カンボジアのLNG発電 高コスト等の課題に懸念

　11月26日、エネルギー経済・財務分析研究所（Institute for Energy Economics and Financial Analysis: IEEFA）は、「分岐点のカンボジア　LNG発電計画の経済分析」と題する報告書を発表しました。
　カンボジアは、電力を水力、石油・石炭火力に依存してきましたが、今後のエネルギー計画では、石炭火力はこれ以上建設せず、再生可能エネルギーと液化天然ガス(LNG)の導入に焦点を当てています。輸入LNGへの期待は高いものの、世界のガス市場やインフラのリスクは、カンボジアのエネルギーシステムの価格と安定性を脅かす懸念があるとしています。
　報告書では、カンボジアの電力事情、世界のLNG市場の概況、カンボジアのLNG需要と年間輸入コスト、LNGがカンボジアの電力コストに与える影響、LNGの戦略的調達、コストとエネルギー安全保障のためのインフラ等について分析しています。
　報告書によると、最近のLNG価格は石炭の2〜3倍であるため、LNGコストの高騰はカンボジアの燃料輸入額を急速に増加させる可能性があるとしています。900MWのLNG火力発電所をベースロードで運転すると、燃料費だけで年間最大7億2100万ドルが必要となります。これは2022年の石炭輸入総額（5億5500万ドル）を上回る金額となります。
　カンボジアのLNG需要量が他国に比べると小さいことから、輸入コストは更に高まる可能性があります。このLNGコストは、カンボジアの発電コストに影響を及ぼし、政府の電気料金引き下げの取り組みを妨げる懸念があるとしています。
　カンボジアの発電の主力の一つである石炭火力を増加させられない現状では、安定したクリーンエネルギーを確保するのはかなり難しい課題となりつつあります。脱炭素化とエネルギーの安定供給のバランスを取りつつ取り組んでいく必要があるものと見られます。
（写真は、報告書より）

エネルギー経済・財務分析研究所の発表
https://ieefa.org/articles/understanding-opportunities-and-challenges-cambodias-lng-ambitions


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