ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

留萌本線の一部は残るか?

2020年08月22日 10時20分25秒 | 社会・経済

 このブログでは度々JR北海道の10路線13区間問題を取り上げています。新型コロナウイルスの影響が公共交通機関にも大きく現れている中で、この問題に対する処理が加速されるのではないかと思われます。

 念のため10路線13区間を再掲しておきましょう。

 1.札沼線の北海道医療大学〜新十津川(79人/4億円)⇐2020年5月7日に廃止(但し、最終運行日は4月17日)。

 2.石勝線の新夕張〜夕張(夕張支線)(118人/2億円)⇐2019年4月1日に廃止。

 3.根室本線の富良野〜新得(152人/10億円)

 4.留萌本線の深川〜留萌(183人/7億円)⇐同線の留萌〜増毛は2016年12月5日に廃止。

 5.日高本線の苫小牧〜鵡川(298人/4億円)

 6.日高本線の鵡川〜様似(298人/11億円)⇐長期運休中。2021年3月に廃止か。

 7.宗谷本線の名寄〜稚内(403人/25億円)

 8.根室本線の釧路〜根室(通称「花咲線」)(449人/11億円)

 9.根室本線の滝川〜富良野(488人/12億円)

 10.室蘭本線の沼ノ端〜岩見沢(500人/11億円)

 11.釧網本線の東釧路〜網走(全線)(513人/16億円)

 12.石北本線の新旭川〜網走(全線)(1141人/36億円)

 13.富良野線の富良野〜旭川(全線)(1477人/10億円)

 今回は、上から4番目、留萌本線の話です。昨日(2020年8月20日)の10時30分付で、朝日新聞社のサイトに「北海道)留萌線一部廃止で合意 沿線4市町」という記事が掲載されていました(https://digital.asahi.com/articles/ASN8M6S7FN8MIIPE01C.html)。「一部廃止」が引っかかるので、取り上げてみようという訳です。以下、都合により、留萌本線、留萌線の表記が混在します。

 留萌本線は、2016年12月5日に留萌〜増毛が廃止されたことにより、JR九州の筑豊本線から国鉄・JRの最短距離「本線」の地位を譲り受けて現在に至っています。しかし、乗客の少なさなどは変わらず、経営が困難な路線にあげられています。1980年代には特定地方交通線に指定されるはずが、指定除外要件に該当したために存続したという歴史もあります。

 現在残っている深川〜留萌について、JR北海道はかねてから廃止の方針を出しています。これに対し、沿線自治体である深川市、秩父別町、沼田町および留萌市が18日に会議を開き、深川〜石狩沼田については存続を求め、石狩沼田〜留萌については廃止に同意することで合意したようです。バス転換に前向きであったのは留萌市でした。一部廃止であれ全部廃止であれ、留萌振興局管内の市町村から鉄道路線が消滅することになりますが、路線の存続が困難であるということを見極めた上での結論であるようです。他方、深川市、秩父別町および沼田市は存続を求めています。これは、高校生の通学や高齢者(など)の通院に欠かせないという理由によるものです。たしかに、バス路線に転換されたら運行時間や運賃がどうなるかという問題があり、過去の例を見ると、運賃が上昇したことも多かったようです。

 留萌本線の2019年度の収入は3800万円ほどで、経費は7億円近くとなっていますので、大幅な赤字です。深川〜石狩沼田を存続するとして、収支がどうなるという予測はあるのでしょうか。やはり過去の例をみても、一部廃止が結局は全線廃止につながる場合が少なくありません。

 なお、JR北海道の2020年4月〜6月期決算によると、売上高は207億円、営業損益は239億円の赤字、純損益は126億円の赤字でした。2019年度同期と比較すれば、いずれも悪化しています。

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特別定額給付金 オンライン申請が上手くいかなかった理由の一端は見えたような

2020年08月21日 12時00分10秒 | 国際・政治

 早いもので、特別定額給付金の申請期限が迫っています(今月末です)。うちは6月上旬に申請しました。申請書類が届いたので、スキャナでマイナンバーカードなどを読みとってコピーし、必要なことだけを書いて、10分もかからずに書類を作成しました。たしか、すぐに近所の郵便局の前にあるポストに投函したはずです。3週間ほどかかりましたが、口座に振り込まれていました。

