漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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吉田修一著「路(ルウ)」夢を乗せて走る新幹線

2015-07-07 | 
清々しい気持ちで読んでいた台湾新幹線の物語、なのに日本の新幹線で暗い事件が起こった。自殺者にどういう理由があるにせよ巻き添えをくった人、残された家族らの無念は計り知れない・・・


「路」と書いて「ルウ」と読ませる。その音だけで、いいなあと思って購入してしまった。

2000年に日本の新幹線が台湾に導入されることが決まり、それから完成するまでの7年間、いくつもの人生ドラマが台湾と日本を舞台に紡がれる。登場人物たちそれぞれが人との出会いによって人生の選択を変化させていく。

出会った年齢、出会ったときの気持ちによってその出会いの意味は変化する。同じ時は二度ないのだ。
それでも人生は前へと進む。

登場人物ひとりひとりの人生をまるで自分のことのように感じられるのは、吉田さんのうまさだろう。
人との出会いが新たな選択につながるように、私も何か強い気持ちを持たなきゃなあ。
台湾の、南国的で穏やかでなつかしい雰囲気、おいしい料理の香り、人懐っこさ・・・細やかな描写によって私も心から台湾を好きになってしまった。いつか実感してみたいと思う。

物語の最後、とうとう完成した新幹線は、台湾の大らかな風景の中、たくさんの人の夢を乗せてひた走る。
新幹線の中で、人豪はいう。
「春香さんを見ていると「人生」は楽しいものなんだってことを思い出すよ」と。


吉田修一 1968年生まれ 「悪人」は映画化された




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