エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

「第21回四万十川ウルトラマラソン~かなり私的な敢闘記」(5)

2015年11月09日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

■5■

「ゼッケン○○○○・・」

マイクアナウンスが聞こえ始める。

【61.5km、カヌー館】

レストステーションに到着。

関門時間も何とか一時間残している。


ボランティア学生から荷物を受け取る。

ゼッケンをコールするマイクアナウンスを聞き逃さず、

準備したランナーの荷物を一人ひとり手渡ししてくれる。

「ありがとう」

味噌汁、バナナ、スポーツドリンクを片手に芝生に向かう。

芝生は青く、リゾート気分が漂う。

疲れ果てたランナーには青い芝生は「天国」のようにも見える。

「天国」は応援の家族・友人が出迎えたり、とても賑やか。

青い芝生では半裸で仰向けに横たわるランナーなどもいる。(天国の正しい過ごし方か・・)

しかし、過去の経験からこの天国での休憩はかなりの時間のロスになる。

大急ぎで着替えを済ませて、荷物の中に手を伸ばす。

栄養ドリンク、エネルギージェルなどを摂取。

胃がムカムカするが、胃薬を荷物に入れ忘れている・・。

結局オニギリは食べられず、急いで出発。

「天国」に背を向けて「地獄」に向かう。

脚が重い・・。

しんどい・・。

【オカリナおじさん】

しばらくすると四万十ウルトラ名物オカリナおじさんが現れる。

神出鬼没のこのおじさん、

毎回オカリナを演奏しながらランナーを応援してくれている。

「ポ~~」という優しい音色が束の間の癒しとなる。

今回は何の曲だろうか?・・、聞き耳をたてる。

「いとしのエリー」

(♪笑ってもっとベイビー~)

「ありがとうございます」(もう苦笑いしかできない)

【65km地点、津大橋】

「西土佐の赤い橋」、正式名称は津大橋。

案外地元民も正式名称を知らない。

ここのエイドも学生ボランティア。

学生ボランティアの働きぶりが気持ちいい。

お腹が重くなり網代休憩所のトイレに駆け込む。

いつも空いているが何故か混雑していて並ぶ。

列の後ろに知り合いランナーが並んだ。

「少し時間がマズいですよね~」

「ギリギリっぽくなってきたね」

大きい方のトイレを済ましトイレットペーパーを引っ張ると、

10cmで無くなった・・。

予備のペーパーの外紙を剥がし、新しくセットする。

上手くセット出来なかったのか回転しない。

もう一度外したところでトイレットペーパーが紙テープのように

足元をクルクルと転がった。

びしょ濡れになったペーパーをある程度引きちぎり、

改めてセットし直した。

トイレで遊んでいる場合ではない・・。

今回も「トイレの神様」に試されている。

走り出す。

【68.6km、岩間沈下橋】

2回目の沈下橋は往復ではなく渡りきり。

目の前を小さな子供達がはしゃぐ。

沈下橋から落ちないのか気になる。

橋を渡った後の少しの上りが走れない。

ついにダラダラと歩き始める。

走ってみようと試みるが体力が全くない。

ガス欠。

体の中のガソリンが全く無い。

給食を摂れなかったツケが疲労と共に現れる。

【70km地点通過】

自分の中の第2チェックポイント。

「70km地点をちゃんと走れているか」

ダメ。走れない。

一度目の疲労のピーク。

ダラダラと歩く。

山際でココブ(アケビのような果実)を探す。

今年は気温が高いせいかココブの実は見当たらない。

【71.5km、茅生(かよう)大橋】

関門所を約30分前に通過。

知り合いボランティアに声を掛けられる、

「おい!大丈夫か!?時間ギリギリじゃないか?」

「いや~動けなくなりました」

ここまでにもうかなり時間を使ってしまった。

もう開き直って自販機で甘いジュースを買う。

歩道に座り込んでジュースを飲む。

腕に書かれた子供達のメッセージを見る。

「イカン・・、こんな事してる場合じゃない・・」

立ち上がり走り出す。

何となく甘いジュースが良かったのか走れ出す。

しかし中半(なかば)地区は長い。

中半A、中半B、に小分けしなといけない。

クネクネと曲がった細い一車線の車道が続く。

車が行き違い困難となりバックしてくる。

ランナーは脚を止めてそれを避ける。

移動応援禁止を謳っているのはこのため。

残念ながら行き違い困難車は県外ナンバーが多い。

少し陽が落ちてきて暗くなる。

リタイアバスが多くのランナーを乗せて通り過ぎる。

【76km、口屋内地区】

久し振りに民家が集う集落に入る。

「旅館せんば」の前は応援がアツい。

「ナイスランです!」

ランナーっぽい若者が声援をくれた。

応援の声は「頑張れ」とか色々あるが、

この「ナイスラン」は褒められているようで素直に嬉しい。

若者「その調子でここからはキロ5分で行きましょうー!」

思わず足を止めて・・、

「無理!」と笑う。

沿道の人達、ボランティアの人達、ランナー同志、

会話をすることで体に力がみなぎる。

声援も脚を動かしてくれるが、

「会話」は脳を直接刺激して体を動かしてくれる。

【復活】

走れる、走れる。

口屋内地区を通りすぎ、久保川地区に入る。

【79.5km、関門所】

以前この脇のトイレで嘔吐下痢をした。

何とか走って通過する。

【80km地点通過】

「11時間2分」。

残り20kmを3時間。

黄色信号は点滅しはじめた。

そしてついに「奴ら」が後ろから現れた・・

■5■

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「第21回四万十川ウルトラマラソン~かなり私的な敢闘記」(4)

