エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

エルソル大阪物語■42■「ぷっつん全開」

2018年01月25日 | エルソル大阪物語

■42■


新居のマンションは北野田駅から徒歩15分の所にありました。

引越し荷物を乗せた車の中では「引越し部隊」がご機嫌でした。
武ちゃん「次のトコロも1階なんやろ、楽勝やな!」
  福嶋「上田太っ腹やなぁ、みんなに焼肉って・・ゴッチョー!」

しかし到着すると、上機嫌の「福嶋」が静かになりました。

『グリーンハイツヒロタ』は
下を小川が流れる崖の斜面に建っていました。
車通りの一階部分はこのマンションでは3階にあたり、
僕の住む一階は【地下2階】になるのです。

重たい荷物を持った福嶋達が
「だまされた!だまされた!」と言いながら階段を降りました。

すぐ目の前には桃山大学があり、マンションの住人の殆どは大学生でした。

部屋の横は竹やぶだったので、よくムカデが出ました。
ムカデはタバコのヤニが嫌いというので吸殻を並べました。
ドアの外にも大量に吸殻をきれいに並べたので
「変な宗教でもやってるんじゃないか?」と学生達は僕に近づきませんでした。

『ターニン河内長野店』は、
河内長野近くの駅から「211段」もの階段を登った高台にありました。
「だまされた!だまされた!」と言いながら登りました。

50坪の巨大なお店は、総ヒノキ張りでした。(四万十産ヒノキ)

店内は「理美容」にする予定だったらしく、5台のセット面が左右に分かれてありました。

OPENまでの3日間は朝からずっとポスティングでした。
新興住宅街らしく、どの家にも「猛犬注意」の張り紙があり、
ドキドキしながらチラシを入れました。

美容師さんがOPENまでに間に合わず、
OPEN直後は「理美容」というチラシを見た主婦が殺到して大変な事になりました。

バックシャンプーの出来る僕は戦力になりましたが、
久里マスターのレディースカット(特にパーマ)は評判悪く、
数日後には女性客はまばらになりました。

結局その後も美容師は入らず、チラシ効果も消えた頃になるとお店は随分暇になりました。

・新興住宅街でまだ家の建ってない区画がたくさんある
・ほとんどがサラリーマンで平日に家にいるような人がいなかった
・新しい住宅ばかりでお年寄もほとんどいない

暇になった店はマスターと僕でお客さんの全てをこなしてしまう為、
困った後輩は辞めてしまいました。

そんなある日、思いもよらない奴が突然お店に現れました。

「上田君久しぶり~、元気してた~?」
『ぷっつん女子・富長』でした。

富長「もう終わるやろ?」
  「車で来たから、家まで送ったるワ~」

閉店後、赤いシビックに乗り込みました。

上田「おいおい、ちょっと待てよ~・・」
  「お前、どうやってココが分かった?」
  「3~4人しか知らんはずやで?」

富長「ふふふ、分かんねんって、だいたい」

上田「お前な・・相変わらず怖いぞ・・」

富長「ふふふ、まあまあ、それより家何処よ?」
  「この道でええの?合ってる?」

上田「合うとるがな・・」

富長「スーパーとか無いん?ご飯作ったるワ」

上田「マジ!?」

オートロックのワンルームに富長を招き入れました。

富長「うわ~っ、出世したな~上田君」
  「でも安心しいや、もっと出世すんで~」
  「綺麗な部屋やな~」

富長がササッと作った野菜炒めを食いました。

上田「お前、急に来て・・何か話がありそうやな・・」

富長「うおー、分かるかー、天才ちゃう!?」

上田「もうええワ、何よ?・・ん?ウマイな野菜炒め」

富長「直球で言うわな」
  「保証人になってくれへん?」
  「ちょっと個人宅配やるねんけど、」
  「友達保証人っちゅうのがいんねん」
  「アタシ、家出して実家に帰られへんからな~」
  「こんなん頼める友達そうそうい~へんのよ」

上田「今何処に住んでるんや?」

富長「男のトコよ」
  「小説家の卵でな~、そのうち絶対に売れんねんよこれが・・」
  「ピアノ弾きながら口説かれてサ~、ポロロンってな」
  「カヨさん!小説売れたら一緒になって下さい・・いうのよ~」
  「ひぃー」

上田「ちょっとしたお金なら貸せるけど・・」
  「保証人はアカンな、人の保証なんか出来るほどのお金は無いワ」

富長「上田君マジメやからな~、やっぱ無理かぁ~、う~」

上田「ゴメンな」

富長「じゃあ今からSEXしよか?」

上田「・・・ヨッシャ、やろか」

富長「く~~、場数踏んどるな~、反応オモロ無いワ」
  「アタシな、色々あってな、それこそ場数踏んでんねん」
  「経験人数60人やで」
  「ふふふ、有り得ひんやろ?」
  「その辺の男はみんなオンナの体目当てや」
  「生きていくために随分利用させてもらったワ」
  「でも上田君は違うんよな~」
  「アタシの周りで肉体関係のない男友達って上田君だけなんやで~」
  「信じへんと思うけどな・・」

富長「・・・よ~し、ちょっとドライブ付き合って」

上田「何処行くんや?」

富長「お宮かな?ふふふ、今から行かなアカンねん!」

上田「はぁ!?ウソやろ?もう11時過ぎてるぞ!」

富長「か弱い乙女に一人で行かすわけにはいかんやろ」
  「フフフフッ」

シビックの助手席に乗せられ、河内長野の山道を走りました。

富長「キャアーーッ!!」
突然踏んだ急ブレーキのせいで、フロントガラスにぶつかりました。

上田「な、何やっ!?」

富長「今、白いウサギが横切ったやろ?」

上田「そんなモンおらんかったワ!危ないワ!」

富長「上田君、アルビノって知ってる?」

上田「何やそれ?知らんがな」

富長「最近アタシのまわりには白い動物ばっかり出てくんねん」

上田「またワケワカランことを・・」

車は外灯の無い山道を少し走り続けました。

すると確かにお宮の階段のような石段のたもとに到着しました。
階段は山の上に長く続いています。

富長「行くで上田君!」

上田「え?オレも行かんといかんのか!?」

無言で石段を上りはじめた富長の後ろを、あわてて追いました。

富長はもう喋ってくれません・・

時刻がちょうど0時を迎える頃、石段の頂上に大きな鳥居が見えました。

富長が鳥居をくぐったその時、空に稲光が光ました。

もう怖さも限界で、富長をおいて階段を駆け下りました。

少しして富長が跳ねるように下りてきました。

富長「いや~良かった良かった、これでヨシッ!家まで送るワ、」
  「ゴメンな~、さすがに一人じゃ怖いからな~、助かったワ」

車はマンションに向かいました。

「キイィィィーー!!」

急ブレーキを踏まれました・・

富長「今、白いインコが・・」

上田【もうええっちゅうねん!!!!!】

■42■


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