カンボジアでの新型コロナウイルスの国内感染による新規陽性者数は、4月12日以降ゼロの日が続いていました。しかし、11月3日にカンボジアを訪問し、その後陽性が確認されたハンガリーのシーヤールトー外務貿易大臣関係で国内感染が疑われる陽性者が11月7日以降に4名確認されました(11月3日事変と呼ばれています)。更に、11月28日市中感染事件と命名された国内感染により12月6日時点で30名の陽性者が確認されました。また、海外帰国者の陽性者が空港での検査や2回目以降の検査等で発見されています。先週の海外帰国者の新規陽性は7名です。12月6日の保健省発表によれば、累計陽性者数は346名となっています。死者は引き続きゼロとなっています。また、治癒数は306名です。なお、海外からの入国者の新規陽性者は、日本から韓国経由で帰国したカンボジア人2名、中国から帰国したカンボジア人2名、中国から入国した米国人2名、米国から台湾経由で入国した米国人1名とのことです。
11月28日に、感染経路不明のカンボジア人女性1名が陽性と確認されました。国内感染が疑われます。ここから市中感染が始まり、30名が感染する事態となり、11月28日市中感染事件と名付けられています。陽性者は、家族から、接触者に広がり、陽性者が訪問した洋品店PEDRO、中国銀行、キャセイ・ユナイテッド銀行、ハンバーガーのカールスジュニア等で陽性者が確認されています。陽性者が出たり、陽性者が訪問した施設の閉鎖が相次ぎ、イオンモール1(解除済)、カナディアタワー(解除済)、プノンペンホテル(解除済)等も一時閉鎖されました。また、市中感染防止のために対策が強化され、20人以上の集会が禁止され、スタッフだけでなく顧客もマスクの着用を義務付ける通達が出ています。また、保健省は11月29日から12月5日までに接触者合計1万772人に検査を行い、そのうち30名の陽性を確認したとしています。イオンモール1やカナディアタワーでは陽性者は確認されなかった模様です。なお、保健省は、感染源となった疑いのあるカンボジア人2名について氏名・写真を公開し、接触した可能性のある人は検査を受けるように呼び掛けています。
11月18日からカンボジアへの入国規制が大幅に変更されましたが、11月28日市中感染事件の影響もあり12月12日からは入国規制が厳しくなり、短期出張者用のいわゆるビジネストラックが停止され、入国者は全員14日間の強制隔離対象となります。手続きの詳細は、日本大使館、日本人会等のサイトをご参照ください。なお、当初の説明と違っていたり、カンボジア各省関係者で説明が異なる等の事例もあり、運用も確定していない模様です。くれぐれもご留意ください。
カンボジアでは、新規陽性者の数が落ち着いていることから、感染防止対策が次第に緩んできていて、経済活動も復旧してきていました。しかし、11月3日事変や11月28日市中感染事件が起きたことにより、一般国民レベルでも国内感染への不安が広まったこともあって、対策がかなり引き締められている模様であり、マスク、手洗い、アルコール消毒等の対策が再び強化されています。カンボジアの陽性者数は、欧米や日本に比べると圧倒的に少ないのですが、医療体制が脆弱という欠点があり、いわゆる医療崩壊の懸念が残ります。感染対策を十分に行う等、十分な注意が必要です。
(写真は、スタッフに陽性者が出て閉鎖された中国銀行。12月3日撮影)
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