落合刑事(池上季実子)が死亡し、藤倉刑事部長が大人しくなり、障害物がなくなったため、ストレスが減った。
しかし、下準備万端な料理番組を見ているようだった。
それにしても、突っ込みどころが多すぎる……(昨年の正月SPも酷かった)
★万能すぎる科学捜査
24年前のお守りの紐に付いていた体液からDNA鑑定、Nシステム、音声分析・音声視覚化などハイパーな技術で、何でも分析、検証、追跡、追及できてしまいそうだ。科捜研放映開始当時と比べると、相当オートマチックになってきており、職人的技術は必要なくなってきて、やや寂しい。
とにかく、ワンタッチで作業が進み(ワンタッチで出来てしまうように見える)、科捜研メンバーが疑問に思ったことや分析事象について、料理番組のように手際よく捌いていく……でも、
あまりにも手際が良すぎるシーンが散見した。
【例1】
・所長(斉藤暁)が現場のタイヤ痕からバイクの車種を絞りバイクの写真を提示。
・現場付近の防犯カメラをチェックしていた亜美(山本ひかる)が、思い出したように1台のバイクの映像を提示。そのバイクの男のジャンバーの腹部が膨らんでおり、そこに赤ちゃんを入れているのではないかと推測。
・このバイクとライダーの仮想3Dは既に新人・呂太に依頼してあり、呂太は「赤ちゃんありバージョン」と「赤ちゃんなしバージョン」を作成してあった。
下準備が良過ぎ。これだと所長の作業は要らないように思う。
【例2】
ナンバープレートのぼやけた映像と、4ケタの数字を作為的にぼやけさせた映像を比べてナンバーを比較して、割り出した科捜研。
捜査会議で、科捜研所長が(その説明をしたと思われる)、
「その結果、身代金を奪ったバイクのナンバーと身代金を受け取ったバイクのナンバーが分かりました」
その言葉を受けてマリコが、
「れん君を誘拐し、岩内刑事と衝突したのはこのBのバイクです」と説明。
この報告を受けて、刑事部長(金田明夫)が
「では、さっそく所有者を当たれ」と言うのかと思ったら、
「では、まず、Bのバイクの所有者については?」と問い、捜査員が立ち上がり
「それは大阪府東大阪市の奥沢真紀、49歳のモノでした。ただし彼女は2か月前に病死しております。息子に聴取した結果……」
Aのバイクについても、いろいろ捜査報告が……
………手際良過ぎ!
でも、この会議の流れ、おかしくない?
逆に
不思議な推察
岩内刑事(六平直政)の死体の太もも部分に残されたタイヤ痕。
太もも部分に撥ねられた(轢かれた)痕が残っているなら、通常、「路上に寝転がっているのを轢いた」とまず考えると思う。そうでないと、バイクが曲芸のように横っ飛びになって撥ねたことになる。でも、一切、その議論はなし。
実際は、飛び出してきた岩内を避けようとした犯人が、バランスを崩し転倒。横倒しのバイクだけが立膝状態の岩内に突進、衝突。
ここで、宇佐見(風間トオル)が「でも、それで腿にデコルマン(タイヤ痕)が残ります?」とナイス問い掛け。
横倒しのバイクのタイヤの高さと、腿の位置が合わないという私の疑問だったが、宇佐美の疑問は空転しているタイヤでデコルマンが残るか?という疑問だった。
で私の疑問は、岩内が立膝だったということで解決。立膝だったのかぁ!
★疑問いろいろ
1.あんたもだぁ!(土門刑事)
逃走する犯人を呆然と見送る岩内刑事に対し、
「何やってんだ、お前(岩内)行けぇっ!」と怒鳴ったが、
岩内が取り逃がした犯人に気を取られ、確保しかけていた共犯の男から手を放し逃がしてしまい、“虻蜂取らず”状態。
2.今回の誘拐事件について、間山悟(羽場裕一)の不審振りが顕著過ぎ
誘拐直後の聴取の際は、他人事のような受け答えで、如何にも誘拐に関与しているようなフェイク
3.乳飲み子だよ!