 もう3か月以上前の話になりますが、このブログに、特別定額給付金のオンライン申請を行おうとしたら何度もセッションタイムアウトが発生したことを記しました。その原因の一つが見えたように感じられた記事がありました。今日の朝刊には掲載されておらず、有料会員限定記事なのですが、8時0分付で朝日新聞社のサイトに掲載された「『配れ』現金給付へ政治圧力 システム演習0日、即本番」という記事です(https://digital.asahi.com/articles/ASN8N0G90N8CUUPI002.html)。

 「準備不足だったのだろう」とは思っていました。私が何度やってもオンライン申請ができなかったのは、私のせいということもあるでしょうが、それだけではないだろうと考えました。やはり、あちらこちらの地方自治体で大混乱が起こりました。中にはオンライン申請の受付をやめて紙の申請だけとした所もあります。

 上記記事に沿いつつ、過程を記しておきますと、政府および与党は、3月中旬の段階で現金の給付について検討を始めていました。3月31日には自民党が緊急経済対策を提言していますが、そこでもマイナンバーカードを活用して「迅速かつ簡易な現金給付」をすることが示されていました。

 「この段階でアウトだろう」、「この段階で失敗は約束されていただろう」と思われた方も少なくないかもしれません。マイナンバーカードの普及率が低かったからです。

 総務省によると、今年の1月20日における普及率は全国で15.0%です(人口に対する交付枚数の割合を普及率としておきます)。市町村別で見ると、最も高いのは新潟県岩船郡粟島浦村の58.4%ですが、50%を超えるのはこの村だけで、大分県東国東郡姫島村で46.2%、茨城県猿島郡五霞町で37.9%などとなっており、特別区の平均が20.5%、政令指定都市の平均が16.1%、政令指定都市を除く市の平均が14.3%、町村の平均が12.1%です。また、都道府県別で見ると、最も高い宮崎県で20.5%、他の都道府県は概ね10%台で、最も低い高知県では9.0%です。

 ここで、スマートフォンやパソコンを使ってスピーディーにオンライン申請をしようと、マイナンバーカードを取得しようとする人が増えれば、その発行だけでも時間を取られます。私は、相続などの関係で何年か前に取得していましたが、高津区役所での申請から取得まで1か月ほどかかっています。

 それでもマイナンバーカードにこだわったということになります。普及させようとした訳です。そこで絡んでくるのがオリンピックで、元々、オリンピックおよびパラリンピックが終わってからの消費喚起策としてマイナンバーカードを利用したポイント還元策が検討されていました。現金給付は、この策に乗っかるような形で進められたのです。

 オリンピックが予定通り開催されたならポイント還元策が行われた可能性は高かったでしょうし、或る意味でマイナンバーカードの普及率はどうでもよかったでしょう。しかし、そうはいかなくなりました。そもそも、オリンピック後の経済対策と新型コロナウイルス対策とでは方向性が全く違います。

 その上で、現金給付の中身が問題となりました。4月7日、減収世帯に30万円を給付するという方針が閣議で決定されていましたが、与党の反発(おそらく公明党のそれが強かったはずです)があり、同月16日に全国民に一律10万円を給付するという方針に変更されました。悪いことに、翌日には財務大臣が「手を上げた方に1人10万円ということになる」という趣旨の発言を行っています。混乱を象徴するような出来事でした。自己申告制では一律給付になりません。また、16日の方針変更で補正予算も修正されることとなり、国会での審議入りが一週間ほど遅れました。

 総務省は申請方法を4月20日に発表し、5月1日から申請開始とされました。その間にシステム開発がなされていたはずですが、10日くらいしかなかったそうです。そのため、予行演習の時間も取られず、いわばぶっつけ本番という形になりました。事務を担当する市町村には総務省と内閣府から様々な通知が行われたのですが、誤入力もそのまま届くことは周知されていなかったそうです。こうして、5月から6月中旬まで、システムの改修が行われながらのオンライン申請受付となりました。

