カンボジア経済

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世界銀行 東アジア・大洋州地域 半期経済報告2020年秋 新型コロナの影響拡大

2020年10月02日 | 経済
 9月28日に世界銀行は、東アジア・大洋州地域半期経済報告(2020年10月)を発表しました。この報告書は、年2回春と秋に発行されています。
 カンボジアの2020年のGDP成長率については、昨年時点の予測(6.8%)から、4月には、基本シナリオで2.5%、低成長シナリオでは1.0%に引き下げていました。今回の予測では新型コロナの影響が深刻化するとして、マイナス2.0%に大幅に引き下げました。今後についても影響は続くとして、2021年の成長率は4.3%(前回5.9%)、2022年は5.2%(前回6.3%)としています。
 カンボジア経済の主要エンジンである建設、観光、輸出が大きな影響を受けています。建設用鋼材の輸入は、2020年上半期は45.1%減となっています。海外からの観光客がほぼゼロとなっている観光業は、崩壊の危機にあるとしています。主力輸出品の縫製品・旅行用品・靴の輸出は、2020年上半期は7.2%減となっています。これに伴い、縫製原材料の輸入は85.4%減少しました。また、6月の調査によると家計への打撃も大きく、失業した世帯は12%、収入が減少した世帯は82%に及び、支出を減らしたと回答した世帯は6割に達したとのことです。
 カンボジア政府の対策は、保健関係支出、所得支援、貸付支援、税免除等で、合計で対GDP比5%に達する最大規模のものとなっています。
 物価上昇率は、2020年3.0%(前回2.3%)、2021年2.5%(前回2.0%)、2022年2.5%(前回2.1%)と安定的と見ています。経常収支の赤字(対GDP比)は、自動車やオートバイの輸入が大幅減少するものの、輸出が落ち込むこともあり、2020年は12.8%に拡大すると見ています。しかし、外貨準備は2020年末時点で約190億ドル(輸入の7カ月分以上)と、非常に潤沢で安定的な水準を維持するとしています。
 リスクとしては、人材開発の遅れ、国内での感染拡大、観光客受け入れ停止の長期化、米中対立の激化等を挙げています。また、課題としては、新型コロナ後の有効な経済回復の準備を整えることが必要であるとし、具体的には、投資の誘致、雇用拡大、国内需要の振興等を提言しています。最後に、これまでブームだった建設・不動産セクターの監視が重要であると指摘しています。
(写真は、ビルの建設が進むプノンペン市内)

世界銀行の新聞発表(和文)  
https://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2020/09/28/east-asia-and-pacific-pandemic-triple-shock-hitting-economies-across-region


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