カンボジア経済

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LDC卒業の影響 カンボジアは大きく アジア経済研究所

2024年09月26日 | 経済
 9月19日、アジア経済研究所は、「ラオスにおけるLDC卒業の影響」と題する報告書を公表しました。著者は、早川和伸氏と熊谷聡氏です。
 報告書では、ラオスに加え、カンボジア、バングラデシュが後発開発途上国(Least Developed Country: LDC)を卒業したときの影響をシミュレーション分析しています。結果として平均的には、カンボジアやバングラデシュに比べ、ラオスはLDC卒業の影響をほとんど受けないことが示されたとしています。
 2021年11月、ラオスがバングラデシュ、ネパールとともに後発開発途上国のステータスから卒業することが、国連総会で決議されました。これらの国は2026年にLDCのステータスから卒業することが予定されています。また、カンボジアも2029年の卒業が予定されています。卒業により、各国は輸出時にLDC向けの特恵関税制度を利用できなくなり、輸出先市場で価格競争力を失うことが懸念されています。
 今回使用されたモデルは、経済地理シミュレーションモデル(IDE-GSM)です。このモデルは、空間経済学に基づく計算可能な一般均衡(CGE)モデルの一種であり、2007年に東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の支援を受けてアジア経済研究所で開発が開始されたものです。
 分析結果は、ラオスは大きな影響を受けない一方で、バングラデシュ、カンボジアは、縫製品の輸出を中心に、GDPに下方圧力がかかるとしています。提言として、シミュレーション結果のように影響を最小化するために、FTA税率の利用を促進していくことが重要であるとしています。
 カンボジアはLDC卒業の影響を大きく受けることが懸念されており、主要輸出市場である欧米との自由貿易協定の促進や、輸出先国・輸出品目の多様化が課題となっています。カンボジア政府による地道な交渉等の努力が期待されます。

アジア経済研究所のサイト
https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Reports/AjikenPolicyBrief/197.html


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