英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

東京サラダボウル

2025-03-05 15:44:30 | ドラマ・映画
いつも眠たそうな顔
表情を殺してしまったか、表情が自ら死んでしまったか、表情をどこかに落としてしまったかのような仏頂面……

有木野了(松田龍平)
 警視庁・通訳センターの中国語通訳人


 元刑事。過去の事件で刑事をやめ通訳になった。その事件で、同僚の刑事からは憎悪を向けられている。
 有木野の同期の織田刑事(中村蒼)が、その事件で自死に至っているらしい。

 有木野は感情を出さず、淡々と通訳を行う。“通訳”は、自分の感情を入れずに、語られた言葉を正確に伝えるのが本分であるが、有木野の生活は、その通訳の延長線上にあるとしか思えなかった。……過去の事件によるものなのか?
 そんな有木野だったが、鴻田と知り合い、微妙な変化が……


鴻田麻里
東新宿署国際捜査係の警察官

「少なくとも俺が知る限り、あなたは最高の警察官だ」(有木野の言)
 緑の髪……目に飛び込んでくる明るく鮮やかなグリーン。思えない髪にラフな服装の若くて小柄な女性。刑事とは思えない。
 人懐こくて、誰とでも打ち解ける。困っている人には、親身になり手を差し出す。
 ただ、単に相手に共感するのではなく、相手の状況、そしてその背後にある闇(原因)を見極めようとする。
 相手からわずかに滲み出る感情を感じることができる。いや、“できる”というようなものではなく、相手に心を馳せる気持ちがとてつもなく強い。

  ………有木野に“最高の警察官だ”と言わしめた所以であろう。

【鴻田の心の根底にあるモノ】
「人は、たとえ目の前からいなくなってしまったとしても、残されたすべての人の中で、カケラとして残っていると思うんだ」



 以前、書いたが、今クールドラマではズバ抜けて面白かった。
 1話ごとのレビューも書きたかったが、テレビ視聴状況の困難さで断念。(単に、観るアニメが多かったのと、雪かきで消耗しただけ)

 ドラマは45分弱、内容が濃いので程よい長さ。
 各話で、外国人が巻き込まれる事件究明(解決)も深く、とても面白かった。
 ドラマの連載が進むにつれ、過去の事件が徐々に明らかになっていく。
 第8話で事件の核の部分がほぼ明らかになったが、その事件の収束部分が明かされない。
 最終話(第9話)を前に、“ボランティア”(黒幕)との決着と、過去の事件の真相とが、45分で収まるのか?少し不安だった。(民放だったら「続きは第2部で」とか「映画へ」とかありそう)
 
阿川誤訳事件
 織田とコンビを組んでいたのが阿川(三上博史)。中国語が堪能な阿川は、通訳を兼ねて取り調べていた。
 阿川には、《意図的に誤訳をしているのでは?》という疑いがあり、織田は監察から《取り調べの映像を録画する》よう要請された。
 で、その取り調べ映像の阿川の翻訳(通訳)の妥当性を検証したのが有木野だった。

 織田は、監察にすべてを任せるのに抵抗を感じ、マスコミにリークした。その後、自 殺。
 所轄の刑事の間では、監察に協力したのもマスコミにリークしたのも有木野で、織田は取り調べを録画するのを有木野に強要されただけ。(織田はそのことに責任を感じて自 殺)

 で、そういう風に周囲に思われてしまったのはなぜか?
 刑事をやめたから、《やはりそうだったんだ》と思われたのかもしれない。
 では、なぜ刑事をやめたのか? なぜ通訳になってまで警察に残るのか?

【最終話で】
「怒りしかない……阿川に対して、警察に対して、織田を信じることができずに見捨てた自分に対して」(有木野)
そして「警察に未練はなかったが、阿川を監視したかった」と

 
阿川博也(三上博史)
 織田の死の元凶となった人物。当時、織田と組んでいた。
 取り調べの際、意図的に誤訳していたという疑惑があった。 

東京(日本)界隈の闇
・アジア系外国人(労働者、旅行者)はどうなっても(悲惨な目に遭っても)かまわない
・世間が彼らに注目しない。心配しない
・不遇な目に遭う彼らが、悪に堕ちる
・または、使い捨てのように利用される

 かつては、阿川もそういう彼らの声を聴こうとしていた。
 しかし、“ボランティア”に近づきすぎて、取り込まれてしまった(中国マフィアに関する情報(餌)に食い付いてしまった)
 取り調べで、供述を巧みに誤訳して放免する代わりに、“ボランティア”(人身売買組織)に引き渡した。
 ボランティアに引き渡された彼らは、悲惨な目に遭い、命を落とす者も多かったらしい。

 東新宿署に刑事復帰したのを、“人生をやり直す機会を得た”と言っていたが、“ボランティア”と刺し違える考えだったようだ。
 闇から、阿川自らを囮にして警察の目の届く世界におびき寄せ、逮捕するのが狙い。
 “ボランティア”に喉を斬りつけられ、致命傷に近い重傷を負ったが、鴻田の応急処置により一命を取り留める。
 阿川は死ぬつもりだったが、鴻田に言わせれば、「そんなことでは、罪を償うのには全然足りない」

 阿川に関しては、6話のラストで初登場。
 唐突感が強かったな。
 鴻田は阿川を信じたかったようだが、信じようと思わせるに足りるシーン(描写)が少なかった。
  

シウ(絃瀬聡一)
 人身売買ビジネスを手がける組織の一味。通称“ボランティア”


「僕みたいな奴、あんたたち、ずっと無視して生きてきたでしょう。
 ……社会に追いやられてこぼれ落ちた“可哀そうな人間”を。
 たあくさんいるんだ、僕以外にもたくさん、この町で生きている。
 あんた(有木野)なら分かるよな。全員探し出そうなんて、無理だよ」

 先に述べた《東京(日本)の風土(風潮)が悪い》と言う。

 対して有木野
「無理だとしても……どこに何人いようが、探し続けるだけだ。俺たちはそう決めた」


【ちょっとした疑問】
警察の体質――本当にそうなのか?
・監察官に協力すると、裏切り者と見なされ嫌われるものなのか?
・観察に協力しなかったら、悪事を働く者を放置することになる。それでよいのか?
・監察に協力しなかったら、その署員はどうなるのか?


………“アリキーノ”という愛称は絶妙なセンスだな
コメント
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