私の母がラテン・アメリカの音楽(例えばタンゴやマンボ)をラジオでよく聴いていたためか、幼い頃からベサメ・ムーチョという曲を知っていました。
この曲はかなり有名で、ビートルズもカヴァーしたほどのものですが、私が最も好んで聴くのがウェス・モンゴメリー、そう、あのオクターブ奏法の元祖となるジャズ・ギタリストの演奏です。リヴァーサイド・レコードから発売された初期のアルバムに、オルガン、ドラムとの演奏で収録されています。しかも、かなり速いテンポとなっています。
おそらく、多くの演奏では4分の4拍子ではないかと思われます。しかし、ウェスの演奏は違い、3拍子となっています。イントロだけ聴くとジャズ・ワルツにしか聞こえませんし、ウェスが弾くテーマを聴いても、ベサメ・ムーチョとわからないかもしれません。
果たして、原曲は何拍子なのでしょう。
ちなみに、作曲者はコンスエロ・ベラスケスというメキシコの女性で、作曲時にはまだ17歳だったそうです。
クラシックで3拍子系(4分の3拍子の他、8分の3拍子、8分の6拍子、8分の9拍子、8分の12拍子、4分の6拍子など)は当然として、ジャズにも3拍子の曲はたくさんあります。ウェス自身の演奏であれば、あのフル・ハウスという名曲があります。しかし、ロック以降、3拍子の曲は極端なほどに少なくなりました。拍子という点では、現在の音楽は貧しくなったのでしょうか。
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