カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

日本 有権者情報サーバーや焼却炉を支援 無償資金協力

2025年01月31日 | 経済
 1月23日、プノンペンにおいて、植野篤志駐カンボジア日本大使と、プラック・ソコン副首相兼外務国際協力大臣との間で、有権者情報保管サーバー関連機材(サイバーセキュリティ対策機材を含む)を供与するための7億5000万円の無償資金協力に関する書簡の署名・交換が行われました。
 カンボジアでは、有権者情報を保管する機材が老朽化しており、公正な選挙実施に向けた課題の一つとなっています。また、サイバー攻撃の規模や影響は年々拡大しており、重要情報防護を目的としたサイバーセキュリティ対策の強化が急務になっています。今回の事業は、カンボジア政府に対し、日本企業製品の有権者情報保管サーバー関連機材(サイバーセキュリティ対策機材を含む)を供与することにより、民主主義の根幹をなす選挙事務運営の正確な実施に貢献するとともにサイバーセキュリティ能力の向上を図るものです。
 また、1月22日には、小型医療廃棄物焼却炉の引き渡し式も実施されました。この事業は、無償資金協力で2022年に4億3600万円を供与したものです。カンボジアの病院では、医療廃棄物管理が徹底されていなかったり、焼却炉や廃棄物用滅菌装置が老朽化等により完全な状態で稼働していなかったりしています。この対策として、29か所の公的医療施設において、感染性廃棄物処理設備(焼却炉等)の整備を行ってきたものです。
 日本は、様々な事業で、カンボジアを支援しています。日本からの支援を活用しつつ、カンボジアが地道な努力を継続していくことが期待されます。

外務省の発表
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_01663.html


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IMF IV条協議報告書2024  経済回復も不動産の不況長引く

2025年01月30日 | 経済
 国際通貨基金(IMF)は、IMF協定第IV条に基づき、毎年加盟国政府と政策協議を行うこととなっています。2024年9月17日から30日に行ったカンボジアとの協議結果詳細について、1月27日にIMFから発表がありました。
 カンボジア経済は、緩やかに回復しているとしています。GDP成長率は、2022年5.1%、2023年5.0%から、2024年5.5%、2025年は5.8%に達すると予測しています。ただ、回復はまだら模様であると指摘しています。成長は、衣料品輸出の回復と農産物輸出の高成長に牽引されています。観光は回復傾向にはあるものの、シェムリアップ等の主要観光地は伸び悩んでおり、観光収入の回復が遅れています。建設・不動産セクターは不況が長引き、不良債権の増加をもたらしていると指摘しています。
 物価上昇率は、変動はあるものの落ち着きを示しており、2022年5.3%から、2023年2.1%、2024年0.4%、2025年2.1%となると見ています。財政については、新型コロナ対策の現金支援等によって、財政赤字が拡大しましたが、2021年の赤字(対GDP比)は5.2%にとどまり、2022年0.3%、2023年2.8%、2024年3.0%、2025年2.4%と落ち着いてくると見ています。
 国際収支は、経常収支の赤字(対GDP比)が2021年29.6%まで拡大したものの、2022年19.0%の後、2023年は1.3%の黒字となりました。2024年は1.8%の赤字となりますが、2025年も2.5%と問題ないレベルとなると予測しています。2024年末の外貨準備は207.53億ドルと輸入の6.6カ月分、2025年末も230.64億ドル(同6.9か月分)という十分なレベルになると予測しています。2024年の公的債務返済比率は1.3%であり、対外債務の状況について「低リスク(青信号)」に分類しています。
 IMFの理事会では、このレポートに基づき、衣料品及び農産物の輸出及び観光改善に牽引されたカンボジア経済の継続的な回復を評価しました。しかし、カンボジアが後発開発途上国から卒業することへの対策の必要性を指摘しました。また、建設・不動産セクターの不況と不良債権の増加に対する留意と、不動産セクターの監督の強化を提言しました。
 また、中期的な課題として、経済の多様化を促進し、競争力を向上させるための構造改革の重要性を強調しました。具体的には、人的資本の強化、インフラへの投資、ビジネス環境の改善、気候変動への対策、再生可能エネルギーの促進等の必要性を指摘しています。
 非常に詳細な英文のレポートですが、統計数字等については最も信頼が置けます。下記のIMFのサイトをご覧ください。
(写真は、不動産開発が目立つプノンペン南部)

