平成筑豊鉄道の話を昨日(2024年11月1日)に取り上げましたが、同じ日にJR西日本美祢線に関する記事も朝日新聞社のサイトに掲載されていました。「美祢線復旧後の運営方式めぐり JR西、自治体と共同参画『不可欠』」(https://www.asahi.com/articles/ASSB03QQFSB0TZNB00FM.html?iref=pc_preftop_yamaguchi)です。
10月31日に山陽小野田市で美祢線利用促進協議会の部会が開かれました。その席で、JR西日本は、美祢線を復旧するならば上下分離方式が不可欠という考え方を示しました。
昨今の鉄道事情に多少とも関心のある方であれば「やはり」と納得されることでしょう。JR西日本は、美祢線を単独で鉄道路線として復旧し、運行することは困難であるという態度を既に示しています。また、部会において、JR西日本は同社単独で維持して運行を続ける際の経費などを明らかにしていません。これは、上下分離方式でなければ美祢線を捨てる、つまり廃線にするということを意味するものと考えて間違いないでしょう。
強気な沿線自治体ならば、JR西日本に対して「あんたはタカリ屋か?」と尋ねるでしょう。「いい加減にしろ! ふざけるな!!」と、多少は態度を荒げてもよいでしょう。こういう自治体が一つでも二つでも出てくれることが望ましいとも思うのですが、いかがでしょうか。大なり小なり、鉄道会社にはこういう気質があるように思われますし、「走らせてやってるんだぞ!」という意識が行動などに見え隠れしています(昔の国鉄について度々指摘されていたことでもあります)。
JR西日本は、次のような試算を示しました。意味がわからないところがあるので、上記朝日新聞社記事をそのまま引用しますと「同社単独で復旧させる場合では、自治体は4億円を負担するのに対し、上下分離方式を前提に復旧させる場合には、自治体の負担額は5.3億円に膨らむ」とのことです。何のことはない、JR西日本単独では復旧できないか復旧する意思がないということです(その後の維持管理はJR西日本が行うということでしょうが)。沿線自治体の費用が4億円か5億3000万円というのは、果たして適正な算定なのかという問題もありますし、取りも直さず財政規模に比して額が大きすぎるとも言えるでしょう。
また、同社の試算には続きがあり、上下分離方式を作用した場合の1年あたりの維持費は、JR西日本が2億5000万円、自治体が3億円以上とのことです。思い切ってJR西日本から美祢線を分離したほうがよいのではないかとすら思えてきますが、どうなのでしょうか。
美祢線の被害状況は甚大であり、復旧工事には5年程度が必要であり、第6厚狭川橋梁(正式な名称かどうかわかりません)の改築などが必要であるために少なくとも58億円が必要とのことです。1980年代に幹線に指定された理由でもある貨物輸送が現在も行われていれば、莫大な費用をかけてでも復旧する意味はありますが、その貨物輸送はほぼゼロです。ちなみに、10月29日にJR西日本は「利用者が特に少ないローカル線の2021〜23年度の平均収支」を発表しており、「美祢線は年度平均で4.3億円の赤字」であるとともに、同線の収支率(費用に対する収入の割合)は10.9%であったとのことです。
上記朝日新聞社記事によれば、「JR西は部会で、『利便性と持続可能性を確保した地域公共交通の復旧は必要だ』と強調した」とのことです。JR西日本ではなく沿線自治体の台詞なのではないかとも疑ったのですが、JR西日本が代行バスを運行しているようなので、JR西日本の台詞だったのでしょう。
なお、今年12月には、代行バスについて、利用者や沿線住民を対象としたアンケート調査を行うことになるようです。その結果次第では、鉄道復旧は断念されるでしょう。
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