 上記記事には「そもそも今回のオンライン申請では、なりすまし申請を防ぐためにマイナンバーカードのICチップに入っている本人認証機能を使っただけで、マイナンバー(12桁の社会保障・税番号)自体は使われていない。マイナンバーの利用範囲は生活保護や児童手当の申請など法律で厳格に定められ、今回のような給付金申請に使うには法改正が必要だ」と書かれています。システム的にはそうだったのでしょう。しかし、私がスマートフォンのアプリを使ってみたところ、暗証番号を二つか三つ入れなければならず、それだけでも手間でした。それから画面通りに進めても、結局はセッションタイムアウトです。パソコンでやってみましたが、結果は同じでした。

 考えてみると、マイナンバーカードをもっていても、使う機会はそれほど多くありません。金融機関での本人確認くらいでしょうか。それも運転免許証があれば済みます。むしろ、マイナンバーカードを普段から持ち歩くような気分になれない、というのが本当のところではないでしょうか。

 また、非常に気になるのは、オンラインシステムそのものです。太田直樹氏のコメントには「現状のように国と自治体がバラバラにシステムを整備し、ネットワークを運用して」いるという部分があります。これでは上手くいきません。少し前に問題とされた公共事業の実態と変わりがないからです。

 例年より1ヶ月ほど遅く、政府は骨太の方針2020を閣議決定しました。その中に行政手続のデジタル化が掲げられているのですが、頭の中に大きな疑問符が浮かびました。私が日本税務研究センターの電子申告の研究会でドイツの電子申告を担当したのはもう20年ほど前のことです(まだ20世紀でした)。上記記事に掲載されている武蔵大学教授の庄司昌彦氏にもあるように、2001年、日本はe-Japan戦略を打ち出しています。そこでは「世界最先端のIT国家」になると提唱されていました。私も覚えています。同年にはインターネット博覧会も行われていたくらいです。しかし、結局は「世界最先端のIT国家」どころか、コロナ禍で在宅勤務が拡がる中でも印鑑を押すためだけに出勤しなければならないというような話が出るほどの状況であった訳です。

 マイナンバーカードの普及率が低い上に慌ててシステム構築を行ったことが、混乱の原因の、少なくとも一つにはなるでしょう。

 そう言えば、6月末で終わった電子マネーのポイント還元も、或る意味では混乱、とまではいわなくとも困惑を招くような政策でした。そもそもクレジットカードを持てない人には意味のない話でした。また、店によっては現金しか使えない所も少なくありません。或る意味で最強の電子マネーはJR東日本のSUICAで、私自身はPASMOを使っており、ポイント還元に乗っかりましたが、そのSUICAやPASMOを使えないスーパーマーケットなども少なくありません。同じ系列でも使える店舗と使えない店舗があったりします。また、他にも電子マネーがあり、この店ではau PAYが使えるけど別の店では使えない、ということはよくあります。残高不足になったりしなければ、買い物で最も速く用を済ませ、後ろに並んでいる他のお客さんに迷惑をかけるようなことがないのはSUICAやPASMOですから、この種を使うことが多いのです。 

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おしらせです(2020年8月20日)

2020年08月20日 01時15分30秒 | 本と雑誌

 管理人の権限を利用して、お知らせです。

 2020年8月、公益財団法人地方自治総合研究所の「地方自治関連立法動向第7集 第197臨時会〜第199臨時会」が、6月に発行されました。

 この中に、私が書いた次の4本の論文が掲載されています。

 「地方税法等の一部を改正する法律(平成31年3月29日法律第2号)」<月刊自治総研2019年12月号より(一部加筆)>

 「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律(平成31年3月29日法律第3号)

 「特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律(平成31年3月29日法律第4号)」<月刊自治総研2020年1月号より(一部加筆)>

 「地方交付税法等の一部を改正する法律(平成31年3月29日法律第5号)

 御一読をいただければ幸いです。

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2003年5月31日、ととろの里

2020年08月19日 08時51分30秒 | 旅行記

 今から17年前のことになりますが、2003年5月31日、大分市に住んでいた私は、同県の南部、南海部郡宇目町まで車で走りました。2005年3月3日、佐伯市と南海部郡の各町村とが合併し、新しい佐伯市が誕生しました。宇目町も現在は佐伯市の一部です。

 それはともあれ、今回は宇目町を訪れた時の様子です。

 

