「懐かしのスカイライン」と同じ日に、銀座五丁目のNISSAN CROSSINGにスカイライン2000GTより古い車が展示されていました。これには驚きましたので、撮影しました。
日産と言えばダットサン、という訳でもないでしょうが、1956年に製造されたダットサンセダンです。私が生まれたのは1968年ですので、その頃には多くが走っていたのでしょうが、1970年代にはあまり見かけなくなったと記憶しています。もうじき70年となるのですから、この保存状態の良さには感心しました。
すぐそばに説明板が置かれています。全部を書き写す訳にもいかないので一部だけとしておきましょう。
「ダットサンセダン(110型)は、日産自動車が戦後初めての新設計を行い、1955(昭和30)年1月に発表した4人乗り乗用車です。搭載エンジンは、サイドバルブ式動弁機構をもった直列4気筒・860ccのD-10型で、最高出力は25馬力。これに4連フロアシフトのトランスミッションを組み合わせ、最高速度は79km/hでした。(中略)この113型は、翌1956(昭和31)年6月のマイナーチェンジ車で、特徴的なハーモニカ型のグリルはそのままに、トランスミッションをフロアシフトからコラムシフトへ変更しています。」
サイズは、全長3860mm、全幅1466mm、全高1540mmなどとなっています。
助手席側です。この車にはフェンダーミラーもドアミラーも取り付けられていないのですが、「当時は後方確認のための鏡が車内にしか取り付けられていなかったのか」と疑いました。後日、インターネットで写真を検索したところ、輸出仕様の車であればフロントガラスとウインカーとの間にミラーが取り付けられていました。国内仕様の車にはフェンダーミラーが装着されていたようです。展示車については、何らかの理由で外されたのでしょう。
後方です。ライト(ブレーキライト? ウインカー?)が小さいところは、時代を反映しているのでしょうか。
運転席および助手席のドアに付けられている三角窓も時代を反映しています。何時頃からこの三角窓がなくなったのでしょうか。前に取り上げたスカイライン2000GTには三角窓がなかったので、1970年代から徐々に廃止されたのかもしれません。ちなみに、フォルクスヴァーゲンの初代ゴルフには三角窓がありましたが、2代目ゴルフにはありません。
ところで、熱心に勉強する法学部生など、法律学に取り組んだことがある人ならば、ダットサンと聞いて別のものをすぐに思い出すでしょう(思い出せない人はモグリ?)。民法の教科書、しかも名著です。そう、民法学の泰斗、我妻栄博士の著書で一粒社から販売されていた『民法』です。小型で入門書という位置づけでしたが、内容は豊かであり、現在でも読む価値は十分にあります。そればかりか、勁草書房から復刊され、私も『民法1 総則・物権法』〔第4版〕、『民法2 債権法』〔第4版〕および『民法3 親族法・相続法』〔第4版〕を持っています。いずれも、有泉亨氏など錚々たる方々による補訂がなされています。