2024年3月20日)付の朝日新聞朝刊31面14版に「大学院奨学金 教員になれば返済免除 文科省方針」という記事が掲載されていました。気になったので、ここで取り上げておきます。

 目が止まった理由は、私自身が大学院法学研究科博士後期課程に在籍していた時のみ、当時の日本育英会の奨学金を受けていたからです。現在はどうなのかよくわかりませんが、当時は、学部生、大学院修士課程(博士前期課程)学生、博士後期課程学生の別によって月額が異なっており、博士後期課程学生が最も高い額を受けていました(10万円を超えていました)。大学教員として就職したので支給されたのは2年間のみでしたが、返還免除が完全に認められるまで15年を要しました。日本育英会が指定する職種にて15年間在職する必要があるからです。この制度は2003年度か2004年度まで存在していましたが、廃止されてしまいました。ただ、「優れた業績を残した院生向けの既存の返還免除制度を活用して対応する」と書かれていますので、大学院生については返還免除制度が全く存在しないという訳でもないようです。

 さて、上記記事の話です。この記事に登場する「教職大学院」という言葉について説明がないのでよくわからなかったのですが、文部科学省のサイトにおいては次のように説明されています。

 「【教職大学院の概要】

 近年の社会の大きな変動の中、様々な専門的職種や領域において、大学院段階で養成されるより高度な専門的職業能力を備えた人材が求められています。教員養成の分野についても、子供たちの学ぶ意欲の低下や社会意識・自立心の低下、社会性の不足、いじめや不登校などの深刻な状況など学校教育の抱える課題の複雑・多様化する中で、こうした変化や諸課題に対応しうる高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備えた力量ある教員が求められてきています。このため、教員養成教育の改善・充実を図るべく、高度専門職業人養成としての教員養成に特化した専門職大学院としての枠組みとして『教職大学院』制度が創設されました。

 教職大学院では、以下の人材を養成することを目的としています。

 1.学校現場における職務についての広い理解をもって自ら諸課題に積極的に取り組む資質能力を有し、新しい学校づくりの有力な一員となり得る新人教員

 2.学校現場が直面する諸課題の構造的・総合的な理解に立って、教科・学年・学校種の枠を超えた幅広い指導性を発揮できるスクールリーダー」

 教職大学院を修了し、かつ、正規教員に採用された者について、日本学生支援機構の奨学金の返済を全額免除するという方針を文部科学省が固めたのは3月19日のことです。2024年度に正規教員に採用された者から返済免除を適用するということです。随分と急な動きですが、国立大学で教育関係の学部を有する大学であれば教職大学院があるのに対し、公立大学には教職大学院がなく、私立大学でも聖徳大学、創価大学、玉川大学、帝京大学、早稲田大学、常葉大学および立命館大学にのみ教職大学院がないということが、何か意味するところがあるのだろうと思われるのですが、そこは脇に置いておきましょう。

 今回の方針は、あくまでも教職大学院在学中の奨学金についてのみを対象とするようで、その点にも注意を要します(学部生時代に受けた奨学金は対象外であるということです)。その一方、教職大学院以外の大学院の修了者であっても、教育活動に関して実習経験があれば返済免除となるようです。

 事実などがよくわからないので何の論評(というほどのものでもありません)を加えることはしませんが、上記記事には「23年度の採用者数でみると、教職大学院から国公私立学校の正規教員に採用されたのは753人。教職以外の大学院を加えれば、年間1千数百人が対象になる見通しだ」と書かれており、さらに「一方、正規教員に採用された大学・短大の学部卒業者も免除とするかは今後の検討課題とする。23年度採用で1万4794人(公立のみ)と人数の規模が大きく、他の職種とのバランスも考慮する必要があるためだ」とも書かれています。

 この方針が現実のものとなった場合に、教職大学院の立ち位置はどのように変化するのでしょうか。

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芸備線について、JR西日本社長が困難性を主張した。

2024年03月14日 00時45分00秒 | 社会・経済

 連投になりますが、このブログでこれを取り上げない訳には参りません。

 非常に短い記事ですが、共同通信社のサイトに、2024年3月13日20時47分付で「芸備線『今のまま持続難しい』 再構築協議会初会合へ見解―JR西社長」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031301188&g=eco)が掲載されました。

 見出しだけで内容がわかりそうなものですが、3月13日の記者会見でJR西日本社長が芸備線の存続について「難しい」と語ったというものです。あまりに記事が短いので誤解を招きそうですが、あくまでも芸備線の一部区間についての話です。

 このブログでも芸備線の問題は何度も取り上げていますし、再構築協議会の件も記しています。3月26日に初の会合が広島市で行われるとのことで、地域公共交通活性化再生法の2023年改正法の下で初めて再構築協議会の会合が開かれることになります。おそらく、その場でJR西日本から存続の困難性が主張されることでしょう。

 たしかに、平均乗車人員数からして、芸備線の存続は難しいでしょう。何せ、芸備線全線の平均通過人員(2022年度)は1170であり、それも下深川駅から広島駅の区間の8529という数値によるところが大きいのです。この区間を除外し、備中神代駅から下深川駅までの区間を見れば、平均通過人員が1000を下回ることでしょう。よく覚えていませんが、東城駅か備後庄原駅から広島市へのバス路線があり、そちらのほうが芸備線よりも本数が多いということなので、2024年問題があるとしてもバス転換が望ましいという結論が容易に導かれるところでしょう。

 JR西日本社長は、おそらく芸備線の備中神代駅から備後落合駅までの区間について「全ての考えが案としてある。バス転換を否定するものではない」という趣旨を語ったそうです。それはそうでしょう。このように話すはずです。

 再構築協議会での対立の構図が見えてきたような気もします。行方が気になるところです。

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