現在開かれている通常国会は第208回国会ですが、その前、2021年12月に召集された臨時会である第207回国会において、いくつか興味深い法律案が提出されていました。その一つが、第207回国会衆議院議員提出法律案第6号である「新型コロナウイルス感染症等による経済活動への影響に対する当面の対策として消費税の税率を引き下げる等のために講ずべき措置に関する法律案」です。
この法律案は次のようになっています(なお、一部の漢数字を算用数字に変更しています)。
(趣旨)
第1条 この法律は、新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。以下この条において同じ。)及びそのまん延防止のための措置により経済活動が著しく停滞していることに鑑み、新型コロナウイルス感染症に係る事態の収束後における経済状況等を好転させるための当面の対策として消費税の税率を引き下げる等のために講ずべき措置について定めるものとする。
(消費税の税率の引下げに関する特例)
第2条 2年間を目途として、消費税(地方消費税を含む。)の税率を一律に100分の5とするため、消費税の税率を引き下げる特例を設けるものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を速やかに講ずるものとする。この場合において、当該特例を設けることにより地方公共団体の財政に悪影響を及ぼすことのないようにするものとする。
2 前項の特例は、この法律の施行後六月以内に実施されるものとする。
3 第1項の特例に係る期間については、経済社会情勢等を勘案して必要があると認められるときは、延長されるものとする。
(特例に係る期間の終了後における消費税の税率等)
第3条 前条第1項の特例に係る期間の終了後における消費税(地方消費税を含む。以下この条において同じ。)については、その負担の増加を緩和するため経過的にその税率を100分の8とするとともに、消費税の税率を一律とするため消費税の軽減税率制度を廃止するものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を講ずるものとする。この場合において、当該期間の終了後においても地方公共団体の財政に悪影響が及ぶことのないようにするものとする。
(財源の確保)
第4条 第2条第1項の特例が設けられる前の税率による消費税の収入により財源を確保することとされている社会保障給付その他の施策に要する経費については、引き続きその財源が確保されるよう、次に掲げる措置が講ぜられるものとする。
一 国会議員の定数の削減、国会議員の歳費、手当等の削減、行政改革による支出の削減等の歳出の削減を図るために必要な措置
二 国の不要な資産の売却等の歳入の増加を図るために必要な措置
三 前二号に掲げるもののほか、特例公債(財政法(昭和22年法律第34号)第4条第1項ただし書の規定により発行される公債以外の公債であって、一会計年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、特別の法律に基づき発行されるものをいう。)の発行のために必要な措置
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
提出理由は「新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置により経済活動が著しく停滞していることに鑑み、新型コロナウイルス感染症に係る事態の収束後における経済状況等を好転させるための当面の対策として消費税の税率を引き下げる等のために講ずべき措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である」とされています。