カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

工場見学 ミネベア

2012年10月22日 | 経済
 在カンボジアの日本大使館、JICA、商工会、NGOが集まるENJJの主催で、プノンペン経済特区のミネベア社の工場を見学させていただきました。
 ミネベア社にとって、世界で32カ所目となるプノンペン第一工場は、長さ400メートル、幅70メートル、面積28,000平方メートルとカンボジアでは最大級の巨大工場です。2011年12月から本格生産を開始しましたが、既にすぐ隣で第二工場の建設が始まっています。この工場では、デジカメ等に使われる直径3ミリ~6ミリという超小型のマイクロアクチュエーター、DVDやコピー機に使われる小型モーター、LEDバックライト等の組み立てを行っています。部品は全てタイにあるミネベアの工場から陸送でプノンペンまで運ばれ、製品も同じルートでタイの工場へと出荷されています。プノンペン工場では、今のところ労働集約的な組み立て工程のみを行っています。これは、東南アジアで日系企業が作り上げてきた「フラグメンテーション構造(分業展開)」を端的に表すもので、現在のカンボジアにとっては最もオーソドックスで、カンボジアのメリットを最大限生かす投資形態と考えられます。カンボジアに進出された理由としては、周辺国と比較して、タイに近い、賃金が安い、政府のサポートがしっかりしている、親日的等を挙げられています。カンボジアの課題としては、インフラ、法制度、一般ワーカーの採用を挙げられています。
工場では、現在2,100名が働き、今年末までに3,500人、第二工場完成時には8,000人程度を雇用する予定です。ワーカーの平均年齢は21歳、9割が女性とのことです。カンボジア人ワーカーについては、誠実、純粋、元気であると評価されています。生産性も上がってきており、周辺諸国の8割程度となっているとのことでした。ただ、採用には、仕事の内容や海外への研修派遣についての誤解もあって、御苦労も多かったようです。離職率は、10%程度あるそうですが、理由は家族と離れたくない、田舎に帰りたい等が多いそうで、中国等と比べると「ハングリー感には欠ける」とのことです。従業員の福利厚生には力を入れられており、住居は無償提供(今後敷地内に5,000名収容規模の職員寮を建設予定)、朝昼晩3食米飯は無料食べ放題の巨大食堂、無料の通勤バス等を導入されており、従業員を大切にする日系企業の面目躍如です。更に、始業前の読み書き教室も行われ、テストに通るとインセンティブを与えるとしています。
 工場内は精密機器製造のため、全館エアコンで、一部クリーンブースも設けられています。埃を嫌うため、特殊なユニフォームを全員で着用しています。労働集約的とはいえ、精密な機械がずらりと並ぶ工場は、カンボジアでは多くなく、壮観です。
 今後は、第二工場の完成を待って規模の拡大と共に、現在輸入している部品の一部の製造等により付加価値を高めていきたいとされています。課題としては、やはりワーカーの採用、幹部職員の採用と育成を挙げられています。カンボジア側への要望としては、周辺国と比べると高い電力コスト(タイ9セント/Kwh、カンボジア19セント/Kwh)、輸送コスト等の引き下げ努力を期待したいとのことでした。
 ミネベア社の進出は、カンボジアへの日系企業進出の契機となったとも言える画期的なものであり、この投資の成功は日本企業とカンボジアのまさにWin-Win関係を示す好例です。今後の拡大と活躍、更にはカンボジア経済への貢献が大いに期待されます。
 (写真はミネベア社ご提供)


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