カンボジア経済

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ダラ・サコー空港が開港 今後は未知数 米国も神経尖らす

2025年01月10日 | 経済
 12月26日、中国企業が開発してきたコッコン州のダラ・サコー空港が開港し、記念式典が行われました。式典に合わせて、プノンペンからのチャーター便が初めて到着しています。式典には、民間航空庁のマオ・ハーバナル大臣他関係者が参加しました。初フライトにこぎつけたものの、今後の航空便については楽観できない状況です。
 ダラ・サコー空港は、中国の天津優聯投資発展集団(優聯集団、ユニオン・グループ)の現地子会社コースタル・シティー・デベロップメント・グループ(浜海城市発展集団)傘下のコースタル・エアポート・インベストメント(浜海機場投資)が建設・運営を担っています。面積は218ヘクタールで、総工費は2億ドル(約316億円)と見られます。
 他方、米国は、神経をとがらせています。2020年9月には、米国財務省は、中国の優聯集団がダラ・サコー開発事業に関連し土地取得等で人権を侵害するとともに汚職にも関与したとして、制裁対象とすると発表しています。また、発表の中で、「中国は、ダラ・サコー事業を自らの野心のために利用している。中国軍の(ダラ・サコーでの)存在は、地域の安定性に重大な脅威となる。」と指摘しました。
 ダラ・サコー事業では、リゾート開発が行われる予定ですが、今回の空港の建設地は、人里から遠く離れた密林の中であり、リゾートが完成したとしても、その利用客の需要だけで投資を回収することは相当に困難と見られます。他方、万一、空港に中国軍が進出した場合、中距離ミサイル等でタイ、マレーシア、ベトナム南部等に直接的な軍事的脅威となることに加え、タイ湾上空の制空権確保も可能という戦略的要地となる可能性があります。
 収益性が低い空港の開発を、中国系の一民間企業が行い、しかもリゾートに先んじて空港の建設だけが突出して進む状況は、確かに不自然であり、米国が疑念を抱くのもやむを得ないと思われます。
 米中対立深刻化の中で、カンボジアは板挟みとなっており、綱渡り外交が続くものと見られます。「親中国」と言われるカンボジアですが、両大国の間でバランス外交に努めることが期待されます。

ブログ「カンボジア経済」2020年9月24日「米国 中国の優聯集団に制裁 カンボジアへの中国軍進出を懸念」
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/baae8444306866ae26d1beff84139018


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