エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

エルソル大阪物語■33■「言い訳だらけ」

2018年01月22日 | エルソル大阪物語

■33■

お金がいるので、
あんなに抵抗していたユニセックスサロン(理美容サロンで美容色が強い)
に行くことにしました。

「長島先生、岸和田行きます。」

店内はオシャレで、高級でした。
その当時理容では珍しくバックシャンプーでした。
そのためセット面とは別にシャンプーブースがありました。

シャワーは赤外線反応で
センサーに手をかざす度にお湯が出たり止まったりします。

完全予約制でお客さんすべてがカルテで事細かく管理されます。
何と、お客さんの半分は女性客です。

週に1回はミーティングをしてDMのデザインまで討論します。

給料にテンビキ制度があり、位に応じて一定の額をオーナーに献上します。
その全部を積み立てたり投資したりして増やして、
将来独立する者の頭金として還元するというものです。

スタッフは、
『座間店長』(沖縄出身20代後半、色黒で天才肌、もの凄いカリスマ性発揮)
『滝さん』『峰本さん』
その他見習二人で、僕は6人目でした。
僕以外の人は服のセンスなんかも抜群でした。

驚いた事に、ほとんどの人が関美出身だったのですぐに馴染む事が出来ました。

朝10時OPENなので
早く行って雑誌見ながらパンなんか食ってのんびりしていました。

朝の掃除は皆徹底的にやりました。
スタッフルームに飲みかけの缶ジュースなど適当に置いているとすぐに叱られました。

OPENするともう休憩はありませんでした。
(のちに1日30人のシャンプー自己新記録をつくりました)
技術面、センス面、まさに「洗練された」というのがぴったり来るお店でした。

レッスンは毎日各自足りないところを店が終わった9時から2時間位やっていました。
この他に月1回の3店合同レッスン、昇格試験などがありました。

僕は技術が未熟なので最初の1ヶ月は毎日シャンプーレッスンでした。
オーナー命令で『峰本さん』が自分のレッスンを犠牲にして、
付きっきりで教えてくれました。
お陰でシャンプーはお店でデビュー出来る事になりました。

ネックシェーブはお店の方針でやりませんでした。
顔剃りも逆剃り禁止なのですぐにOKが出ました。
マッサージも2,3日で合格でした。
2ヶ月を越える頃にはブローのレッスンをしていました。

しかし・・この頃には体が限界に来ていました。
毎日午後9時からの岸和田レッスンは飯を食わずに終電までやっていたので、
その時間から開いているメシ屋なんかありません。
羽衣にはコンビニなども無く、駅前の屋台のラーメンを食べる毎日が続きました。

屋台には同じアパートの「ヤクザのオッサン」がよくいました。
「おう兄ちゃん!いつも遅いな・・、」
「おやじィー!この兄ちゃんにカンしたって!」
とお酒をおごって貰うこともありました。

「ヤクザのオッサン」は変な薬をヤっているらしく
夜中に「殺したる」といいながら僕の部屋のドアを蹴り続ける事がたまにありました。

毎日の屋台ラーメン生活が続くと栄養が偏ります。
栄養不足、休養不足、睡眠不足、
健康的でない生活を続けると、考え方もマイナス思考になりました。

「将来地元でお店を持つとき、田舎町は若者は少ないのに、このまま若者の店にいていいのか?」
「アイロンパーマはやらない?」「バックシャンプー?」
「ネックシェーブはいらない?」「深剃り技術は要らない?」

結局は、つらいレッスンからの現実逃避。
非のうちどころのないお店なのに、正直ついていけませんでした。

3ヶ月を迎えた頃、
「ついていけませんでした」
と正直な気持ちをオーナーに伝えて辞めてしまいました。

さすがに落ち込みました。
「すぐにケツを割る・・・根性なし」
親戚の警官のオッチャンには
「大阪府警入れ!根性叩き直したる!」とまで言われました。

「根性なし」「プライド高い」「自己中」「頑固」「意固地」「へんこつ」「甘ったれ」

そんな僕を唯一応援してくれたのは、関美職員時代一緒だった『武田先生』でした。

「武田先生」も僕が学校職員を退職して間もなく辞めたらしく、
千里中央の美容院に住み込みで修行していました。
救いを求めるように3日間ほど泊まらせてもらいました。

「千里中央」は大阪北部で、地下鉄御堂筋線の北の終点でした。
住み込みの武田先生の住まいは2LDKの立派なマンションでした。

マンションはカブトムシが飛んでくる閑静な住宅街にありました。
182センチの「武ちゃん」は7センチのカブトムシを触れませんでした。

武ちゃんの部屋には電子レンジがあって、いつでも暖かいものが食べられます。
僕は武ちゃんのレンジ食品を食い漁りました。

武ちゃんは連日夜中の3時まで僕の独り言を寝ながら聞いてくれました。

半分寝ながら吐き出した武ちゃんのひと言に救われました。

「上田君まだ二十歳そこそこやん・・」
「何をそんなに焦ってんねん・・」
「もっと落ち着いてゆっくりしぃ・・・」

自分より2歳年上だったので説得力がありました。

■33■


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« エルソル大阪物語■32■「実地... | トップ | エルソル大阪物語■34■「学文路」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