エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

第23回四万十川ウルトラマラソン~親子挑戦・前半~

2017年10月24日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

■ 前半 ■

「今日は一日中雨予報ですね~」

AM4:00すぎ、毎回スタート会場まで送迎してくれる嫁の職場の同僚キクちゃんがつぶやく。

真っ暗な早朝、車はワイパーを動かしながら進む。

「そういえば身重の身らしいね、大丈夫?送迎申し訳ないね・・」

「大丈夫、大丈夫、何と今年はボランティアで5km付近に立ってますよ~!」

「えーーっ、お腹冷やさないようにね・・、雨やし・・」

約2600人のランナー達は早朝の沿道ボランティアスタッフに妊婦がいるとは知る由もないだろう・・。

会場付近の橋で車から降ろしてもらう。

雨は小雨だが、冷たい雨が降り続いている。

橋から見るスタート会場の蕨岡中学校は暗闇にポッカリと浮かぶ。


今年は初めから雨なので一條太鼓の演奏応援もないようだ。

例年に比べて少なく感じるタイマツ、暖かく感じるように見えるのは気温の低さだろうか・・


鶏小屋の鶏が上手に鳴いている。

会場のグラウンドは水浸し。

シューズを濡らしたくないランナー達が牛歩で進む。

開会式が終了して、公道に移動する。

公道がスタート地点、今年も割と前の方に並んだ。


人が密集すると暖かい。

空を見上げる。

降り続く小雨が見上げた顔を濡らす・・。

「何とかスタート地点に立てた・・」

約2週間前、ランニング中に右足ふくらはぎの軽い肉離れをやってしまった。

10日間の完全休養から歩行時の痛みがなくなったところで、試し走りをしてみた。

わずか5kmで痛みが再発、以後一週間の完全休養でこの日を迎えた。

歩行時に痛みは全く無い。

走ってみて、もしも痛みが出ればそこで終わり。

今回はそんな厳しい闘い。

そんな私だが、今回は60kmの部に息子が初めて挑戦する。

春に高校を卒業し、地元就職した長男が会社がらみでの出場。

今大会最年少ランナー。

当の本人、社会人としての自覚もまだまだ薄く、休日は友人との遊びが第一。

このままだと練習ゼロで大会を迎えてしまう。

仮にもウルトラマラソン、こんなランナーがスタート地点に立ってしまうのは失礼なこと。

見るに見かねた父が「一回だけ走ってみるか」と、数日前に走らせた。

今回職場の研修が重なり出走を断念した嫁に併走を頼んだ。

目的はたったの一つ、「キロ7分」を覚えさせること。

高校のマラソン大会約10kmを走ったことがあるだけの息子、

このままではスタートから勢いのままに飛び出して、あっという間に潰れて終わるだろう。

ゆっくり走って距離を延ばす。

どうせ大会に参加するのなら長い時間楽しんで色んな経験を積んでほしい。

一回だけの練習はたったの4kmで終わった。

100kmの部はAM5:30スタート、60kmの部はAM10:00スタートでコース途中で合流する。

ヤツは間違いなくリタイアバスに乗るだろう。

それまでに何とか追い付いて叱咤激励してやりたいものだ・・。

「スタート!!」

号砲とともにフラッシュが焚かれ、スタートゲート付近が明るくなる。

ダラダラ歩きからゆっくりと走り始め、歓声の中スタートゲートをくぐる。

大会ゲスト千葉真子さんがハイタッチでランナーをお見送り。


雨にもかかわらず沿道の声援が多い。

傘を差し、カッパを着て、ランナー達に「いってらっしゃ~い」と声をかけ続けてくれる。

ついにスタートした。

走り出すと雨は気にならない。

多くのランナーが想いを胸に100kmを目指す。


走れる、嬉しい・・。

2km、沿道のタイマツは足元のキャンドルに変わる。

本人の感覚ではキロ7分のつもりが、キロ7分半もかかっている、

・・・おかしい。

右足のふくらはぎの中で何かが固まり始めた。

まだ多くのランナーの足音がバタバタと音を立てているなかで、早くも不安を覚える。

3kmすぎ、

ふくらはぎの中の塊が痛みに変わる。

「痛い・・」

右足の一歩一歩に痛みが走る・・。

くそ~、

絶望感に襲われるが、周りにたくさんランナーがいる中で恥ずかしくて止まれない。

もう止めて逆向きに歩いて家まで帰ろうか・・。

まだ標高600mの堂ヶ森の峠の入り口にも差し掛かっていない。

第一関門はその峠の向こうの36km地点。

足取り軽いランナー達にどんどん追い抜かれて置いていかれる。

頭の中が整理できない・・。

かなりのランナーに抜かれながら低速で進む。

こうなったら、この脚で行けるところまで・・、

Tシャツの背中には飛脚を背負っている。

背中の飛脚の文字の下に密かに書かれている文字、

「Pain is temporary. Pride is forever」(痛みは一瞬、誇りは一生)

チームの肩書では監督、みんなを簡単にがっかりさせるわけにはいかない。

痛みと闘う覚悟を決めた。

足を蹴らなければふくらはぎの痛みは少ない。

膝を曲げない「すり足走法」で進む。

9kmすぎ、竹屋敷集落を過ぎると少しずつ上りはじめる。

15kmすぎ、傾斜はキツくなり峠らしくなる。

頑張るランナー達。


元気な脚でも大変な峠の上り、右足ふくらはぎが悲鳴を上げる。

19kmすぎ、ついに歩き始める。

まわりのランナー達も全員歩いている。

よく見ると、膝回りをグルグル巻きに固定しているような故障持ちランナーが多い。

みんな色んな痛みに耐えながら歩いている。

一歩一歩と前に進むことにそれぞれ「意味」があるのだろう・・。

がしかし、周りがみんな歩いているというこのゾーンは、経験からして「リタイアゾーン」。

こんな序盤でリタイアを意識することになろうとは・・。

21km地点、堂ヶ森頂上。


やっと辿り着いた。

頂上エイドは給食エイド、おにぎりが美味しい。

でも寒い・・。

仮設トイレに並んだが、寒さで震えて歯をカツカツと鳴らした。

早く走って身体を温めなければ・・。

下りに入る。

これがビックリ、下りはふくらはぎが痛くない。

走る、リズムがとれる、体が躍動する。

手足も温もり、今回初めてまともに走れだす。

30km地点、下りも終了して再び痛みが戻る。

14時間という赤いビブスのペースランナー達に抜かれる。

14時間とはゴール制限時間、つまりこのペーサーに離されるとゴールは絶望となる。

分かっている、もう今回のゴールは見えない・・。

33km地点、右手に四万十川が見え始める。

「四万十川の景色を楽しんで」は地元中学生からの応援メッセージ、

四万十川が見れたことを素直に喜ぶ。

36km地点、第一関門、

関門時間30分前に通過、何とか最初の目標まで辿り着いた。

昭和大橋を渡って次の目標40km地点を目指す。


■ 前半 ■









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