 国際的に通用する、しかも一級品の日本文化とは何でしょうか。

 どうやら、漫画とアニメがあげられるようです。実のところ、私にとってはどちらもあまり得意ではない分野です。漫画といえば、新聞の4コマか、病院の待合室にある雑誌を手に取るくらいで、漫画週刊誌を買ったことはないのです。単行本なら何度か購入したことがありますが、あまり日本の漫画を読んでいません。1970年代、私の小学生時代には、鶴書房で刊行されていた日本語版ピーナツ・コミックス(スヌーピーやチャーリ・ブラウンなどが登場する漫画)を買いに、自転車で小杉へ行ったくらいです。それでも全部を買った訳ではありません。アニメも、よくテレビで見ていたのは小学生時代で、中学生になってからはあまり見なくなりました。しかも、小学生時代には東京12チャンネル(現在のテレビ登場)で夕方に放送されていた番組で外国発のアニメ(ピンク・パンサーやバーバ・パパなど)を少し見ていたくらいでしょうか。日本のアニメ番組を最初から最後まで見たこともほとんどないのです。

 2003年当時、オタクという言葉は英語にもなっており、ポケットモンスターをはじめ、日本の漫画やアニメは世界的にも高い芸術的な評価を受けていました。宮崎駿監督の映画「千と千尋の神隠し」がベルリン映画祭で金熊賞を受けたことなどからも、このことは理解できます。

 アニメといえば映画ということにもなるのでしょうが、私は、基本的に映画を好まないため、映画館にも滅多に足を運びません。何しろ、高校3年生の時に、今はない六本木シネ・ヴィヴァンで「或る女の不在証明」という映画を見て以来、一度も映画館に行っていません (それまででも、2回か3回しか行ったことがありません)。ヴィデオを借りたりすることもありませんし、映画のヴィデオやDVDも、やはり今はない六本木WAVEで「真夏の夜のジャズ」を買ったくらいです。テレビの映画番組もあまり見ません。

 このような私でも、宮崎駿監督の映画は、「天空の城ラピュタ」など、日本映画には珍しく(?)、音楽もよいと思っています。これは、「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」のテーマ曲が爆発的なヒットを記録したことから明らかです。ちなみに、私自身は「天空の城のラピュタ」のテーマ曲 「君をのせて」が好きで、一時期はよく歌っていました。歌手の井上あずみさんの声がよかったからかもしれませんが(児童合唱ヴァージョンはあまりよくありません)、歌詞がいいのです(J-POPには陳腐な歌詞が多いのでほとんど聴かないのです)。

 実は、大分県に、宮崎駿監督の映画にちなんだ、あるいは引っ掛けた名所が、南海部郡宇目町にあります。まずは写真を御覧いただきましょう。

 映画ではトトロになっていますが、バス停は「ととろ」です。しかし、本当に映画のトトロが登場しそうな里です。 そう言えば、「となりのトトロ」のテーマ曲も、井上あずみさんが歌っていました。撮影をしながら、最初の部分だけ思い出しました。しかし、ここに来るまで車の中で聴いていた音楽は、ととろの里のイメージとはかけ離れ、映画とも全く関係のない、マヌエル・ゲッティングのE2-E4でした。大分大学時代に知ってから現在に至るまで、何かといえば聴いている曲です。

 何年前のことか覚えていないのですが、大分県内の新聞やラジオで「ととろの里」が紹介され、話題になりました。しかし、私にはピンと来なかったのです。ととろと言えば、宮崎県延岡市に日豊本線の駅があります。土々呂と書きます。読み方は「ととろ」です。何度か通ったことがあります。ただ、私が通った時には、映画に引っ掛けたようなものはなく、里というようなイメージもわきにくい所でした。その意味では、宇目町のほうが相応しいでしょう。 なお、宇目町の場合、漢字で記すと轟です。

 国道326号線を走り、宇目町に入ってしばらくすると「ととろ入口」という交差点があります。ここから県道6号線(日之影宇目線)が分岐します。その県道に入ります。少し走ると日之影、木浦などの案内板がある交差点に出ます。そこで「ととろ」と書かれた方角へ向かうと、数分で到着します。狭いながらも木浦(傾山登山口)行きの大分バスが佐伯駅方面から走ってくる所です(但し、時刻表を見ると、佐伯駅方面は1日3往復しかなく、他の行き先のバスを入れても5往復くらいしかありません。 豊肥本線三重町駅のほうが近いと思うのですが、バスの便はありません)。

