最初にお断りです。今回は、私の「川崎高津公法研究室」に掲載していた「待合室」の、次の記事の再掲載です。
第339回:「九州新幹線」(2008年9月1日撮影、2009年11月28日〜12月7日掲載)
一部を除き、内容を修正しておりません。したがいまして、後の事情変更なども一切反映しておりません(私が西南学院大学の非常勤講師を務めていたのは、2004年度から2012年度までです)。御注意ください。
再び、九州へ飛びます。今回は熊本県八代市の新八代駅からです。このように書けば、すぐに察しがつくという方もおられるでしょう。そうです、九州新幹線をとりあげます。
このコーナーでは何度も書いていることですが、2004年より、私は西南学院大学法学部の非常勤講師として、税法の集中講義を担当しています。その期間の前後と中休みに、福岡県を初めとして九州各地を周りたいと思っているので、時刻表を見ながら計画を立てています。2008年(私が集中講義を担当してから履修者が最多となった年です)には、九州新幹線に乗って鹿児島へ行ってみようと考えました。しかも、集中講義期間の開始前に1回、終了後に1回行くという、考えようによってはかなり馬鹿らしい計画を立てたのですが、実際にやってみました。
2008年9月1日、博多駅8時15分発の「リレーつばめ」3号に乗りました。九州新幹線はまだ全通しておらず、新八代から鹿児島中央(旧西鹿児島)までです。そのため、博多から鹿児島本線を特急「リレーつばめ」が走っています。使用されているのは、博多~西鹿児島のL特急「つばめ」のためにデビューした787系で、現在は小倉・博多~熊本・武蔵塚・光の森・肥後大津の特急「有明」、直方~博多の特急「かいおう」にも使用されています。「つばめ」時代にはビュッフェもありました。大分に住んでいた時に、このビュッフェがある編成の特急「にちりんシーガイア」に乗ったことがあります。
新八代駅に到着しました。この駅は在来線(鹿児島本線)と新幹線(九州新幹線)とが同じホームで乗り換えられるという、日本ではおそらく唯一の構造となっています。もっとも、これは暫定的なもので、九州新幹線が全通すれば、こんなことはできなくなるでしょう。
「リレーつばめ」3号が到着したのと同じホーム(番線は違います)に、九州新幹線の「つばめ」が停車しています。これから乗る「つばめ」3号です。10時33分に新八代を発車し、11時25分に鹿児島中央に到着します。
九州新幹線が開通して、たしかに博多から鹿児島中央までの所要時間は短くなりました。全通すればもっと短くなります。しかし、地域の交通という点からは大きな問題を作ってしまいました。九州新幹線の新八代~鹿児島中央が開通したのと同時に、九州の大動脈である鹿児島本線が分断されたのです。門司港~八代および川内~鹿児島はJR九州の鹿児島本線のままですが、八代~川内は第三セクターの肥薩おれんじ鉄道に分離されたのです。私は、門司港~八代を熊本本線あるいは博多本線という名称に改め、川内~鹿児島は日豊本線に編入すべきではないかと思っています。
こんなことになったのは、新幹線の建設促進を図り、さらに新幹線と並行する在来線にかかるJR各社の負担を減らすためにとられた政策によるものです。まず、長野新幹線が開業するとともに信越本線の横川~軽井沢が廃止され、軽井沢~篠ノ井が第三セクターのしなの鉄道に分離されました。また、東北新幹線の盛岡~八戸の開業により、盛岡~目時がIGRいわて銀河鉄道、目時~八戸が青い森鉄道に分離されました。九州新幹線長崎ルートの建設が遅れているのも、この在来線分断問題によるものです。
九州新幹線の800系は、JR九州の特急車らしく、様々な独特の趣向を取り入れています。写真は窓のカーテンです。九州の名産・特産を使用しているとのことです。
鹿児島中央駅に到着しました。ホームドアが採用されています。先頭部がかなり大きくなっていることがわかります。
「つばめ」と言えば、戦前に「富士」に次いで登場した由緒ある特急の愛称です。車体にあるマークのデザインは、戦前から何度か変更されているようですが、基本的には同じデザインといえます。国鉄(日本国有鉄道)のバスなどに付けられていたマークもつばめでしたし、現在のヤクルトスワローズも特急「つばめ」に由来します(かつては国鉄スワローズでした)。1990年代に九州の鹿児島本線、博多~西鹿児島を走る特急の愛称として復活し、そして九州新幹線の愛称になったのです。
実は、幼少のころからあまり新幹線に関心がなく、車両のことなどをあまりよく知りません。多摩川の丸子橋や武蔵小杉駅付近などに見に行ったことがあるのですが、東急東横線を見ているほうが楽しかったという記憶があります。また、新幹線を利用する機会があまりなく、東海道新幹線の全線(東京~新大阪)を踏破したのは学部生時代の頃でした。大分大学に勤務するようになってから山陽新幹線に乗ったのですが、小倉~博多を利用したのは西南学院大学で集中講義を担当するようになってからのことです。東北新幹線、上越新幹線、長野新幹線、山形新幹線および秋田新幹線を利用したことは一度もありません。
〔追記:この記事を最初に書いてしばらくの年月が経過してから、東北新幹線、上越新幹線および北陸新幹線を利用しました。〕