エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

エルソル大阪物語■49■「乗り継ぎ帰省」

2018年01月27日 | エルソル大阪物語

■49■


大晦日、
途切れることのないお客さんをCUTしながら時計ばかり気にしていました。

お店の小さなTVではNHK紅白歌合戦が賑やかにやっていました。
最後のお客さんが9時過ぎにハケて、簡単に掃除を済まし、
逃げるように店を飛び出しました。

年に一度の楽しみ、『帰省』です。

休みは正月の3日間。
少しでも多くの時間を楽しい田舎で過ごす為にすぐさま夜行で帰ります。

梅田の高層ビルの明かり、街路樹に飾られたイルミネーション、
いつものつまらない通勤風景が、気分が浮かれているせいか華やかに映ります。

「今年も一年間よく辛抱した・・」

仕事のプレッシャーから解放される「大晦日の夜」は大好きでした。
足早に地下鉄に乗り込み、「新大阪」へ急ぎます。

「新大阪」に着くと、駅の待合のTVではまだ紅白歌合戦がやっていて、
少ない帰省客が皆見入っていました。
僕は田舎へのお土産を買い、改札をくぐり、岡山行きの新幹線に飛び乗りました。

一年間の勝利の美酒、
缶ビールを飲みながらポケット時刻表に目を通します。
「今回の帰省ルートはハードやなぁ・・」

ラジオ付ウォークマンのラジオで紅白でも聴こうとしたが、
残念ながら電波をうまく拾えませんでした。
車窓を眺めながら
「家族、友達は元気にしてるだろうか・・」と思ったり、
今回帰省の「一番の大仕事」の事を考えたりしていました。

新幹線は約1時間で「岡山」に到着しました。
「岡山」からはJRで高松行き(最終)に乗り換えます。
「高松」に着く頃には午前0:00を回っており、
「除夜の鐘、聞きそびれたな・・」と少し残念に思いました。

「高松」からは夜行バスで「高知」に向かいます。
2列シートの自分のすぐ隣は「若い女性」でした。
出発して間もなく、長い髪の女性は僕の肩にもたれ掛かって寝ていました。
「こりゃ~ドキドキして寝れんワ・・」

窓際の寝られない僕は、カーテンを少し開けて外を眺めていました。
しばらくして眼下に「初日の出暴走族」が現れ、集団でバスを追い越して行きました。
次々と現れる「竹やり車」「派手なペイント車」を見ながら思いました、
「愛媛に帰った福嶋も元気かな?・・・」

少し寝たらバスはもう高速出口の南国インターでした。
空は少しだけ明るくなり始めていました。

高知駅に到着しました。
「元旦」の朝です。
昨夜までの「一年が終わった感」はとっくに無くて、
新年独特のポワ~ンとした空気が漂っていました。

「最初の特急中村行きまで2時間もあるな~」
体がかなり疲れているので、すぐに乗れる「窪川止まり」に乗り込みました。
汽車の中は暖房がよく効いていてすぐに眠りました。
終点「窪川」まではほぼ熟睡でした。

さて、ここからは未知の世界です。
「土佐くろしお鉄道」という聞いた事の無い列車に乗り換えました。
各駅停車です。
都会の電車の一両だけを切り取ったような、つり革付きの列車でした。
乗客は約5人。

出発しました。
「窪川」からの各駅停車は無人駅に停まってばかりで、
一向に中村に向かっている気がしません。
途中で「高知発特急列車」に追い越されてしまいました。
「・・・・まあええか」

やっとの思いで大方町に入り、
海が綺麗に見えるところで何故か汽車は完全に止まりました。
「???、ここに駅なんかは無いぞ」

車掌と女性乗務員がやってきました。

「あけましておめでとうございます」

乗客に杯を配り、お酒を振舞いはじめました。
海からは「初日の出」がしっかりと顔を出していました。

金粉入りのお酒をいただきながら、
「やるやん!くろしお鉄道!」と感激していました。

しっかりと「おかわり」もいただき、その後はほろ酔いで気分良く列車に揺られました。

中村駅に到着しました。
改札をくぐり駅の外に出ると、タクシーの列が少ない帰省客を迎えていました。

その中に親父のタクシーを見つけました。
(親父は病気してからタクシー乗りに転職)

「おおーい」
手を振る僕に気付いたのか、後部座席のドアが自動で開きました。
「帰ってきたでー、家まで乗せていってや」と気軽に言うと、
親父は冷たく言いました、
「近いがやけん、歩いてイネ(帰れ)!」
「ココで何時間待ちよったと思いよるがゾ!」
「ワレ乗せてもワンメーターじゃんか!」と言われ、
「バン!!」と自動でドアを閉められました・・。

歩いて帰りました。

やっとの思いで実家に到着しました。
元旦とはいえ、美容師の母は着付けのお客さんで忙しそうにしていました。
夕方になり、親父も帰ってきました。

「あれからエエお客さん乗せれた?」
親父「ワレ乗せんかったおかげで大方まで行ったぞ(笑)」

親父「それよりワレ、明日は高知行ってちゃんと挨拶してこいよ」

■49■


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