 御覧のように、映画に登場するキャラクターの絵がバス停にあります。これを見る限り、地元の住民、あるいは宇目町、あるいは大分バスが、観光目的のためにこのような仕掛けを作ったのではないかと思われることでしょう。しかし、実際はそうでないようで、少なくとも最初は、誰かわからないがこのような絵を描いたか何かをして、それが有名になったとのことです。最近では整備などをしているのでしょう。それにしても、極端に本数の少ない路線のバス停が有名になるとは……。

 ここまで書いておいて、という気もしますが、実は、私は「となりのトトロ」という映画を見たことがありません(テレビで放送されていたのを少しだけ見たかもしれませんが)。ただ、テーマ曲だけは何度か聴いたことがあります(「君をのせて」とはあまりにも違う曲調なので、最初の部分しか覚えていません)。このトトロはぬいぐるみにもなっていて、見る度に「あれはミミズクじゃないの?」と思っていたのですが、一体何なのでしょうか。

 「猫バスの停まる里」ということで、その猫バスの登場です。勿論、実際に走るバスは、こんな格好をしておらず、箱型のものです〔もっとも、先ごろ廃止された南部縦貫鉄道(青森県)のレールバスを猫バスに似ていると評価した人がいます。たしかに、この絵を見ると納得します〕。バスと言っても色々な大きさ、型がありますが、猫バスでは宇目の狭い道を走れないでしょう (逆に、猫バスだから走れるかもしれないのですが)。しかし、実際にこの地を通ると、猫バスが来るような錯覚に陥りそうになります。私自身が、ファンタジックな世界を好むからかもしれません(現実のスキャンダルなどには嫌悪感を催すことのほうが多いのです)。

 バス停の小さな待合室には、上の写真にあるように、小さな待合室の中に、字の名前の由来が貼られていました。 日照り続きで旱魃に見舞われそうになったところに竜巻が起こり、豪雨と嵐が後に続き、農村は救われた、という訳です。竜の存在はともあれ、実際にあったことを基にした話なのでしょう。

 ととろバス停のすぐ裏を流れる小川です。台風の強風域に入り、大雨が降ったために、川の水量が増えています。この周囲を歩いても、この川の流れと鳥のさえずり声だけが聞こえてきます。晴れている夏の日であると、懐かしさにあふれる、いい風景になるでしょう。

バス停から、国道326号線側に戻って撮影しました。岸などがコンクリートで固められているらしいのは残念ですが、それなりの雰囲気を漂わせています。

車を停めておいた場所から、奥の方向を撮影してみました。

 ここでもう一度、バス停の小屋に貼られているトトロと猫バスの絵を掲げておきます。別にわざとぼかした訳ではありません。デジタルカメラの望遠をきかせただけです(撮影技術の程度がわかりますね)。なお、奥にある自動車は、当時私が運転していた車です(どうでもいいことですが、5速マニュアルミッションです)。

 御覧のように、バス停の待合室は川の上にあります。 しかも、両岸に丸太か何かを渡し、その上に建てているのです。また、待合室と言っても、柵があって中に入れません。なお、ととろバス停の標柱は、道路の反対側に立てられていません。このように、道路の片側にだけバス停の標柱が立てられるのは、大分県ではよくあることで、大分市内でも、例えば大分大学正門バス停などがそうです。だからと言って、一方向しかバスが停まらない訳ではありません。

 ととろバス停の付近は、小さな集落になっています。 少し前までは、神奈川県でも見られた光景です。写真は、大分県南海部郡宇目町、少し走ると宮崎県の北川町、日之影町です(北川町は、現在、延岡市の一部となっています)。

 バス停から150mほど離れた所に、このようなオブジェが置かれています。川の対岸にあるのですが、渡ることはできません(この日だけだったのかもしれません)。誰が作ったのかはわかりませんが、ちょっとした風景になっています。

 アップで写してみたら、いまだにデジタルカメラの光学ズームに慣れていないためか、ぼやけた写真になりました。このトトロを見る度に「あれはミミズクじゃないの?」と思っていたのですが、一体何なのでしょうか。

