昨日(2024年11月27日)の19時50分0秒付で「久留里線と大鰐線(メインは大鰐線)」を掲載しましたが、今回は続編です。
やはり、大鰐線の廃止は事実上決まったようです。東奥日報社が昨日付で「弘南鉄道大鰐線廃線へ/27年度末で運行休止」として報じているのですが、全文を読むには会員登録が必要な記事でしたので、仕方がなく、Yahoo! Japan Newsに掲載された同タイトルの記事を参照しておきます。
弘南鉄道が昨日の協議会(非公式の会合であったようです)において表明した大鰐線の運行休止の方針は、やはり廃止の方針と同じことであったようで、沿線自治体である弘前市および大鰐町のほうから異論は出されなかったとのことです。2027年度末で運行休止としたのは、2025年の春に高校に入学する生徒たちが卒業するまで交通手段を確保したいからとも表明されています。大鰐線には弘高下駅、弘前学院大学前駅、聖愛中高前駅および義塾高校前駅と、学校名に由来する駅名が4つもあるからでしょう。
ただ、2028年3月まで維持できるのかという疑問は残ります。弘南鉄道の本線級路線である、というより本来の弘南鉄道の路線である弘南線でも輸送人員が減少し、赤字を計上するようになっています。弘南線の営業状況が良くなるのであれば大鰐線の維持も可能かもしれませんが、それも大鰐線次第であることに変わりがありません。実際、弘南鉄道の社長はCOVID-19の勢いが減っても利用客が戻らなかった旨を述べています。既にモータリゼイションが進行している地域ですから、公共交通機関から自家用車や自転車にシフトしていてもおかしくありません。
東奥日報社記事によると、大鰐線の利用客は1974年度がピークで390万人ほどでしたが、2023年度には27万1777人でした。つまり、2023年度の利用客は1974年度の約7%しかいないということです。また、非常に乱暴な計算ではありますが、2023年度の利用客を単純に365日で割ると、1日あたりで744.6人しか利用していないということになります。これでは、廃止もやむをえないでしょう。
気になる赤字額は、2023年度で1億3068万円でした。この数字は、沿線自治体からの支援の存続のための条件を満たしていないものです。このブログでは詳細がわからなかったので記さなかったのですが、2020年に沿線自治体などが維持活性化のための基本方針を定めていました。それによると「2023年度末の営業成績で中長期計画に基づく収支改善がなされない場合、支援は2025年度までとする」となっていたそうです(東奥日報社記事およびYahoo! Japan News記事によります)。とりあえず、2025年度までは沿線自治体が支援するということですが、2026年度および2027年度については未定ですが、弘前市および大鰐町は支援を決定するかもしれません。ただ、市議会および町議会では議論が行われることでしょう。休止の時期が早まる可能性も否定できません。
私にとってまだよくわからないのは、2027年度末で休止し、その後に廃止に向けた手続を進めるとしていることです。何らかの理由なり事情なりがあるのでしょう。休止予定日まであと3年以上もありますし、休止した後の再開も考えられていないようですから、2027年度末で廃止、より正確には2028年4月1日廃止としてもよいように思われるのです。あるいは冬季の輸送手段としての意義も考慮されているのかもしれませんが、わざわざ休止期間を置く必要もないのではないでしょうか。
いずれにしても、東北地方から、また、一つの私鉄の路線が消滅することとなります。
やはり、東急東横線や田園都市線に馴染んでいる私としては、弘南鉄道を走っている初代東急7000系を見に行こうか、などと考えました。10年程前には福島交通飯坂線で初代東急7000系に乗りましたし、5年前には養老鉄道養老線で初代東急7000系の改造車である東急7700系に乗っています。