2015年11月09日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

■4■

車道は日影が無くて暑い。

しかも少し上っている。

「四万十ウルトラはおおかた下り勾配」

だれが云ったかは知らないが、地元民の感覚では間違いといっても過言ではない。

山沿いの旧道が大半を占めるコースは、小さなアップダウンの連続なのである。

この2車線の直線の車道はトンネルに向かう上り、

自分の中ではここが最初のチェックポイント、

「この37km地点からの車道をちゃんと走れているか・・」

問題ない、調子はいい。

涼しいトンネルを抜けると小野大橋を渡って再び旧道に戻る。

小野の集落は日当りがよくて気持ちがいい。

橋のたもとのエイドで初めて首元に水を掛ける。

予報では最高気温27℃だった。

【40km地点通過】

「4時間33分」。自分にしてはいいペース。

【41.8km、60kmの部との合流地点】

十川大橋は赤い鉄橋。

橋のたもとのエイドからは黄色い声が飛んでいる。

このエイドには十川中学校の生徒達がボランティア参加している。

素朴な学生達の一生懸命な姿に勇気をもらう。

飛脚応援青年を発見。

彼も抽選に漏れた高知市内のランナー。

60kmの部・100kmの部、合流地点で効率よく飛脚メンバーを応援してくれる。

「冷却スプレーありますよ!要りますか!?」

そういえば、今回は全く脚が攣らない。

エイドではオニギリを探す。

しかし、見ただけで手に取れない。

朝からの胸焼けで胃の調子がよくない・・。

固形物を諦めてバナナだけ口に押し込む。

エイドには60kmの部のランナー達が駆け抜けた空気がまだある。

先を急いで出発する。

川の向こうに「道の駅とおわ」が見える。

「十和(とおわ)村」、

昭和地区と十川地区が統合した村。

市町村や学校などの統廃合は今後も続くのだろうか・・。

【42.195km地点】

ご丁寧に立て札があった。

フルマラソン×2、足す・・・やめておこう。

【44km地点、ライダーズイン四万十】

普段はライダー専用の宿泊私設だが、トイレを借りられる。

ここのトイレは100㎞の中で一番贅沢な空間だろう。

各部屋に備え付けのトイレ(前に利用した時は洋式)を貸切り出来る。

【50km地点通過】

まだエイド以外では一度も歩いていない。

6月に脚の中足骨を疲労骨折した。

7月はリハビリウォークからのスタートだった。

9月には月間300kmを走ったが、わずかな練習期間でよく50kmも走れたものだ。

この辺りから高架上を線路が走る。

コンクリートの壁を横にしながらひた走る。

エイドでは脚に掛け水をして冷却する。

大きなポリバケツになみなみと注がれている水。

この水もボランティアの手間が掛かっている。

前日夜10時から当日深夜の2時にかけて水道班が各エイドに給水に走る。

意外と知られてはいないが、ボランティアには「深夜班」があるのだ。

感謝の気持ちを持ちながら掛け水をする。

【53.8km、半家(はげ)沈下橋】


長い山道を走ってきたご褒美のように沈下橋を往復する。

欄干の無い橋の上は大自然を満喫できる癒しスポット。

四万十ウルトラの一番の名所といっていいだろう。

橋の上は業者の写真撮影ポイントになっていて、

ランナー達は笑顔でポーズを決めている。

川のせせらぎ、美味しい空気、開放感、

疲れた脚もこの瞬間だけは生き返る・・。

【半家の峠】

神様は残酷である。

ご褒美の後にちゃんと試練を用意している。

ルンルン気分で沈下橋を渡った後には第2の峠越え。

半家の峠は「みんな歩きなさい!」の号令が聴こえているかのようで、

みんな歩く。

正直、完走だけが目標の一般ランナーには、

歩いても走ってもそんなにタイムのロスにはつながらない。

【半家の落人伝説】

その昔、平家の落人が源氏からの追手から身を隠すために、

「平」の横線を移動させて「半」にして「半家」となった・・、

という言い伝えがある。

どうでもいいことを考えながら峠の上りを歩いていると、

横を歩く年配ランナーが声を掛けてきた。

「この下の線路は中村まで続くんですか?」

「いや~これは中村には行かないですね~、宇和島に行くヤツです」

最近新幹線の格好をした列車が話題になったJR予土線、

噂の新幹線を見られたランナーはいるのだろうか・・。

半家の峠はすぐに頂上を迎え、下りに入る。

この下りは傾斜がかなりキツイ。

堂ヶ森で痛かった足の爪が悲鳴をあげる。

結局、半家の峠はほとんどを歩いた。

【56.5km、第2関門】

歩きで時間を使ったが、まだ関門タイムを1時間以上残している。

エイドで給水してトボトボと走り出す。

山際は日影が多くて随分と助かる。

【60km地点通過】

「7時間40分」、黄色信号が点いた。

以前の完走時の記録よりも30分も遅れている。

疲れも隠せなくなり、

間もなく現れるレストステーション「カヌー館」が待ち遠しくなる。

レースは後半に入る・・。

■4■

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