That's awesome

海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

R_The Gospel According to Benedict by OUT - P2

2014-10-21 14:24:37 | BC_2013・2014
OUT インタビュー、続きです。

The Gospel According to Benedict
「アラン・チューリング像を体現する準備に怠りないシャーロックのスター、
ベネディクト・カンバーバッチにとって、ゲイへの差別やいじめは他人事ではない。誰の挑戦でも受ける覚悟だ。」

※コメントでいくつか間違っている部分をなおしていただいたので修正しました。
赤字部分です。
hedwigさま、本当にありがとうございました!


5年前、カンバーバッチは上手い役者だったが小さな島国が好む土曜夕方のwhodunitsや、
1940年代英国に移住したジャマイカ人について書き様々な賞を受賞した
アンドレア・レヴィの小説に基づいた時代劇などのテレビ番組に出演していたが目立たなかった。
※whodunitsフーダニット は犯人探しを楽しむミステリー
※アンドレア・レヴィの小説はおそらくスモールアイランドだと思います。

その後、2010年の秋、BBCがシャーロックホームズを現代に再起動させ、カンバーバッチを名探偵で主演させた。
ジェイムズ・ボンドがショーン・コネリーを定義づけたのと同じくらいその役は彼を定義づけた。
その番組は開始から世間を沸かせ、(番組は1シーズンにつき3エピソードだけだ)今では180か国で視聴されている。
今年のエミー賞でカンバーバッチと彼の共演者、マーティン・フリーマンがそれぞれ受賞している。
(HBO製作、ライアン・マーフィー出演の「ノーマルハート」が候補だった)

シャーロックは現在シーズン4の製作準備中で、カンバーバッチに多くの責任が課されていく。
彼は感謝祭からクリスマスの間だけで 「Penguins of Madagascar」
(彼はDeclassifieと呼んでいるオオカミのシークレットエージェントを演じる)や、
ピーター・ジャクソンの「ホビット 決戦の行方」を含む3つの映画がリリースされる。
※Declassifiedは機密扱いから解かれるという意味なので任務を解かれたとかそんな感じでしょうか

だが、オスカー候補になるかもしれないイミテーションゲームは、
ゲイの数学者、アラン・チューリングの伝記映画で彼は第2次世界大戦でドイツ軍が使用していたエニグマコードを解読した。
チューリングの行為は他の誰よりも連合国の勝利を確実にし、
もしかしたらチャーチルやルーズベルト、そしてスターリンを救ったのかもしれない。
イミテーションゲームは並外れた事を成し遂げた事が本質にある映画であることがわかる。
「英国王のスピーチ」のように、上品で美しく、元の資料に忠実に作られた映画だ。
(これはアンドリュー・ホッジスの1983年に出版された伝記”アラン・チューリングThe Enigmaが元である)

だが、心穏やかなはみ出し者の同性愛者、チューリングに命が吹き込まれたのは、
カンバーバッチのとても魅力ある演技がもたらしたものだ。 
(クリストファーという彼のコンピューターは、報われない片思いの相手である男子学生の名前だ)
だが彼は彼を取り囲むすべてと完全に対立していく。

デイビット・レビットのうまい例えを使うとチューリングはリアルなミスタースッポックのような人物で、
人との会話に無頓着な「その場の空気を読むことができない」

チューリングがハウスキーパーによって死体で発見された時、彼は41歳だった。
彼のベッドサイドには半分食べられたリンゴがあった。
リンゴがアップルコンピューターの創造性を示唆するのではというのは都市伝説で 
リンゴにシアン化物が含まれていた説が一般に信じられているが
この説は彼の死が事故であったと主張する一部の伝記作家に疑問を投げかけられてきた。

はっきりしているのは『目に余るわいせつ』で、もうひとりの男性と逮捕されたあとも、
彼の最後の年まで当局にしつこく追い回されていた事だ。
彼の傾向を『治療する』ための監禁、或いはエストロゲン注射の療法に直面し、彼は後者を選んだ。

昨年12月、彼の死からほぼ60年後にチューリングは有罪判決の死後恩赦が認められた。
繰り返されるキャンペーンはカンバーバッチを明らかに失望させていた。

「侮辱だよ」役者は言う。
「承認する立場の権力者が署名して、そして『よし、彼を許そう』と言う。
チューリングを許すことができるのはチューリングだけだ。だけど僕たちが彼を殺したから彼はそうすることができないんだ。
その事を僕は本当に怒っている。その事が僕をとても怒らせるんだ。」