IMFの発表(英文です)
https://www.imf.org/en/News/Articles/2025/01/27/pr-25017-cambodia-imf-executive-board-concludes-2024-article-iv-consultation-with-cambodia?cid=em-COM-123-49636


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外務省海外在留邦人数調査統計2024年10月現在 カンボジアは減少続く

2025年01月29日 | 経済
 1月20日、外務省は、「海外在留邦人数調査統計2024年10月現在」の結果を発表しました。この統計は、在外公館が2024年10月1日現在で、それぞれの管轄区域内に在留する邦人数を推計したものです。2024年10月1日現在の推計で、我が国の領土外に在留する邦人の総数は129万3097人で、前年(129万3565人)とほぼ同数となりました。
 国(地域)別では、「米国」に海外在留邦人全体の32.0%(41万3380人)、「オーストラリア」に8.1%(10万4141人)、「中国」に7.5%(9万7538人)がそれぞれ在留していて、これら3か国で全体の約48%を占めています。4位以降は、「カナダ」(6.0%,7万7294人)、「タイ」(5.4%,7万421人)、「英国」(5.0%,6万4066人)、「ブラジル」(3.6%,4万6577人)、「ドイツ」(3.4%,4万3513人)、「韓国」(3.3%,4万3064人)、「フランス」(2.9%,3万7056人)の順となっていて、これら10か国で全体の約77%を占めています。
 2024年のカンボジアの在留邦人は、31位3012人となりました。前年は、30位3215人でしたので、6.3%の減少となりました。これまでの推移を見てみると、2012年1479 人(前年比23.2%増)、2013年1793人(21.2%増)、2014年2270人(26.6%増)、2015年2492人(9.8%増)、2016年3049人(22.4%増)、2017年3518人(15.4%増)、2018年3934人(11.8%増)、2019年4216人(7.2%増)、2020年5057人(19.9%増)と毎年大幅増加が続いてきていました。しかし、2021年27位4502人、2022年29位3363人、2023年30位3215人と減少に転じています。それでも2009年には889人しかいませんでしたので、2024年までの15年間で3倍以上になっています。
(写真は、2024年10月の日本人会盆踊り大会)

外務省のサイト
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/index.html


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AMRO 地域経済見通し2025年1月 貿易摩擦の激化を懸念

2025年01月28日 | 経済
 1月21日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office:AMRO)は、ASEAN+3地域経済見通し四半期改訂版」(Quarterly Update of the ASEAN+3 Regional Economic Outlook)を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN+3(ASEAN10か国と日本、中国、韓国)による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。
 AMROは、今回の見通しで2024年~2025年の加盟13カ国のGDP成長率見込みについては、前回(10月)予測をほぼ維持しました。ASEAN+3では、2024年4.2%(前回10月予測4.2%)、2025年4.2%(同4.4%)、ASEAN10か国では、2024年5.0%(同4.7%)、2025年4.8%(同4.9%)と見ています。カンボジアについてもほぼ同じで、2024年5.7%(同5.6%)、2025年5.8%(同5.9%)としています。ASEAN主要国については、2025年は引き続き堅調であるとして、ベトナム6.5%、フィリピン6.3%、インドネシア5.1%、マレーシア4.7%、タイ3.1%、シンガポール2.7%等と予測しています。
 2025年の物価上昇率予測は、ASEAN8カ国(ミャンマーとラオスを除く)については2.2%(前回2.4%)へ引き下げました。カンボジアについては1.5%(同2.3%)に引き下げています。
 AMROでは、2025年については、成長は主に内需が牽引し、堅調な外需が引き続き支えとなるとしています。主なリスクとしては、米国新政権の保護主義政策、米国と欧州の急激な成長減速、中国の経済成長の鈍化、金融引締めによる金利上昇、世界的な一次産品価格と輸送費の急騰等をあげています。
 AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際の国際通貨基金(IMF)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。2016年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施しています。
(写真は、プノンペンのロシアンマーケット)

