神奈川県には一つもないし、これは神奈川県が誇るべきことであると思っているのですが、最近はご当地ナンバーが増えています。例えば、東京都であれば世田谷、杉並、板橋、江東、葛飾というナンバーです。
これについてはいくつかの問題が指摘されており、実際に、世田谷ナンバー訴訟が提起されました。
しかし、川崎市在住の法律学者として見ると、その主張には理解できる部分もあるものの、川向こうの川崎市が忘れられている、などと感ずるところもあります。
理由は簡単です。ご当地ナンバーでない、運輸支局の検査登録事務所が所在する都市のナンバーで、単一の市町村のみを範囲としているのは、日本全国でも川崎ナンバーだけであるからです。
ご当地ナンバーでない車のナンバーは、川崎ナンバーを除き、複数の市区町村を範囲としています。神奈川県を例とすると、次のとおりです。
横浜ナンバー(神奈川運輸支局):横浜市、横須賀市、鎌倉市、三浦市、逗子市および葉山町。
相模ナンバー(相模自動車検査登録事務所):相模原市、厚木市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市、愛川町および清川村。
湘南ナンバー(湘南自動車検査登録事務所):平塚市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、秦野市、伊勢原市、南足柄市、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、足柄下郡箱根町、真鶴町および湯河原町。
次に、東京都を例とします。ご当地ナンバーの対象地域のみ下線で示します。
品川ナンバー(東京陸運支局):千代田区、中央区、港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、大島支庁管内、三宅支庁管内、八丈支庁管内および小笠原支庁管内。
練馬ナンバー(練馬自動車検査登録事務所):新宿区、文京区、中野区、杉並区、豊島区、北区、板橋区および練馬区。
足立ナンバー(足立自動車検査登録事務所):台東区、墨田区、荒川区、足立区、葛飾区、江東区および江戸川区。
多摩ナンバー(多摩自動車検査登録事務所):立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、東村山市、国分寺市、国立市、東大和市、東久留米市、狛江市、清瀬市、武蔵村山市、多摩市、稲城市および西東京市。ちなみに、多摩自動車検査登録事務所は多摩市ではなく、国立市にあります。
八王子ナンバー(八王子自動車検査登録事務所):八王子市、青梅市、日野市、福生市、羽村市、あきる野市および西多摩郡。
仮に、世田谷ナンバー訴訟で主張されているプライヴァシー権侵害が成立しうるのであれば、川崎ナンバーの車については全て妥当することとなります。しかも、川崎ナンバーは、1980年頃に横浜ナンバーから分離独立するような形で成立しました。実に40年以上にわたり、川崎ナンバーの車の所有者はプライヴァシー権を侵害され続けていることとなります。しかし、何処のナンバーであっても所有者などを調べることはできますので、品川ナンバーであるか世田谷ナンバーであるか、練馬ナンバーであるか杉並ナンバーであるか板橋ナンバーであるかは、プライヴァシー権という点ではあまり違いがないとも言えます。
せいぜい、世田谷ナンバーと川崎ナンバーとの違いは盗難被害にある確率の差くらいでしょうか。正直なところ、よくわかりません。
最近、ご当地ナンバーが地域振興にあまり役立っていないという趣旨の記事を、インターネットで読みました。勿論、どのような政策などであっても直ちに効果を発揮するようなものではありませんが、或る程度の検証は必要でしょう。
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