最初にお断りです。今回は、私の「川崎高津公法研究室」に掲載していた「待合室」の、次の記事の再掲載です。
第444回:「東急田園都市線途中下車(15) 宮前平駅」(2011年6月20日撮影。2011年9月28日〜2011年10月4日掲載)
誤字脱字を除き、内容を修正しておりません。したがいまして、後の事情変更なども一切反映しておりません。御注意ください。
川崎市の宮前区は、1982(昭和57)年7月1日、高津区から分区して生まれました。それからもう30年近くが経とうとしています。今では高津区よりも人口の多い区に発展しました。
その宮前区に、田園都市線の駅が3つあります。宮崎台、宮前平、鷺沼です。既に宮崎台駅は第7回として取り上げましたので、今回は宮前平駅を取り上げます。急行と準急は通過しますが、宮前区の行政機能はこの駅の西側にあり、川崎市バスのターミナルもここにありますので、重要性は低くありません。また、大赤字が必至と思われる川崎市営地下鉄の構想でも、鷺沼ではなく、宮前平に駅ができることとなっています。
宮前平駅の北口です。宮前区役所の最寄り駅であるのみならず、東名高速道路川崎インターチェンジに最も近い駅でもあります。簡単な道路案内図でもそのことがよくわかります。また、市バスの一部がこの北口を発着地点としています。
この駅は、1966(昭和41)年4月1日、田園都市線の溝の口~長津田の開業時に、あざみ野を除く他の駅と同時に開業しました。この辺りは1889(明治22)年から、川崎市に吸収合併される1938(昭和13)年まで宮前村でした。当時は「みやまえ」ではなく「みやさき」と読んでおり、これが現在の宮崎(みやざき)の地名につながっています。一方、宮前は、馬絹(まぎぬ)の字名から「みやまえ」と読むようになっています。ちなみに、宮前小学校は川崎区にあります。
川崎市の主要道路の一つ、尻手黒川線を越える田園都市線の橋です。左側が宮前平駅で、下り電車は駅を発車するとすぐにこの橋を渡り、坂を上って鷺沼駅に向かいます。また、川崎市営地下鉄構想では、おそらく尻手黒川線の真下に駅ができることになっています。
もう一度、道路案内図です。私は宮前平駅を利用したことがあまりないのですが、その分というべきか、車では何度もこの駅のそばに来ています。以前からホームセンターがあるからです。かつてはビッグサムがありましたが、現在はロイヤルホームセンターになっています。また、犬蔵、清水台、新百合ヶ丘、柿生方面に向かう際には、必ずこの駅のそばを通ります。
尻手黒川線を使い、川崎方面に走れば国道246号線との交差点があります。馬絹交差点ですが、ここから国道246号線まではかなり離れています。また、馬絹交差点とは反対の方向に進めば土橋交差点で、その先に東名川崎インターチェンジがあります。
尻手黒川線です。東名川崎インターチェンジ方面を撮影してみました。以前からロードサイド型のレストランなどが多い所で、最近になって宮前平温泉も開業しました。この写真で言えば、奥のほうにその温泉があります。インターチェンジの手前にある土橋交差点を右折すると宮前区役所、左折すると鷺沼駅に出ます。
今度は馬絹交差点方向を撮影しました。南口バスターミナルが左側に見えます。
道路の名称は非常にややこしいもので、同じ道路にいくつもの名前が付いており、しかもその名前が示す区間が違っていたりします。たとえば、川崎市内の代表的な道路の一つである国道409号線がそうで、この道路には府中街道、大師道、浮島通りという愛称がついています。それぞれ、どこからどこまでがそうなのかもはっきりしないのですが、府中街道は神奈川県道川崎府中線の愛称でもあり、しかも川崎区から高津区溝口3丁目までは国道409号線と重複しています。高津区溝口3丁目から先の高津区内と多摩区内は県道のみの区間です。
尻手黒川線も面倒な名称です。実は、この名称はいくつもの県道や市道の一部区間を足し合わせたもので、神奈川県道の鶴見溝ノ口線の一部、川崎市道の野川菅生線などから構成されています。上の写真は野川菅生線なのですが、道路標識などにはこの名称が登場しません。
宮前平駅の北口にもバス停がありますが、こちらの南口にバスターミナルがあります。周囲には商業施設が集まっています。商店街の規模としてはそれほど大きくないのですが、田園都市線の急行通過駅の中では大きなほうであるとも言えます。
宮前平駅の南口です。
南口のバス停です。川崎市内にある田園都市線の駅では珍しいことに、ここは東急バスより川崎市バスのほうが系統数、本数ともに多く、川崎市バスのターミナルの一つとなっています(その点で鷺沼駅とは異なります)。宮前区役所が近いからかもしれません。川崎市バスは、井田営業所、武蔵新城駅(市バスでは武蔵を省略します)、溝の口駅南口(市バスでは「溝口駅南口」と表記します)、生田駅、菅生車庫、鷲ヶ峰営業所、聖マリアンナ医科大学の方面に出ています。
上の写真に登場するのは、勿論、川崎市バスです。この明るく、すっきりしたトーンの塗色は、全国のバスの中でもなかなか優れたデザインではないかと思っていますが、いかがでしょうか。また、市バスは前面に岡本太郎のデザインによるマークをつけています。
宮前平駅1番線から鷺沼駅方面を撮影しました。すぐに高架線というには立派に過ぎるものが見えます。これが鷺沼車庫です。大井町線用の車両が置かれていますので、8090系、8500系、8590系、そして9000系を見ることができます(急行専用の新6000系は梶が谷車庫に置かれるのですが、鷺沼車庫でも見ることができるかもしれません)。
この車庫は田園都市線の溝の口~長津田が開業した時から存在します。高架線となっているのは用地の関係でしょう(沿線に平らな土地はあまりないのです)。延長開業前は自由が丘に検車区があったのですが、延長開業と同時に自由が丘から鷺沼に移転しました。ちなみに、自由が丘には検車区の移転後も長らく車庫があったのですが、現在は一本の留置線があるのみで、ほとんどはトレインチの用地となっています。
帝都高速度交通営団(現在の東京メトロ)半蔵門線が開業したことにより、鷺沼検車区は長津田に移転しました。半蔵門線内に車庫の用地を確保できないため、鷺沼検車区の多くの部分が帝都高速度交通営団に譲渡され、鷺沼車両基地となりました。残った部分が現在の鷺沼車庫で、長津田検車区の一部ともなっています。私は、子どもの頃、東急の鷺沼検車区を外から何度か見たことがあります。
田園都市線の下り電車は、宮前平駅を発車するとすぐに橋を渡り、急な勾配を登って鷺沼駅に向かいます。
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