AMROの新聞発表(英文です)
https://amro-asia.org/asean3-economies-to-sustain-growth-at-4.2-in-2025-despite-rising-headwinds-from-escalating-trade-tensions


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カンボジアの車両新規登録台数41万台 2024年

2025年01月27日 | 経済
 公共事業運輸省によりますと、2024年に登録された車両数は41万3067台でした。内訳は、二輪車が35万3603台、乗用車が5万4692台、大型車が5841台でした。2023年比では、二輪車と乗用車の登録台数は増加したが、大型車は14%減少したとしています。
 カンボジアでは、国内で複数の自動車組立工場が稼働し始めているため、2024年はカンボジアの自動車輸入台数が縮小したと見られています。カンボジアでは、フォード、トヨタ等の自動車の組立工場が既に4工場稼働しており、更に2か所が計画中とのことです。
 また、2024年の電気自動車新規登録台数は、2253台でした。2023年は313台でしたので大幅に増加しました。カンボジア政府は、2024年7月に電気自動車開発国家政策2024年~2030年(National Policy on Electric Vehicle (EV) Development 2024-2030)を発表しています。2030年までに電気自動車の登録台数を77万台以上に増やすことを目指すとしています。目標の77万台の主力は電動バイク72万台で、この他、乗用車2万5000台、大型車5000台、トゥクトゥク2万台等となっています。
 2024年6月末現在で、カンボジアで登録されている電気自動車は、乗用車1614台、トゥクトゥク440台、二輪車914台の合計2968台となっています。メーカー別では、中国の比亜迪(BYD)が658台、米国のテスラが186台等です。電気自動車用の充電施設数は18カ所が稼働しているとしています。
(写真は、プノンペンのノロドム通り。走っている車の大半は中古車と見られます。)


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メルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」今週号は本日発行です

2025年01月27日 | 一般
 ブログ「カンボジア経済」は、毎日更新して、カンボジア経済情報をデイリーにお伝えしています。これらの情報をまとめて週刊でメルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」を発行しています。毎週月曜日に発行しています。「無料」です。
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プノンペンで家系ラーメン 町田商店 2号店

2025年01月26日 | 生活環境
 プノンペン北部ボエンコックのカランダールモールに開店した家系ラーメンの「町田商店2号店」です。町田商店は、日本でも50軒以上を展開するチェーン店です。いわゆる横浜家系ラーメンのお店です。お店は、日本のラーメン屋さんの感じが出ています。メニューは、ラーメン、餃子等です。今回は、ネギ味噌ラーメンをお願いしました。クリーミーなスープと海苔で家系らしいラーメンです。お値段は、プノンペンとしては中堅です。お試しください。

町田商店
https://web.facebook.com/share/p/1BAA7Qri2J/

家系らしいラーメンです



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マルシェを開催 Le Point

2025年01月25日 | 生活環境
 1月18日、プノンペン中心部208通りのカフェ・ビストロ「Le Point」で、マルシェが開催されました。マルシェには様々なお店が出店し、お花とビール、生胡椒&新鮮野菜、フェイスマスク、ドライフルーツ、手作りお菓子、ビーガンスイーツ、古着、アクセサリー等が販売されていました。また、午前中には、書初め大会も行われたそうです。全体的にゆったり・ほのぼのした感じでした。お客さんは、日本の方が多かったようです。今後、毎月第3土曜日にマルシェは開催されるとのことです。お勧めです。ぜひお出で下さい。

