英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

刑事7人 第4シリーズ  第6話「白骨死体にスキャンダル!? 胃の中からのメッセージ!!」

2018-08-18 22:05:39 | ドラマ・映画
高橋かおりの迫真の演技
世の中の理不尽さがテーマ


……社会派ドラマ風に仕上げていたが、全然ダメだったような気がする



天樹(東山紀之)
「長谷川さんは記者として、前橋大臣の裏金疑惑を追っていました。そんな中、あなたのような人と出会った。
 私腹を肥やし、のうのうと生きている人間がいる一方で、個人情報を不正に利用され、そんなことも気づかず、生活に困窮し苦しんでいる人たちがいる。
 長谷川さんは取材を通してこの事実を世の中に訴えたかったんだと思います。だから、どんなに脅迫を受けても取材を続け、命懸けで取材してきたことを守ろうとしたんです。記事を世の中に出すことで、あなたのような境遇の人たちを、ひとりでも多く救いたいと思っていたんです」


洋子(高橋かおり)
「月にたった5万5千円……父の年金だけを頼りに暮らしてきました。
 ……本当にギリギリだったんです。
 3年前、父が事故に遭って、それからはこの家に戻って介護の日々でした。

(当時の父の介護と、夫の暴虐無人ぶりの回想) 

 夫から一方的に別れを切り出されました。
 払うと言ってくれた養育費は、最初の2カ月払われただけで、あとは連絡がつかなくなって……
 あの子と父の介護で、毎日もう手一杯で。
 青野子を保育園に預けようにも、“空きがない”って言われて…
 だから父の年金だけが頼りでした。月にたった5万5千円……それが私たち家族の支えでした。
 ……そんなある朝……
(亡くなった父を発見したシーン)

天樹
「しかし、あなたはお父さんの死亡届を出さなかった」
洋子
「もちろん、すぐに出そうと思いました。でも、今、父の年金を失ったら、とても暮らしていけない!…」
天樹
「だから、遺体を山中に埋めて、生きていると装った」
頷く洋子
(長谷川が洋子の年金不正受給に気づき、それを正すべきと諭す。
 長谷川が暴力団に暴行を受け、それに乗じて洋子が刺し殺すシーンの回想)


洋子
「何がダメなんでしょうか?
 父の介護も、あの子の世話も、私は必死に頑張ってきました。
 なのにおかしいじゃないですか!
 世の中には何億円を海外に隠して捕まらない人がいる。
 月にたった5万5千円ですっ!
 でも私たちには、その5万5千円がすべてなんです。
 なのに何で……なんで私だけが責められなくちゃならないんですかぁっ!
 ただ生きてく為なんですっ!
 私たちにも生きる権利はあるでしょっ!
 5万5千円ぐらい、もらい続けたっていいじゃないですかっ!」

……嗚咽


 貧窮に困り果てていた洋子の気持ちも分からないではないが、“生きるためなら何をしても構わない”というどこかの国の国民性を思い出させる自分勝手な理屈だった。
 洋子の言う“たった5万5千円”で、父親を弔うことなく(一応、ほおずきを添えていたようだが)死体遺棄。
 さらに、年金の不正受給を正し、その後のフォローまでしようとしていた記者を殺害。しかも、暴行を受け、苦しんでいるところにとどめを刺す非道さ(凶器の包丁を用意した計画殺人)……
 

 受給対象者が死亡しても長い間発覚しない状況も問題ありだが、「負担になっていた介護がなくなった」「生活保護を受ける」「子どもを施設に預ける」など、貧窮どん底状態から抜け出す要素はあったような気がする。(現実に社会保障制度が十分に機能しているかは詳しく知りませんが)
 とにかく、父を捨てて社会(世間)を騙し続ける生活よりは、マシなのではないだろうか?

 そして何より問題なのが……
 洋子は“生きる権利”を主張していたが、暴力にも屈さず、強い信念で社会の理不尽さを是正しようと頑張っていた記者の命を奪っていること!



 上記のふたりの会話の序盤で、天樹が「どんなに脅迫を受けても取材を続け、命懸けで取材してきたことを守ろうとしたんです。記事を世の中に出すことで、あなたのような境遇の人たちを、ひとりでも多く救いたいと思っていたんです」と言及していたが、“世の中の理不尽さと不正受給”の問題に主眼が移ってしまっていた。
 結局、洋子の叫びで終わってしまい、天樹が洋子の罪(死体遺棄、殺人)を追及しなかった。

 ラストは“事件解決の祝杯”だった。


 田辺誠一はどこに行った……

第1話第2話第3話第4話第5話

【ストーリー】番組サイトより
 出版社の社会部記者・長谷川克彦(吉見幸洋)が路上で腹部を刺されて死亡。遺体の内ポケットから、2年前に発見された白骨遺体の現場写真が見つかった。このことから片桐正敏(吉田鋼太郎)は天樹悠(東山紀之)、野々村拓海(白洲迅)、水田環(倉科カナ)、青山新(塚本高史)の4人を集めて「本件は専従捜査班が受け持つことになった」と告げる。
 堂本俊太郎(北大路欣也)によると、長谷川は複数人から暴行を受けた後に刺されて死亡。胃の中からはSDカードが見つかり、中身は複数の企業名が羅列されている資料だと確認。天樹と野々村が調べたところ、2年前にパラノ共和国の法律事務所から流出した内部文書の中身と一致する。これらの企業の目的は、税率が軽減された国でペーパーカンパニーを作ることで納税を免れること。長谷川はこの『パラノ文書』についてのスキャンダルを追っていたと思われるが、なぜ2年も経った今なのか…。
 一方、環と青山は長谷川の元交際相手から、長谷川宛に大量の脅迫文が届いていたことを聞く。さらに2年ほど前から定期的に国交省の前橋晃大臣(金山一彦)の裏金疑惑を記事にしていたと知り、大臣に接触。亡くなる前日にも大臣との通話記録が残っていたことを突きつけるが、大臣は「覚えていない」の一点ばりだ。
 そんな中、天樹は『パラノ文書』の中に富裕層が作ったものとは違う、一般市民が代表者になっている3件の会社の存在に気付く。代表になっていた3名は全員、個人情報を利用されて知らない間に会社を作られていた。長谷川はこの3人にも連絡を取っており、天樹らは一人ひとりを訪問。その中の一人は現在寝たきりになっており、娘でシングルマザーの濱野洋子(高橋かおり)が登記に携わった弁護士を見つけて父親の名義を削除してもらおうとしたが、手続きに50万円かかると言われて断念したという。

 一体誰が何の目的で3人の個人情報を利用したのか?2年前に見つかった白骨遺体と2年前の内部文書流出、そして2年前から始まった前橋大臣の裏金疑惑──。ここから見える真実とは一体!?
  
脚本:徳永友一
監督:及川拓郎
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