四万十川ウルトラマラソンまであと約ひと月、
例年なら本番コースの試走を兼ねた堂ヶ森の頂上までの21kmを往復する42km走をやる頃。
100kmの部の出場を最後と公言している今回、
練習くらい今までやったことのない事をやってみよう~!
本番のスタート地点は蕨岡地区で自宅からは7㎞、
自宅から堂ヶ森の頂上を往復してみることにした。
リュックに500㎖のペットボトルを3本入れて朝6時に自宅を出発。
重い・・・、リュックが重い。
今月はここまで30kmのロング走が2回で月間300kmに達する勢い。
ではあるが、加齢とともにタイムは遅くてキロ7分台がメイン。
様子見を兼ねた前半の7kmは荷物の重さもありキロ8分だった。
本番スタート地点に到着したが割と元気でうれしい。
この日、同じく本番コースを走っているチーム飛脚女子のアベはもうだいぶ前を走っているだろうな・・。
足元にハンミョウが現れた。
この美しい虫は魅力的だ。
安部公房「砂の女」の主人公は、確かこの虫に導かれるように蟻地獄集落に向かったはず。
ハンミョウは目の前にいるが、近づくと少しだけ先に飛ぶ。
近づいては逃げるを繰り返す思わせぶりなヤツだ。
峠の入り口あたりは陽も高く、気温は33℃。
汗が噴き出すが水分を採るたびに背中は軽くなる。
24km走った峠の中盤で勢いよく下ってくるアベに会った。
奴は今回3回目の40km走らしい。
今回も完走は無理だろうと後ろ向きな私の態度に幻滅ぎみのアベ、
前回初100kmを完走した彼女は今回も当然完走予定らしいが、
目的が私の最後を見届けるために同じ同級生のセイシとエントリーしたらしい。
「いやいや、人のためじゃなく自分のために走りなさい(笑)」
つれない言葉を投げかけてお互い先に進みだした。
100km引退の理由は加齢による夏場の練習の厳しさと、何よりモチベーションの低下にある。
16年間、12回も100kmマラソンを走ってきて、「もう十分だ」という気持ちにウソ偽りはない。
そんな私に何かを期待するよりも、勢い増すランナーは自分の想いのままに進んでほしいのだ。
峠の頂上付近は歩きが入った。
頂上、ここまで28km、やはり堂ヶ森はキツイ。
へばりにへばって道端に腰を下ろす。
おにぎりを食べながらしばらく休憩する。
あ、コラ!蟻!米粒返せ!
さて、下り帰路に向かう。
アベからラインが入り、下りは楽しいと言っている。
下りはどうしてもブレーキの前太ももを酷使する。
本番では60km以降にふくらはぎと前モモが焼けるように痛み出す。
スピードを落とさずに上手く進める方法ってあるのだろうか・・・。
目の前に大きな蛾が現れた。
ヤママユ。
繭は天蚕で有名だが、実際の天蚕は品種改良されたもので、野生のものはあまり糸を吐かないらしい。
それどころか見た目よりも弱くて、木から落ちるともう戻れなくなり死んでしまうのだそうだ。
地面でバタバタしているこいつもそういう運命なのだろうか・・。
下りが終了した下界は暑い、
35kmあたりからはバテもあり歩きが入り始めた。
45km以降は止まっては走り、また止まって・・・、これはまるでハンミョウじゃないか(笑)。
やはり30℃を越えると暑いな~、熱中症アラート出てるし・・。
50km以降はおおかたウォーキング大会となった。
最後の1kmだけ意地で走ってみたが、案外走れることに驚いた。
そうだった、メンタル、これが一番大事なのだ。
いやもうそのメンタルがないのが引退の理由なのだが・・・。
初めての56km走はボロボロだったが、本番でも間違いなくあるハンミョウ走りを経験出来たのは収穫かな。
あとひと月、もう少し頑張りますよ~!