Le Point
https://web.facebook.com/lepointcafe/

手作りお菓子のPOPOKさん



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カンボジアからの輸出 大幅増加 2024年

2025年01月24日 | 経済
 カンボジア経済財政省の関税消費税総局の発表によりますと、2024年(1月~12月)のカンボジアからの輸出は、対前年比15.7%増の261億9860万ドル(約4兆610億円)でした。輸入は、18.0%増の285億4535万ドル(約4兆4250億円)でした。
 輸出先を国別にみると、1位は米国で対前年比11.4%増の99億1618万ドル(約1兆5370億円)で、全体の37.9%を占めています。2位はベトナムで21.6%増の36億1555万ドル(シェア13.8%)、3位中国18.4%増17億5012万ドル(シェア6.7%)、4位日本19.8%増14億870万ドル(シェア5.4%)、5位カナダ27.6%増11億990万ドル(シェア4.2%)となっています。輸入は、第1位は中国で対前年比24.6%増の134億3925万ドル(シェア47.1%)、2位ベトナム15.4%増41億6969万ドル(シェア14.6%)、3位タイ18.9%増34億4332万ドル(シェア12.1%)、4位インドネシア1.4%増10億867万ドル(シェア3.5%)、5位シンガポール7.8%減7億9893万ドル(シェア2.8%)となっています。
 品目別輸出では、縫製品が第1位で対前年比24.4%増の97億9209万ドル(シェア37.4%)、2位旅行用品20.4%増20億5544万ドル(シェア7.8%)、3位穀物11.0%増19億4089万ドル(シェア7.4%)、4位電気部品39.9%減18億8029万ドル(シェア7.2%)、5位履物23.1%増16億8076万ドル(シェア6.4%)等となっています。品目別輸入は、1位石油製品13.6%増38億4786万ドル(シェア13.5%)、2位縫製原料18.6%増30億8109万ドル(シェア10.8%)、3位電気機器23.7%増19億5075万ドル(シェア6.8%)、4位機械32.6%増17億3279万ドル(シェア6.1%)、5位車輛28.3%増17億1732万ドル(シェア6.0%)等です。
 品目別輸出で、従来の主力輸出品である縫製品・履物・旅行用品が大きく増加したことが注目されます。他方、日系企業等が製造・輸出している電気部品は大幅減少となっています。また、品目別輸入では、石油製品の輸入金額が増加していること、縫製品の輸出が好調のため縫製原料の輸入が増加していること等が注目されます。
 カンボジアの輸出産業は、新型コロナの影響から予想よりも早く回復してきました。しかし、2023年は主要輸出先の米国・欧州の景気減速等の影響で、逆風を受けました。2024年は縫製品等の従来の主力品目の輸出が大きく回復したことが目立ちますが、輸出品目の多様化と輸出競争力の強化が引き続き重要な課題であると見られます。
(写真は、日本が支援して整備が進められてきたシアヌークビル港)

関税消費税総局の統計のサイト(英文です)
https://stats.customs.gov.kh/en


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カンボジアのトゥクトゥクに投資 MUSUBI

2025年01月23日 | 経済
 1月17日、シンガポールを拠点にライドシェア事業や暗号資産関連サービス事業を展開するMVLグループの日本法人JMVLは、車両リース事業をブロックチェーン上で管理する新プラットフォーム「MUSUBI」の提供を開始したと発表しました。
 MUSUBIの特徴は、日本の投資家が、非代替性トークンを活用してカンボジアの電動トゥクトゥクのオーナーとなることです。トゥクトゥクは、カンボジアの運用会社ONiONを通じて、ライドシェアサービス「TADA」のドライバーに貸し出されます。電動トゥクトゥクの価格は4700ドルであり、カンボジアのドライバーにとっては年収分以上に相当する金額となりますが、MUSUBIによるリース方式により、初期費用なしでの利用が可能となります。他方、日本の投資家もリース料金による収益が見込めるとしています。
 2024年11月から開始した電動トゥクトゥク18台分の販売は、2024年中に完売したとしています。JMVLは引き続き、日本国内の法人を対象として同種のリース投資商品を販売するとのことです。
 新たな技術によって、日本の投資家とカンボジアのトゥクトゥクを結びつけるアイデアは、投資家の興味を惹くものだと見られます。一般の日本の投資家にとって、カンボジアは「遠い」国であり、フィンテックによってその距離を一気に縮める事業は、大きな意義があるものと見られます。
(写真は、JVMLの発表より)

JVMLの発表
https://jp.mvlchain.io/MVLNotice_jp/?bmode=view&idx=142801907&back_url=&t=board&page=


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