■47■
堺から通勤するには遠すぎるんで引越ししました。
今回は武ちゃんがトラックを用意してくれたので、引越し作業は随分楽でした。
新居はお店がある中津から、淀川を越えた東淀川区でした。
「高岡ハイツ316」
「下新庄」というごちゃごちゃした町のワンルームマンションの3階です。
すぐ近くに新幹線が高架上を通過します。
「新大阪駅」も近いので、さほどスピードが出ていないのか、
騒音らしきものはありませんでした。
「お~い、新大阪は近い?今度泊めてくれ~」
電話の声は高校の同級生「岡野セイジ」でした。
同じく高校同級生の女の子「モトヨシ」の結婚式に呼ばれたらしく、高知から飛んできました。
上田「久しぶりやね~」
部屋でセイジの頭を散髪するために新聞紙を広げました。
岡野「それがビックリでよ~」
「どうやら新郎も知り合いながよね」
上田「どういうこと?」
岡野「オレの専門学校時代の同級生らしい」
上田「あのコンピューターのか?」
岡野「そうそう、歳は上やけどね」
「聞いた時はブッたまげたぞー!!」
「偶然のひと言では片付けられん・・何かモヤモヤが残るな~」
セイジの髪質は相変わらず硬く、鋏は悲鳴をあげていました。
翌日、
自転車の後ろにセイジを乗せて新大阪に向かいました。
ママチャリでなくシティサイクルなんで、後ろは座れません。
セイジは運転する僕の肩に手を掛け、後部車輪の金具に立ったままでまたがりました。
残念ながら金具の出っ張りはとても小さく、
靴の端の一点に全神経を集中しないと滑り落ちます。
最初の信号でブレーキをかけると、
早速「う”」っとせいしは滑り落ちました。
岡野「新大阪まで何分?」
上田「う~ん、15分かな」
岡野「・・・体力勝負か」
「段」があると必ず滑り落ちるので、なるべく車道を走りました。
新幹線の高架下をひたすら進みます。
上田「そういや~昔、諏訪ノ森の頃やったか・・」
「酒飲んだ帰りにセイジを自転車の後ろに乗せたな~」
岡野「あの悪夢は忘れんぞ!」
「溝に突っ込みやがって・・」
「前が見えんかったから受け身もとれんかったワ」
「確かスーツやったな、人に借りた新品の靴も擦ってしもうた・・」
上田「ハハハハ」
「ハタハタハタハタ・・」
セイジが乗っている金具は車輪が近いので、ズボンの裾がハタハタと当たっていました。
岡野「うわっ!最悪や」
セイジはズボンの裾を靴下の中に入れました。
新大阪に到着しました。
岡野「あ”ー疲れた」
「こんなに足がワナワナするのは高校の野球部以来ぞ」
セイジは足をフルフルさせながら会場のホテルに向かいました。
福嶋が泊まりにきました。
福嶋「やっぱりマンションはええのう~」
そう言って布団の上にゴロンと横になりました。
福嶋は新しいお店でうまくいっていないようで、精神的に疲れ果てた感じでした。
それに加え、夜中のタコ焼きのバイトも始めたらしく、
寝不足の日々が続いて体力的にも参っている様子です。
上田「とりあえず、夜中のタコ焼きはやめたほうがエエな」
福嶋「そうはいかんのや・・、車の維持費も大変でのう」
「関美の同期の女で山田っておったやろ?」
上田「ん?昔チクリンと付き合っとったボヘミアン女か?」
福嶋「アイツに50万でバイク売ったんやけどな」
「金もらい損ねとるんよ・・」
「男追っかけて東京に行ってから行方不明や」
「噂ではレゲエのミュージシャンと結婚したって言うしのう」
「アテにしてたお金が泡や・・」
「親にも内緒でお金もいろいろ借りとるしのう」
「オレの母ちゃんキビシーけん、知られたら愛媛に連れ帰られるワ」
「女手ひとつで育ててくれた母ちゃんやけんな・・・逆らえんワ」
そんなに話もしないうちにイビキをかいて寝始めました。
上田「おいコラ!お前はコタツで寝ろ!」
不摂生で随分と太ったトドは、ピクリとも動きません。
上田「くそ~・・」
福嶋の出た腹にマジックで顔を書いてやりました。
翌日夜、
電話が鳴りました。
福嶋「お前ェ!何て事するんや!銭湯で大恥かいたワ!!」
後日、
抜きうちで大阪に出てきた福嶋母に全てを見つかり、
福嶋は愛媛松山のお店で働くことになりました。
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全ての始まりになったセイジと・・
腹芸
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