 猫バスのある場所から、方角を変えて周囲を捉えてみました。軽自動車が走っている道路は、路線バスが通っているとは思えないほど道幅が狭いのですが立派な県道でして、傾山の登山口である木浦、そして宮崎県日之影町へ向かいます(但し、相当に長い道のりで、さらに道の条件が悪くなります)。また、三重町の稲積鍾乳洞に行くこともできます。

 今度は、猫バスのオブジェと反対側のほうです。御覧のような郵便ポストがあります。私が子供のころには見慣れたものでしたが、今、全国的には少なくなっています。おそらく、首都圏などでは見られないでしょう。大分県には意外に多く残っていて、別府駅西口などでも見られます。しかし、ここまできれいな赤色のポストは、ととろの里くらいでしょう。

 この辺りには郵便局も簡易郵便局もありませんし、店舗らしいものもありませんが、上の写真のように、葉書記載所があります。左側の緩い坂を登ると、ととろの里オリジナル葉書(?)を販売している民家があります。

 猫バスの大きなオブジェが置かれている場所の対岸に、このような風景があります。天満宮の絵馬かけ、あるいは地蔵尊にも似た様子です。何故か御賽銭も置かれています。御覧のように、大きなトトロと小さなトトロがたくさん並べられています。じっくりとは見ていないのですが、一つ一つのトトロに願い事が書かれていたりします。

 この日は私一人だけがおりましたが、天候の良い休日には、何人もの観光客が訪れるのでしょうか。小さなトトロは、何百も置かれています。また増えるのかもしれません。

 同じトトロでも、一つ一つの形が少しずつ違います。狸のように見えるものもありますし、ミミズクのようにも見えます。何とも不思議な光景ですが、気分が和らいでくるのも事実です。大袈裟な仕掛けなど何もありませんが、一つ一つに手作りのやさしさ、ぬくもりのようなものを感じます。色々な人が、色々な思いを込めて、ここにトトロを置いていったのでしょう。

 木浦方面に角度を変えると、またトトロがたくさんおります。奥に見える黒い自動車は、私の当時の愛車、日産ウイングロードXです。

 日本もたくさんの映画を送り出していますが、このように、自然発生的に(と表現しておきます)映画にちなんだ名所ができたというのも、ここくらいのものでしょう。俳優でも女優でもなく、監督でもない。アニメのキャラクターが、この名所を生み出したのです。しかも、ディズニーランドのようなテーマパークなどという大袈裟なものではないのです。そこにこそ、驚嘆の念を覚えます。

 今度は、ととろバス停の方向です。階段を下りていくと、川を渡って猫バスのオブジェに行けるのかもしれませんが、撮影日は雨、間近に猫バスを見ることができなかったのは残念です。

 先ほどの写真から少しだけ右に動くと、このようになっています。それにしても、映画にちなんでとは言え、このような場所、アイディアを考えつかれた方、そして、これを維持管理している地元の方々には、敬意を覚えます。

 最後に、もう一度、猫バスのオブジェに登場してもらいましょう。そして、こことお別れといたします。また、時間があったら、ととろの里に行きたいと思っています。しかし、果たして、また行くことができるのかどうか、今の時点ではわかりません。

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残暑厳しき折、いかがお過ごしでしょうか。

2020年08月18日 00時43分50秒 | 日記・エッセイ・コラム

 昨日(2020年8月17日)、浜松市で観測史上最高タイ記録となる41.1℃が観測されました。

 7月生まれの私は夏の暑さを好むのですが、流石にこの暑さは……。まして、7月は雨ばかりで日照時間が短かったですから。

 ちなみに、川崎市立の小学校の夏休みは16日までで、17日から授業が再開されました。ただ、昼の暑い時間帯に帰宅させられるのはどうなのだろうか、とも思うのですが。

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8月16日のクラシック音楽館

2020年08月17日 01時00分30秒 | 音楽

 何度か記していますが、うちでは日曜日となると20時から23時、場合によっては24時までNHK教育テレビ(Eテレ)を見続けています。20時から日曜美術館の再放送(朝9時からの本放送も見ます)、21時から23時まではクラシック音楽館、または古典芸能への招待ということになりますが、夫婦で見るのはクラシック音楽館のほうです。

 16日は、ドイツで保存されているフィルムを8K画像に変換(?)しての、名演奏の再現でした。最初があのカラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー交響楽団で、チャイコフスキーの交響曲第4番第1楽章、次がレナード・バーンスタイン指揮のウィーン・フィルハーモニー交響楽団で、ベートーヴェンの交響曲第9番第4楽章でした(この演奏でのバス歌手によるO Freude, nicht diese Töne!の響きには驚きました。ここまで豊かに響く声とは!)。バーンスタインとウィーン・フィルハーモニー交響楽団といえば、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調(弦楽合奏版)やマーラーの交響曲第9番という名演もありますが、録画はあるのでしょうか?

