エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

エルソル大阪物語■46■「強烈ラッシー」

2018年01月26日 | エルソル大阪物語

■46■


『理容ラッシー』は
梅田から徒歩10分の中津にありました。
梅田のビル群から少し離れた下町といった感じです。

お店は、
外観・内装共々レトロ感たっぷりの縦長の狭いお店で、
5台の椅子と客待ちの長椅子が平行に並んでいました。

数年前だったら見向きもしなかった様な古臭いお店でした。

マスター夫婦は共に鹿児島県出身でした。

『中川マスター』は40代、7:3分けの大頭で3頭身で、
酒・タバコ・ギャンブルが大好きな「ええ声」の持ち主でした。

『奥さん』も小太りでした。
濃い顔をしており「ジャネットジャクソン」に似ていました。

その他二人の中習がいました。
「技術者」「中習」「見習い」と区分される従業員、
「中習」は「少し仕事が出来る人」という感じです。

カレー屋を連想させるような「黄色い白衣」を着せられました。
鏡に映った自分はダサく、テンションも下がりました。

初日からお客さんのCUTに入らされました。

    上田「前の店では若い子しかやった事がありませんが・・」
中川マスター「君がやらな誰がやるねん!早よやらんかい!」

客待ちにはたくさんのお客さんが待っていて、
もう開き直ってやるしかありませんでした。

「中川マスター」はどんな細かいミスも見逃さず、
自分の手を止めてまでお客さんの目の前で指導します。

内容も理論的なものではなく、
「ここもうちょっととれ」「こことりすぎ」という感じで、
徹底的に『眼』を鍛えるものでした。

3日もするとヘタクソだけど全てのお客さんに入っていました。

この店で大事なものは何よりも「スピード」でした。

お店は大変忙しく、
朝の開店前から2,3人並んでおり、客待ちの長椅子は常に満席でした。

昼飯は超安い「仕出し弁当」でした。
仕出し弁当のおかずは、見た目と味が一致しないという不思議で恐ろしいものでした。

また、弁当を運んでくる60代のオッサンもとても下品で、
「今日はみんなの大好きなオマメさんやで~、オ・マ・メ~」
「今日はみんなの大好きなクリごはんやで~、クリちゃん~」
など、お客さんの前でもお構いなしの強者でした。

縦長のお店の突き当たりにはアコーデオンカーテンがあり、
その裏のとても狭い所で弁当を食べます。
トイレの目の前、しかも棚にいるたくさんのゴキブリを見ながら5分で食べました。

トイレも大変狭く、しゃがむと壁面ギリギリで、
しかも換気扇も無い為、うんこ後に消臭レモンスプレーを吹き付けるのが唯一のエチケットでした。

食事中なのにトイレでキバるお客さんに軽い殺意さえ覚えました。

お店の化粧品も見た事のないものばかりで
香料でごまかしたものが多く、そのおぞましい臭いが知らずのうちに体に染み付いてしまいました。

シャンプーは固形のものを大きなバケツに水で溶かして、
小さな容器で小分けにして使うのでした。
(固形シャンプーの存在を初めて知りました)

固形シャンプーを溶かすのに素手で混ぜるとチクチク何かが刺さるように痛みました。
それは劇薬に近いものでした。
冬になると手荒れもひどく、ジャンケンでグーを出すと節々から血が吹き出ました。

60代の材料屋さんが出入りしていましたが、新商品はいつも「ブルコン(白髪隠し)」でした。

有線は常に演歌でした。

お客さんもターニンとは全く異なります。

あやしいお客さんも多く、
「自称マジシャン」(宴会芸程度)
「自称バレリ~ナ」(ただのオカマ男性)
「自称探偵」(ただのアホオッサン)
など、ホントかウソかワカランような人達が結構いました。

お店は「大阪婦人ホーム」とも提携していて、
月一回、番号札を持った「あやしいオバサン達」が二人組で列になってやってきました。
たまに迷子になる人がいて、探しに行かなければなりませんでした。
オバサン達は、「うんこするぞ」「しっこするぞ」
「チンチン見せて、チンチン見せて」と下品でした。

そのオバサン達の中に「ボス」がいました。
「ボス」は50代後半の貫禄たっぷりのオバサンです。
トノサマガエルを連想させます。

ボスに声を掛けられました、
ボス「おい、兄ちゃん、タバコくれ!」

上田「持ってへん」

ボス「どっかから買うてこい!」

上田「嫌や」

ボス「・・・」(太い顔に細い目で睨み続けるカエル)

「上田vsボス」は毎回このやりとりがあり、新喜劇のようにテッパンでした。

僕がソバージュをあてるオバサンは細身のエロいオバサンでした。
エロオバ「兄ちゃん、男前やなぁ」
    「今からホテル行こうやぁ~」

  上田「嫌や」

エロオバ「マスター!兄ちゃん連れてってかまへん!?」

中川マスター「エエで~!行ってこいや」
      「ワシじゃアカンか?」

エロオバ「この兄ちゃんがええねん」
    「なぁ~、行こうや~」

  上田「ほな、ネエちゃん、今からいこか?」

エロオバ「・・・・」
    「マスタ~!この兄ちゃんやらしいわ~!」
    「辞めさせて~!」

  上田「くそ~」

「上田vsエロオバ」は毎回このやりとりがあり、新喜劇のようにテッパンでした。

「この兄ちゃん、エエ仕事すんでぇ~~、ひひひひ」

一番おぞましいのはジャネットジャクソン(奥さん)でした。

■46■


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