朝日新聞2024年9月5日付朝刊9面13版Sに「『交通空白地』解消へ 官民マッチング 国交省が枠組み新設 配車効率化」という記事が掲載されていました。興味深い内容なので、取り上げておきます。
このブログでも「2024年問題」を取り上げてきました。実際には2023年から、運転士あるいは乗務員の不足などのために、多くのバスや鉄道で減便が行われています(その最も極端な形が金剛バスの全廃でした)。さらに記すならば、公共交通機関の衰退はこの数年に限られた話でもなければCOVID-19によって引き起こされた事柄でもなく、長期的に続く現象なのです。
そうなれば「交通空白地」が増えてくるのも当然のことです。「交通空白地」をどのように解消するのかが問題となりうる訳ですが、国土交通省が本格的に取り組もうとしているのです。
上記朝日新聞社記事には書かれていないのですが、実は2024年7月16日に国土交通省が「『交通空白』解消本部」を設置しています(同日付の「国土交通省『交通空白』解消本部の設置に関する訓令」(国土交通省訓令第72号)を参照してください)。第1回の会合が7月17日に開かれており、第2回の会合が9月4日に開かれました。議事録がまだ公開されていませんので詳しいことはわかりませんが、資料などは国土交通省のサイトに掲載されていますので、御覧いただきたいと存じます。
ここで「交通空白地」は、国土交通省によると「国交省は半径1キロ以内にバス停や駅がなく、タクシーを呼んでも配車に30分以上かかるような地域」です。この地域に「タクシーやライドシェアが不足する自治体と配車の効率化に取り組む企業をマッチングさせるなどして、地域交通の拡充を図る」ために「交通空白解消・官民連携プラットフォーム」(仮称)という枠組みを作り、2024年内に立ち上げることにしているようです。この枠組みには、国、地方公共団体、交通事業者、さらに配車アプリ事業者などの参加が見込まれているようです。そして、2025年度予算の概算要求にはおよそ331億円が盛り込まれています(関連費用も含まれています)。
「『交通空白』解消本部」の第2回会合における資料「『地域の足』『観光の足』対策の取組状況等」(公共交通政策部門、物流・自動車局、観光庁)によると、現在、324の自治体においてライドシェアなどの普及が進んでいないとのことです。そこで、今後、タクシー会社管理型の「日本版ライドシェア」が全都道府県で運行されるようにすることなどが目指されており、国土交通大臣が同趣旨を指示しています(既に22都道府県で導入されているとのことです)。
ただ、ライドシェアがどこまで普及するのかは、正直なところよくわかりません。また、最近の傾向なのか何なのか「日本版」という冠がついていますが、タクシー会社管理型では需要を満たせない地域が多くなるのではないかという懸念があると考えられます。
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〔東急5000系5105F。田園都市線青葉台駅(DT20)にて撮影。〕
〔同じく東急5000系5105F。田園都市線(大井町線)溝の口駅(DT10、OM16)にて撮影。〕
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