 続いてカール・ベーム指揮のウィーン・フィルハーモニー交響楽団で、モーツァルトの交響曲第40番の第1楽章および第4楽章です。第2楽章が放送されなかったのは残念ですが、これまでにも何度かベームの指揮をテレビで見ていますし、LPで聴いていたこともあったので、やはりいい演奏だなと思いました。できれば第41番を聴きたいところです。

 そしてカルロス・クライバー指揮のウィーン・フィルハーモニー交響楽団で、ブラームスの交響曲第2番です。これは全楽章を通して放送されました。クライバーの指揮ぶりが、見ていて独特だと感じました。クラシック音楽館のよいところとして、専門家、特に演奏者(NHK交響楽団のコンサート・マスターである篠崎史紀さんなど)の解説が入っていることがあげられますが(これは芸術劇場にも言えたことです)、今回もクライバーの指揮について解説があり、なるほどと思ったのでした。

 なお、今月から来月にかけて、BSで上記の曲などが放送されるようです(うちはBSの契約をしていないので見ることはできません。普段からあまりテレビを見るほうではないのです)。

 

 それにしても、川崎市は高津区でも暑い日が続きます。16日に浜松市では40度を超えたとのことでしたが、何日か前に高津区でも溝口三丁目と久地一丁目の道路の上では40度や41度となっています(温度計が示していました)。一方で、15日に根室市では最高気温が15度くらいであったそうです。たしか、昨年の8月も、東京などで40度に達しようかというほど暑かったのに、道北や道東では暖房をつけなければならないほどの気温だった所もあるとラジオのニュースで聞いて驚いたことがあります。日本も広いものです。

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二子玉川が舞台の小説

2020年08月16日 12時02分30秒 | 本と雑誌

 何度も二子玉川ライズで見てはいたのですが、買ったのは今月になってからです。

 吉村喜彦さんの『バー・リバーサイド』シリーズは、二子玉川が舞台となっている小説です。名前の通り、バーが舞台となっており、カクテルなど様々な酒が登場しますが、読んでいると、「大体このあたりが舞台だな」とわかります。まあ、私がよく二子玉川へ行くからかもしれませんが、砧線の跡の話なども書かれており、興味深い内容となっています。

 常連さんのやりとりもいいですね。深みのある話も出てきます。

 本を読んでいて何処かに行きたくなるということがあるでしょう。私にとっては『植草甚一スクラップ・ブック』がその代表で、これで池尻の江口書店、三軒茶屋(正確には太子堂4丁目)の太雅堂書店(既に閉店しています)、経堂の遠藤書店(最近閉店しました)などを知り、実際に行くようになったのです。神保町は言わずもがなです。

 それにしても、世田谷区には、ちょっとばかり歩いてみたくなる魅力のある街がいくつもある、といつも思います。

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東急5000系

2020年08月15日 20時49分35秒 | 写真

 

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日高本線の鵡川〜様似が廃止される/牟岐線の阿波海南〜海部が廃止される

2020年08月14日 07時00分00秒 | 社会・経済

 今回は二題です。

 

 このブログでも何度か日高本線を話題として取り上げました。この路線は苫小牧駅から様似駅まで、140キロメートルを超える路線ですが、2015年1月の高潮被害によって鵡川駅から様似駅までの116.0キロメートルが不通となっています。沿線自治体で鉄道廃止、バス路線への転換を決定したのは2019年11月のことです。