腹部に隠してバイクで逃亡、倉庫に相当長時間、放置。……ひどくない?
4.非道な奥沢真紀(犯人の母親)
間山夫妻が誘拐した石井和夫(鶴見辰吾)陽子夫妻の赤ちゃんを死なせた息子の代わりとして育てた。
間山夫妻を悲しみの上に自分だけ幸せになろうとし、その子供の一生も変えてしまった。
それに、亡くなってしまった本当の息子もいないもののように扱われ、かわいそう過ぎる。なぜ、死んだのかもわからないって…
5.“目ざとさ”だけはある岩内刑事
24年前の事件では重大なミスを犯し、今回も足を引っ張り、肝心なところで転倒し、バイクに惹かれ、犯人・小沢純一を殺人犯にしてしまった。
ただ、純一をちらっと見ただけで、さらにフルフェイスのヘルメットをしているというのに、その正体を見極めてしまうとは……
★新人・呂太くん登場
前話で物理担当の相馬涼(長田成哉)が新た目標に向かって旅立ち、卒業。初登場から5年も経っていたとは驚き……。代わりにマイペースの“呂太くん”が加入。相馬君も登場当初は、空気読まず、マリコに対してもズケズケ発言で掻き回したが、その後釜と言うことで呂太も尋常でないマイペース振り。タメ口連発も相馬の役割を継承。
それでも、掻き回し度は相馬君が上なので、映像データ担当の涌田亜美(山本ひかる)が呂太くんの天然振りに、教育係兼突っ込み役で奮闘しフォローしていた。
ただ、映像処理や音声分析などかなりの有能で万能ぶりを発揮していて、相馬君の立場がない……ままあ、呂太くんは死体が苦手でさらに食いしん坊。
監察医・風丘(若村麻由美)は
「個々の物理担当は、変人しか入れないシステムなんだ。なぜ?」
と驚愕していた。が、マリコは
「先生、そんなどうでもいい事より」
と、風丘を一蹴(笑)。
【ストーリー】番組サイトより
バイク便会社の社長・間山悟(羽場裕一)が公衆トイレに入った一瞬の隙に、ベビーカーに乗せておいた1歳の息子が何者かにさらわれる事件が発生した。現場からバイクの痕跡が発見され、榊マリコ(沢口靖子)たち科捜研のメンバーは犯人らしきバイクの男の行方を追うことに…!
まもなく誘拐犯は滋賀方面に逃走したとわかり、土門刑事(内藤剛志)らは滋賀県警刑事・岩内剛(六平直政)らと合同捜査を開始する。直後、科捜研の新人研究員・橋口呂太(渡部秀)が、国道で犯人のタイヤ痕を発見。その近くから、犯人が落としたと思われる緑色の粘着テープも見つかった。テープからは誘拐された赤ちゃんと間山の指紋が検出され、彼と妻・圭子(森尾由美)のやりとりに不自然なものを感じていた土門らは、父親である間山の犯行を疑いはじめる。
ほどなくして、間山の会社に犯人から3000万円の身代金を要求する電話が入った。科捜研が通話を分析した結果、犯人は琵琶湖近くの公衆電話ボックスからかけたことがわかった。それを聞いた岩内は、なぜか激しく動揺する。不審に思った土門たちが調べると、なんと今回の事件が24年前に起きた未解決の誘拐事件と酷似している、という衝撃の事実が浮かび上がる…!
その事件とは、滋賀県在住の石井和夫(鶴見辰吾)、陽子夫妻の間に生まれたばかりの息子が誘拐された事件で、赤ちゃんは戻らず、身代金も奪われていた。しかも当時、容疑者として浮上したのはなんと間山夫妻であり、件の公衆電話は石井が犯人からの指示を受けたボックスだった。そして、岩内はその誘拐事件の捜査員だったのだ…。
そんな中、犯人から2度目の指示が入った。マリコと呂太は、身代金を運ぶ間山の車を極秘追跡するが…!?
ゲスト 鶴見辰吾、六平直政、寺田 農、森尾由美、小澤亮太、羽場裕一 ほか
脚本:櫻井武晴
監督:田﨑竜太