リサーチをしたカンバーバッチは英国におけるホモセクシャルの迫害は、ケンブリッジ・ファイヴに始まると考える。
スパイをするためにモスクワに見いだされた男性集団の幹部の一部はゲイだったのだ。
※ケンブリッジ・ファイヴ は英国で活動したソ連のスパイ網です

「それは一種のマッカーシズムだ」と彼は言う。
「有識者だったなら、ゲイだったなら、少しでもリベラル主義の考えを持っているなら、それは国家安全保障を脅かす存在になるんだ」
※マッカーシズムは赤狩りの事です。

皮肉なことにゲイで有識人の向う見ずなチューリングは彼自身、どんな殉教もしそうにないと思っていた。
「彼は抗議活動に自身を意図的に置くような人ではなかった。
彼は自分は他人と違う、あるいは違うと感じる誰かの偉大な模範となっていただけなんだ」とカンバーバッチは言う。

「そして、悲劇なのは彼のひとつひとつの人生の軌跡を見ると彼がなぜ区別されたのか、
なぜ彼が仕事上で孤立したのか理解できるからなんだ。
なぜ彼は男性との関係をうまくつくれなかったのかわかるだろう。
彼はこれまで愛の経験がなかったから当然の事だったんだ。
さらにこの時期に、この男は機械化された計算、つまりコンピューターの発想を考案した。
彼はエニグマコードを打ち破り、暗号文を解読し、数多の命を救った。

同時に、彼の身体をモーフィングし、細胞構造の変化が周囲の環境でどのように変化するか研究をしていた。
彼がビルゲイツのようになろうとしていたのかは誰にもわからないけど。
疑いなく、現代世界の象徴として崇敬されようとしていたんだ。」

とはいうものの、イミテーションゲームは特定の時代のドラマで、
カンバーバッチはチューリングのストーリーが不寛容の犠牲の比喩として生き続けることを切に望んでいる。

「歴史の教訓ではなく、容易く繰り返されてきたことへの警告なんだ。
人々は信条や性的思考の理由でたった今も国々で首をはねられている。
恐ろしいよね。首をはねろ!なんて中世だよ。
そいつらを信じなければいけないと僕に言う奴には武器をとって戦うか彼らに殺されるかだ。
僕は戦うよ、死ぬまで戦うんだ。
そしてみんなが年をとるにつれて何が良いか悪いかを考えなければならなくなると僕は信じている。
どちらか一方に許容なんてできない。
『だから、原理主義的信仰は間違っているんだ。』という確信を持たなければいけないんだ。」

花柄の女性のひとりがテーブルに接近してきたのは我々の会話のこのあたりだ。
「すみません、daughter’s day なので私と写真を撮っていただけますか?」と彼女が礼儀正しく聞いてきた。
だがカンバーバッチは申し入れを拒否した。
「いや、それはできないんだ。でも会えてとても嬉しいよ。あなたの名前は?」
戦いに敗れた彼女が撤退するとマネージャーが近づいてきて、再びこんな事が起こった時には仲裁すると申し出た。
カンバーバッチはこれを辞退した。
「最悪の事態はあなたの番犬があなたの延長線上になっていくことなんだ」と彼は説明する。
ペンギンズとホビットの宣伝のためのサンディエゴのコミコンで最近、
待機していた車から彼が出てきたのでボディガードが観衆をブロックしたにもかかわらず、
彼はまさにその瞬間に巻き込まれた。

「みんな、通りから無理やり引きずられて行った。
『私はただサインが欲しかっただけなのに』って泣くんだ。ひどいよ。
その後、僕はSUV車の後ろから『ごめんね』って謝ったんだけど、
ひとりの少女が涙を浮かべながら『もうどうでもいいわ。』って言うんだ。
くそっ!僕じゃないのに。
僕は元軍人の警備員をコントロールすることができなかった。
もし彼が僕にわずかな空間を与えるために一部のかわいそうな十代の女性の顔を叩かずにいたら、
彼は仕事を失ってしまうと思うんだ。」


続きます。