エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

エルソル大阪物語■最終話■「さよなら大阪」

2018年02月03日 | エルソル大阪物語

■最終話■


【後日】

ヘアテック・コラージュ連合『コラテック』が「お別れ会」を開いてくれました。

これが最後の飲み会になりました。

「大阪らしいところがいい」という僕の希望から、
道頓堀のビル7階の居酒屋で、小部屋の座敷でした。

「ヘアテック」の、
藤、四藤君、中田君、そして辞めた坂田君、

「コラージュ」の、
吉福店長、衣川さん、山上さん、村木さん、磯野君、
今田さん、井垣君、前本君、上山田君、狩野さん、独立したサンタさん、

多くの同僚が集まってくれました。

これほど集合したのは初めてで、みんないつもより気分が高揚した感じでした。

「まだ乾杯やってませんよねぇ~」

少し遅れて、「ヨシコ」が現れました。
主婦になった「ヨシコ」は、お腹の大きな妊婦でした。

藤「よし!全員揃ったな!ほんなら始めよか!?」

大きな食器皿が出てきて、ビールがなみなみと注がれました。

四藤・磯野「まずはコレ全部いってもらいましょう!!」

少し時間をかけ、一気に飲み干しました。

「ウォーーッ」(歓声)

挨拶、
「みんな、ありがとう!」
「ヘアテックは自分にとって大阪の集大成でした」
「それをこんなに祝福されながら終わることが出来て・・・・・・、」
「アカン、泣けてきた・・(ウソ泣き)」
「ホンマに幸せでした!ありがとう!!」

「乾杯」が終わり、次から次へとみんながお酒を注ぎにやって来ました。

「藤、次期店長任せたで!頑張ってや!ありがとう」

「ヨシコ、OPEN時の大変な時によう頑張ってくれたな!ありがとう」

「四藤君、真面目やから絶対に成功するワ、藤店長を頼むで!ありがとう」

「坂田君、もうお店辞めんように頑張らなあかんで!ありがとう」

「中田君、短い期間やったけど、ありがとう」

「コラージュ」のみんなにもそれぞれに「思い」を語りました。

~ワイワイガヤガヤ、~

いつもの雑談になりました。

みんなお酒が入り、笑い声が部屋中に響きます。

中田君が「ガシャン」とビール瓶を倒しました。

「あ~あ~あ~あ~!」みんなが大声で合唱します。

ヨシコが自分のバックに被害がないか心配しています。

藤が嬉しそうに鋭く突っ込みます。

坂田君がその突っ込みに手を叩いて笑います。

四藤君が咥えタバコで辺りを拭いています。

コラージュのみんながヘアテックを冷やかします。

赤い顔して、・・みんな楽しそうです。

「ふうーっ」、一つため息をついた僕は、

若いスタッフ達をぼんやりと遠巻きに眺めていました。

「えらい無邪気に笑ってんなぁ・・」

「自分もあんなに若かったんやなぁ・・」

すると突然、周りの雑音が聞こえなくなりました。

若いスタッフ達の姿に重なり、

昔の「若い自分」がボ~ッと浮かびあがりました。

「若い自分」はそこに膝を抱えて座っていました・・・

「ヨレヨレのシャツを着て・・」

「汚れたズボンを履いて・・」

「ガリガリに痩せていて・・」

「右も左も分からなくて・・」

「オドオドして・・」

「愛想笑いばかりして・・」

「痩せ我慢ばかりして・・」

「辛いくせに・・」

「逃げ出したいくせに・・」

「助けてほしいくせに・・」

「その場をしのぐことばかり考え・・」

「夜になると心がガクガクと震え・・」

「寝たら明日が来てしまうと思い・・」

「夜が明けることを不安に思い・・」

「未来に希望なんか見えず・・」

「いつも一人ぼっちだと思い・・」

「甘えさしてくれるところを探しまわり・・」

「自分の事だけ考えて・・」

「自分の事しか考えなくて・・」

「人に迷惑ばかりかけて・・」

「いっぱいいっぱい迷惑かけて・・」

そんな「青い自分」がそこに膝を抱えて座っていました・・。


『・・・これでもう終わりなんやな・・』


そう思った瞬間、涙がポロッとこぼれ落ちました。

自分でも驚きました。

大阪で初めて泣いてしまいました。

一度堰を切った涙は止まらずに嗚咽に変わりました。

みんなの談笑がピタリと止まり、一斉に視線が注がれました。

僕はもう、かすれた声を絞り出すのが精一杯でした・・

上田「みんな・・・もうお別れやな・・・元気でな・・」

  「頑張らなあかんで・・」

  「ごめん・・・」

少しの間上を向き、おしぼりを目にあてがいました。

僕はこの時初めて「大阪」との別れを実感していました。

ヨシコ「店長、これ・・・」

ヨシコが「大きな花束」を持ってきました。

ヨシコ「店長、ありがとうございました、高知でも頑張ってください」

溢れる涙をそのままにして受け取りました。

四藤君「店長、コレも・・」

四藤君に渡された袋を開けると「ルーレットのパンツ」が出てきました。

「いるか!こんなもん!お前まだ持ってたんか!」(ポイッ)

楽しいひと時はいつまでも続かず、いつしかお開きになりました・・。

下りのエレベーターからは大阪のネオン街を見下ろしました。

お店の名前を決めました。

『エルソル』

ラテン語で太陽です。
いつまでも輝きます。また、お客様を輝かせます。


【ヘアテック出勤最終日】、

予告してあったんで、たくさんの常連さんで賑わいました。

「ついに故郷に錦を飾るかぁ、頑張ってな!」

最後のお客さんを終え、大阪での仕事は幕を閉じました。

「記念写真」を撮ろう!

コラージュのみんながレッスンを中止し、なだれ込んで来ました。

上田「もう今日は泣かへんぞー!」

寂しい気持ちも無く、前を向いていました。

写真撮影が終わるとお店の外に連れ出されました。

人生2度目の「胴上げ」です。

宙に舞いながら清々しい気持ちでいっぱいでした。


コラージュのみんなはワイワイとレッスンに戻っていきました。

「お疲れ様でした!それではお元気で」

ヘアテックのみんなも帰りました。

僕は最後のカルテ整理を終え、

いつも通りにヘアテックを後にしました。

難波の夜はいつもと同じく、温かい湿気がまとわりつきました。


僕は「ホテル南海」の前で立ち止まり、

ゆっくりと上を見上げました・・・


==== 完 ==== H10・5・31
■最終話■

エルソル大阪物語


大皿イッキ


全員集合


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