ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

法律学の勉強の仕方(その2) まずは条文を読む

2011年12月03日 10時48分24秒 | 法律学

 大分大学教育学部・教育福祉科学部に勤務していた7年間、私は主に1年生向けの講義を担当していました。大東文化大学法学部に移ってからは、主に2年生向けと3年生向けの講義を担当しておりますが、今年度は1年生向けの講義も担当しています。

 そこで、講義をしながら学生の様子を見ています(何をやっているのかというようなことは、見ていればわかるものです)。私の学生時代にもいましたが、法学部の学生であるのに、六法を持参せずに講義に出席している、という人がいます。その数は、学年が進むにつれて多くなります。私が担当している講義の中で、税法となりますと、学部の場合はほとんどの学生が六法を持参していません(これは、果たして大東文化大学および西南学院大学だけの話なのでしょうか)。さすがに法科大学院には、こんな学生はおりません。新司法試験六法には国税通則法、所得税法および法人税法が掲載されているからですが、その他の法律、施行令なども、法科大学院の学生ならコピーなどを利用して参照することでしょう。ところが、法学部の学生は違うのです。読もうとしないのです。講義でも演習でも、六法を持参するのは私だけ、ということが多いのです。時々、講義や演習をやっていると空しくなることもあります。

 法律学の講義ですから、実定法である限り、法律の条文を読まなければなりません。当たり前のことですが、判例であれ学説であれ、すべては条文から始まります。条文なくして解釈なし、なのです。私も、まずは条文を読み、それから逐条解説書などを読みます。そうしなければ理解できないからです。

 とくに税法などの場合、法律の条文が長く複雑なものになります。それだけに正確に読み解くという作業が必要となります。手元に六法などがなければ、私が条文を読みながら解説を行っていても、聞いていてわかる訳がありません。しかも、法律だけではなく、政令(●●法施行令)、省令(●●法施行規則)、通達(所得税基本通達など)も読む必要があります。条文がなければ勉強にならないことは明らかなのです。

 そのため、講義の初回など、折に触れて、せめて条文のコピーは用意しておくように、と言います。正確な条文を読むにも様々な方法があるでしょう。まして、モバイル機器にあふれている今の世の中です。

 税法の講義に限りません。講義でもゼミでも、六法を持ってこない学生が多いので、条文を読んでみるように私が指示しても、その場で読むことなどできません。これではどうしようもないでしょう。最初から単位も理解も溝(どぶ)に捨てているようなもので、法学部生としては失格としか言いようがありません。

 世間であれこれと言われている法科大学院ですが、こと条文を手元に置いて勉強するという点では、やはり法科大学院の学生が一番しっかりしています。

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