 そして、2020年8月12日、沿線自治体は、鵡川〜様似の廃止について9月にJR北海道と協定を締結する方針を固めたようです。苫小牧民報社が8月13日付で「日高線来年3月廃止へ 不通から5年7カ月 来年4月バス転換」(https://www.tomamin.co.jp/article/news/main/26238/)として、日本経済新聞社が8月13日14時57分付で「JR日高線の一部区間、21年3月にも廃止へ」(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62595810T10C20A8L41000/)として報じています。なお、どちらも有料会員でなければ全文を読めません。Yahoo! Japan Newsには8月13日16時12分付で「日高線来年3月廃止へ 不通から5年7カ月 来年4月バス転換」(https://news.yahoo.co.jp/articles/e5f5e4037742ec99f7ea8fc0c9aa69e5be87bbd5)として苫小牧民報社の記事が転載(?)されています。

 JR北海道はこの100キロメートルを超える区間の廃止後18年間のバス運行費や地域振興費などとして25億円を拠出することなどを提案しており、8月12日にはこのことが沿線自治体の長などの間で議論されたようですが、同意がなされたということでしょう。浦河町は長らく鉄道の維持を訴えていましたが、他の沿線自治体がバス転換に向いていたことで、結局は鉄道の廃止に同意するようです。

 ただ、このあたりでも自動車社会、より正確には自家用車社会になっているようで、バス転換しても沿線住民がどれだけ利用するのかはわかりません。鉄道を廃止してバスに転換したら利用客がさらに減少したという例もよく聞くところです。国鉄時代に、多くの地方の住民は鉄道を捨てたと言えるでしょう。何かの本に、住民が鉄道に捨てられたというようなことが書かれていましたが、決してそうではありません。そして、沿線自治体の多くも鉄道を捨てたのです。

 日高本線の鵡川〜様似が廃止されると、苫小牧〜鵡川は残ることとなります。しかし、この残存区間の将来も何処まで読み通せるでしょうか。

 

 もう一題は四国です。徳島県は徳島駅から海部駅まで、牟岐線という路線が伸びています。この路線の末端区間である阿波海南駅から海部駅までの廃止届が、8月11日にJR四国によって提出されました。

 もっとも、こちらは純粋な廃止ではありません。海部駅から高知県の甲浦駅までの阿佐海岸鉄道阿佐東線に編入されることとなっています。しかもDMVが走ることとなっているのです。DMVといえばJR北海道が開発したものですが、主に経営問題のために実用化は断念されました。他方、DMVの導入を検討していた鉄道会社はいくつかあり、その一つが阿佐海岸鉄道でした。JRグループを除く鉄道会社の路線で最も利用客が少ないのが阿佐海岸鉄道阿佐東線で、起死回生というところでしょうか。あるいは、輸送量からDMVの導入という判断に至ったのでしょう。

 ただ、実際にDMVの導入にどれだけのメリットがあるのでしょうか。私はDMVの実物を見たことがないのでよくわからないのですが、マイクロバスがベースになっているそうです。大人30人ほどが乗車するバスということでしょう。路線バスとして使用されるいすゞのエルガは大体80人から90人という定員のようですので、DMVの導入が決まったということは大型路線バスを導入するほどの需要がないということでしょう。徳島県南部および高知県東部の事情をよく知りませんが、通学路線としての性格が強ければ、マイクロバスでは輸送が間に合わないでしょうから、阿佐東線をDMVが走るということは、通学路線としての性格が弱いということかもしれません。もっとも、DMVの連結運転が可能であれば、より柔軟な対応もできます。それにしても、バスに道路走行用の機器と鉄道用の機器を搭載する訳ですから、一台あたりのコストは高くなるでしょうし、鉄道施設の維持にもかなりのお金がかかることは否定できません。

 ちなみに、牟岐線の阿波海南〜海部が廃止されて阿佐海岸鉄道に譲渡される理由は、海部駅が高架駅であり、DMVが方向転換をするための施設を作るのにかなりの費用がかかるためである、という話です。日本はもとより世界でも初の試みがどうなるのか、気になります。

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USBメモリは突然

2020年08月13日 09時45分10秒 | デジタル・インターネット

 昨日まで使えたUSBメモリが、今朝、使用不能状態になりました。

 一瞬、「Mac OS Catalinaの更新をしたので使えなくなったのか」と考えたのですが、そのような訳はないと思い、他のパソコンにつないでみると、やはり使用不能でした。

 自宅での仕事のメインで使っていただけに、受けたショックは大きいものです。

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