ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

東急8500系8616F

2020年12月08日 08時42分35秒 | 写真

 よく、日本一の私鉄は近鉄であると言われますが、それは営業距離の話であり、資本金や輸送密度などの総合面でいえば東急(つい最近までの正式名称は東京急行電鉄)が日本一です(東京メトロは特殊で純粋な民営鉄道と言い難いので除外します)。その東急で最古参といえば1975年にデビューした8500系ですが、引退が近づいており、2020年になってから8606F、8614F、8627Fなどが東急田園都市線(、東京メトロ半蔵門線、東武伊勢崎線および東武日光線)の営業運転を終えました。

 それでも、元TOQ BOX号の8634Fや元TOKYU CABLE TV号で現在はBUNKAMURA号の8637Fが田園都市線で活躍しています。東急で最大の400両が製造されただけに製造期間も長かった8500系ですが、1970年代に製造され、車内にローレル賞受賞のエンブレムを備えている編成の一つである8616Fは、まだ営業運転を続けています。

 

 元々、8500系は、1977年に開業した新玉川線(現在は田園都市線の渋谷〜二子玉川)のために、日本で最初にワンハンドルマスコンを採用した8000系の仕様を一部変更して製造されました。そのため、広義の8000系とされることもあります(8090系、8590系も同様です)。当初から帝都高速度交通営団(現在は東京地下鉄株式会社)の半蔵門線と相互直通運転を行うことを前提に設計されており、CS-ATCなどが装備されていました。また、東急では初めての装備などとして、当初からの冷房装置(8000系、7200系などは一部を除いて冷房装置は後付け)、前面の赤帯、前面および側面の黒地白字の自動方向幕(後にLED化)、種別方向幕および運行番号幕などがあります。室内の連結面には幕式の広告装置(広告が一定時間表示された後に自動的に回転する)も備えられていましたが、いつの間にか撤去されています。

 1975年に登場した8500系は、当初は5両編成(4両編成もあったかもしれません)で当時の田園都市線(大井町〜すずかけ台)と東横線(渋谷〜桜木町)で運行を開始しました。1977年に新玉川線でも運行を開始し、1979年には半蔵門線開業(渋谷〜青山一丁目)と同時に直通運転を開始しています。特筆すべきは、半蔵門線開業時の車両は8500系のみであったということです。

 1980年代までは東横線でも活躍していましたが、徐々に田園都市線・新玉川線に集約され、10両編成化されます。既に廃車となっていますがVVVF制御車も何両か製造されました。また、大井町線用の5両編成も4本登場していますが、当初は5両+5両で田園都市線・新玉川線・半蔵門線を走っていました。

 21世紀に入って5000系が登場するとともに初期の車両が廃車となっていますが、8606Fや8642Fなど一部の編成を除いて東武伊勢崎線・日光線にも乗り入れるようになります。このような車両は珍しいでしょう。通常は、長らく運用された電車は引退が近づくにつれて短い支線区に移動して余生を送ることが多いからです。

 いまだに8000系がローレル賞受賞を逃したことが理解できないのですが、8500系はローレル賞を受賞しました。東急ではこの系列だけです(ブルーリボン賞受賞車はありません。まあ、どうでもよいことです)。

 田園都市線の顔ともなっていた8500系は、2020系に置き換えられる形で引退が進んでいます。最後に残る編成は何でしょうか。


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